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断片-1

2025/08/05 05:33
2024/06/13

 寮のパーティールームにて。
 一同、飲み会の後片づけをしている。
 勇、ゴミ袋を指して、
勇「これ、捨てに行きましょうか?」
尚人「うん、ほっといて」
 勇、ゴミ袋を放置して立ち去る。
尚人「あれ? ほってくれへんかった」
京介「関西弁がわからなかったんじゃないのか?」
成美「『置いておけ』って意味だと思ったのかもな」
尚人「それやったらしゃあないな」
京介「『ほる』は『捨てる』だということ、後で説明しておかないとな」

× × ×

 後日、寮の庭にて。
 一同、BBQの後片づけをしている。
 京介、ゴミ袋を指して、
京介「これ、捨てに行こうか?」
勇「はい、なげてください」
京介「(困惑した様子が)ああ、わかったが…」
 京介、勇の方に向かって思いっきりゴミ袋を投げる。
 勇、慌ててゴミ袋を受け止める。
 ゴミ袋の結び目が開き、中のゴミがこぼれる。
勇「(怒りで声が大きくなり)いきなり何するんですか!」
京介「『投げて』と言ったじゃないか」
成美「東北で『捨てる』のことを『なげる』って言うんだよ」
勇「もし意味が通じなかったとしても、普通はゴミを投げつけたりしないでしょ」
瑞希「まあ、まあ、コミュニケーションの行き違いなんてようある話やって」
成美「イッサも落ち着け」
 知久、散らばったゴミを拾う。
知久「俺がほってくるわ」
 知久、ゴミ袋を持って立ち去る。
京介「すまない…」
勇「(怒りを抑えているような様子で)いいですよ。それくらいで怒ったりしませんよ」
真澄「キョン、本当に悪意ないから。ただ天然なだけだから」
勇「それはわかってますよ」

2024/06/29

※京介と真澄は京都の出身です。共通語を話しているように書いていますが、実際は京都弁で話しています。

 夏越の祓の日。京介の部屋のリビングにて。
 京介、真澄、テーブルを挟んで座っている。
 テーブルにはお茶と水無月が置かれている。
 真澄、京介、水無月を食べながら、
真澄「キョンってこういう行事はちゃんとするよね」
京介「両親が年中行事をしっかりやるタイプだったからな」
真澄「実家、呉服屋だもんね。何だっけ、夏を無事に過ごせますようにって意味だっけ?」
京介「これまでの半年の穢れを祓い、もう半年の無病息災を願う意味があるそうだ」
真澄「京都の夏って暑いから、昔は生き抜くの大変だったんだろうね」
京介「冷房のなかった時代に、どうやって生きていたんだろうな」
真澄「もう神頼みするしかないってことだよね」
京介「俺は贅沢な時代に生きているわけだが、神にすがる気持ちはわかるな…」
真澄「キョン、夏が苦手だもんね。だから夏越の祓はしっかりやるんだ?」
京介「それもある」
真澄「キョン、今年の夏も生き抜こうね… 去年より暑いらしいよ」
京介「去年より!? それはマズい、本当に神頼みするしかないぞ…」

2024/06/29

※勇は福島県猪苗代町の出身です。

 勇の部屋のリビングにて。
 勇、成美、お茶しながら雑談している。
 成美、壁に飾ってある額縁に気付き、指差す。
成美「あれ、何?」
 額縁の中に飾られているのは、野口英世の千円札。
勇「ああ、あれですか?」
 勇、立ち上がって壁まで行き、額縁を取り外す。
 勇、額縁を持って戻ってくる。
勇「千円札ですよ」
成美「それは見たらわかるよ。何で千円札なんか飾ってんの?」
勇「そろそろ千円札が野口英世から変わってしまいますので。野口英世がお札だったことを記念するために、こうして飾っておこうかと」
成美「そんなに野口英世をリスペクトしてんの?」
勇「もちろん。野口英世は猪苗代の英雄ですよ。まさかご存じないんですか?」
成美「知らねぇよ。歴史人物の出身地なんていちいち覚えてねぇよ」
勇「では覚えて帰ってくださいね。野口英世の出身地は福島県猪苗代町です」
成美「わかったよ。覚えてやるよ」
勇「何なら星さんの部屋にも飾ります? 新札、まだありますよ」
成美「千円札は欲しいけど、飾るかどうかはわかんねぇ」
勇「それではあげられませんね。ちゃんと飾ってるかどうか、3日に一回は見に行きますからね」
成美「現金として使えねぇならいらねぇよ」
勇「でも現物は飾らなくても、心にはしっかり飾っといてくださいね。しばらく3日に一回は、野口英世の話をしますから」

2024/07/07

 歩の部屋のリビングにて。
 歩、ソファーで寝転がりながら、スマホで釣りの動画を見ている。
 スマホに勇の名前が表示され、着信音が鳴る。
 歩、電話に出る。
歩「もしもし?」
勇「リカルド、ちょっとお願いがあるんですけど」
歩「どうしたの?」
勇「僕のスマホに電話してくれませんか?」
歩「えっ?」
勇「スマホが見当たらないんですよね。電話して鳴らしてくれませんか?」
 歩、スマホの画面を見て、電話番号を確認する。勇のスマホからかかっているようだ。
歩「どこから電話してるの?」
勇「僕の部屋からです。部屋の中で紛失しちゃって」
歩「さっき電話番号を確認したら、勇のスマホからかかってることになってるんだけど…」
勇「えっ、あれ?」
 勇の部屋にて。勇、自分のスマホを確認する。
勇「あはは、自分で持ってました。さっきのは忘れてください」
歩「まあ、そういう日もあるさ」

× × ×

※マリカとは尚人の猫のこと、チューイとは知久の猫のことです。
※マリカは普段は無愛想です。

 尚人の部屋のリビングにて。
 猫がオットマンの上でくつろいでいる。
 尚人、知久、床に座り、猫を眺めている。
知久「マリカ、めっちゃファンサービスしてくれるやん」
尚人「今日は機嫌ええみたいやな。ちょっと待って、今やったら写真␣撮らせてくれるかも」
 尚人、床に手を伸ばし、スマホを探す。
尚人「あれ? スマホは?」
 知久、床を見回して探す。
知久「ちょっと見当たらへんな。俺ので撮ろうか?」
尚人「どっちにしろ後で探さなあかんし、俺のスマホに電話してくれへん?」
知久「ええよ」
 知久、スマホを操作し、尚人のスマホに電話する。
 オットマンの方から着信音がする。
 猫がびっくりして跳び上がり、リビングから走り去る。
 猫がいなくなったオットマンの上で、尚人のスマホが鳴っている。
 尚人、きょとんとした顔。
 知久、電話を切る。
 知久、立ち上がり、尚人のスマホを取ってくる。
 