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断片-4

2026/03/10 12:52
2026/3/10

 夜。尚人の部屋にて。
 成美、和真、尚人、瑞希、ソファーに座って雑談している。尚人と瑞希が隣りに座り、テーブルを挟んだ対面に成美と和真が座っている。テーブルの上には飲み物やおつまみが置かれている。
成美「そういえば尚人、鼻声だな」
尚人「やっぱりそんな気ぃする? 風邪かな」
和真「また? 実は花粉症なんじゃない?」
尚人「たぶん花粉症ではないんよな。くしゃみもないし」
成美「マッチョのくせに弱っちい奴だな」
瑞希「マッチョやから風邪_ひくんやって。脂肪が薄くて寒いんやろ」
尚人「しょっちゅう風邪_ひいてる人、確かにジムでもよう見るけど」
和真「過度なトレーニングをすると、一時的に免疫力が下がるからだって言われてるみたいだね」
尚人「でも大会あるからな…」
瑞希「ボディービルダーを目指してるんやった?」
尚人「ちゃうから。俺が出るつもりなんはフィジーク。フィジークは『ビーチで映える体型』がコンセプトで、サーフパンツを履いて競技すんねん。主に上半身の美しさ、逆三角形のシルエットやくっきり割れた腹筋が評価されるな。極限まで鍛え上げるボディービルとは違うて、こっちは筋肉が付きすぎると減点対象で、自然で健康的な体型を目指すことになる」
瑞希「結局、マッチョなことに変わりないやろ…」
尚人「ホンマに別物やから。何なら見てみる? 見たらどういうものかわかるかも」
 尚人、上半身の衣服を脱ぎ始める。
 瑞希、尚人から距離を取るように、ソファーの端に寄る。
成美「おい、脱ぐな、着ろ」
和真「風邪なんでしょ?」
 尚人、衣服を脱ぎ捨て、上半身裸の状態になる。
尚人「大丈夫やって。暖房もかかってるし」
 尚人、その場に立ち上がり、腰に手を当ててポーズを決める。
尚人「ボディービルでは筋肉を強調するポーズをするけど、フィジークではこういう自然なポーズをすんねん」
和真「そうなんだ。もう十分に見たから、そろそろ着たら?」
尚人「待って。ついでに筋肉が仕上がってるか確認してほしいねん」
成美「瑞希、ちゃんと見てやれ。彼氏だろ」
瑞希「俺は遠慮するわ。普段から見まくってるし…」
和真「マッチョが好きだから尚人を好きになったんじゃないの?」
瑞希「俺、見た目より性格を重視してるから」
尚人「そう? 俺は見た目も評価してほしいけど」
 和真、拍手する。
和真「すごいね。すごいことはわかったから、もう着よう」
 成美、続いて拍手する。
成美「尚人はすごい。筋肉もすごければ努力もすごい。瑞希もそう思うよな?」
瑞希「そやな。その努力には敵わへんわ」
尚人「(微笑んで)ありがとう」
 尚人、身震いする。
瑞希「寒いんけ?」
和真「風邪だからそうなるよね」
 尚人、ソファーに座る。服を着ながら、
尚人「やっぱり風邪やな、これ」
瑞希「お大事に」
成美「尚人も体調が悪そうなことだし、今日はお開きにするか」
和真「そうだね」

2026/2/26

 朝。寮の庭にて。
 尚人、ホースで植物に水をやっている。
 勇、寮の方から歩いてきて、バラの前で立ち止まる。
 勇、軽く頭を下げて、
勇「おはようございます」
 尚人、ホースの水を止めて、
尚人「おはよう」
 勇、尚人の方を向き、
勇「ああ、宇野さん、そこにいたんですか。おはようございます」
尚人「俺に挨拶したんとちゃうん?」
勇「違います。バラさんに挨拶しました」
尚人「そうやったんや… 今日も相良さんは相良さんやな」
勇「そりゃそうでしょうよ。僕がいきなり宇野さんになったら怖いでしょうが」
尚人「(苦笑して)そやな」
勇「ところで宇野さんはバラさんに挨拶しないんですか?」
尚人「せぇへんけど…」
勇「それはいけません。挨拶はコミュニケーションの基本です。相手が人でも植物でも、世話をするならちゃんとコミュニケーションを取らないと。独り善がりな世話はダメですよ」
尚人「でも俺は相良さんと違うて、バラと話すことができへんから」
 勇、ため息をつく。
勇「仕方ありませんね。僕が代わりに対話してあげましょう」
 勇、黙ってバラと向き合う。
勇「もっと剪定するべきです」
尚人「やっぱりそうやんな。俺もそろそろしようかなって思うててん。でもそれってバラと対話したんと違うて、相良さんの経験則から言うてるやんな?」
勇「いいえ、バラさんがそう言っていましたよ、剪定してほしいって」
尚人「そう、わかった、剪定しとくわ」
勇「そうしてあげてください。僕も手伝います」

2026/1/23

※登場人物の倫理観がイマイチです。気になる方は注意してください。
※サイコパスという診断名はありません。和真はアイデンティティーとして「サイコパス」と称しています。
※尚人と瑞希はパートナーシップを結んでいて、過去に尚人が浮気して揉めたことがあります。

夜。瑞希の部屋にて。
成美、和真、尚人、瑞希、床に向かい合って座っている。
成美「話し合おうぜ、俺の10000円がなくなったことについて」
和真「単純に紛失しただけじゃないの? あの部屋ならそうなるでしょ」
瑞希「成美、家っちゅうよりゴミに住んでる状態やからな」
成美「…和真、お前、最初に喋ったな? 何か誤魔化したいことがある証拠だろ」
和真「そんなことで疑われるの? コナンくんじゃん」
尚人「成美、ちゃんと部屋は探した?」
成美「探したわ」
尚人「あの部屋で探せるん? 他人を疑うんやったら、疑うだけの根拠は示すべきちゃう?」
成美「人を疑いでもしねぇとどうにもならねぇんだよ、俺は。あの10000円で給料日まで生活するつもりだったんだからな!」
尚人「成美…」
瑞希「どう転んでも詰んでるやろ…」
成美「そういうわけだから頼む、疑わせてくれ」
和真「疑っても何にもならないよ」
尚人「それでも疑うって言うんやったら、成美なりの言い分を聞かせてほしいんやけど」
成美「そうだな… (少し考えてから)お前らには盗む動機がある。まず和真。俺は和真に小銭を借りている。そして俺はまだ返してねぇ」
和真「そうだね」
成美「だから金を取り返しに来た可能性がある」
和真「何でわざわざ盗まないといけないんだよ」
成美「痺れを切らしたんだろ?」
和真「確かに痺れは切らしてるね。でもだからって盗むという発想にはならない。こっちはただでさえサイコパスとしてイメージが悪くて、信頼を築くのに苦労してるんだよ。自分からさらにイメージを落とすようなことはしないよ」
成美「和真はそうか… 次は尚人だ。お前は一見するとクリーンそうだけど、とことん自分に甘い」
尚人「それは否定できへんけど…」
成美「欲望に負けて、浮気相手に貢ぎまくってるのかもしれねぇ」
瑞希「(疑うような目で尚人を見て)ふーん…」
尚人「ちゃうで。成美が勝手に言うてるだけやから」
和真「そこ、尚人は信用ないからね」
尚人「ホンマにちゃうねんって。濡れ衣やろ。何で俺だけ無関係のところで疑われてんねん」
成美「その話は後にしよう。今は泥棒を探す時間だ。最後に瑞希。お前は疑うところしかねぇ、借金王だからな」
瑞希「そやな… どうしよう、疑いを晴らされへん、やってへんのに…」
和真「最後に一つ。成美、君にも疑わしいところがある」
一瞬、静まり返る。
成美「どうして俺が俺の金を盗むんだよ」
和真「自作自演という可能性はない? 10000円を失くしたと言えば、同情で10000円を貰えるかもって魂胆じゃない?」
瑞希「あり得るな…」
成美「そんな面倒なことやるかよ。効率が悪すぎだろ」
和真「でもそれを否定できる根拠もないでしょ」
瑞希「全員が疑わしく見えてきたで…」
尚人「俺ら、脛に傷だらけやからな」
成美「わかった、この話は無し! 疑った俺が悪かったよ。後で部屋をちゃんと探しておくから」
尚人「そうやな。水に流した方が良さそうやな」
瑞希「水に流すんはええとして、成美、給料日までの生活はどないすんねん」
成美「それな…どうしようかな…」
尚人「ご飯やったら食べさせてあげれるけど…」
成美「マジで? いいの?」
尚人「もちろん。それくらいやったらいくらでも」
成美「サンキュ。尚人、最高」
瑞希「俺も飯くらいなら奢っちゃるわ。お互いさまやからな、俺ら」

2026/1/19

※京介と真澄は恋人です。
※京介はアルビニズム(アルビノ)の当事者です。地毛は明るい茶色です。

夜。京介の部屋にて。
京介、真澄、テーブルを挟んで、向かい合って床に座っている。
真澄、右手にティッシュを持ち、ティッシュで陰毛を摘んでいる。陰毛は黒く太く縮れている。
真澄「何でテーブルに陰毛が乗ってんの?」
京介「よくわからないところに落ちてるものだよな、陰毛って」
真澄「しかもキョンっぽくないんだよね、これ。黒いし」
京介「真澄じゃないのか?」
真澄「私はここまで猛々しくないから」
真澄、京介の目をまっすぐ見る。
少しの静寂。
京介「違うぞ。俺は疑わしいことは何もしていない」
真澄「キョンのことは信じてるよ。念のため確認したかっただけ」
京介「わかってくれたならよかった」
真澄「ところでどこから来た陰毛なんだろ? 部屋に他に誰か来た?」
京介「今日は来客が多かったな。呉本、伴、宇野が来た」
真澄「誰っぽい?」
京介「(考え込むように)誰だろうな…」
真澄「伴さん、パイパンだって言ってなかった?」
京介「そうだったな。ケジラミを貰わないようにするためだったか」
真澄「伴さん、自由人だからね」
京介「ちなみに宇野もパイパンだな。イスラム教では清潔にすることが推奨されているそうだ」
真澄「宇野さんでもないか。それなら呉本さん?」
京介「呉本は体毛が薄いんだよな。本人がそう言ってた」
真澄「確かに腕とかツルツルだもんね。(陰毛に視線をやり)本当にどこから来たんだろう」
京介「謎は深まるばかりだ…」
真澄、再び京介の目をみて、
真澄「キョン、もう一度だけ確認するね。後ろめたいことは何もないよね?」
京介「ない」

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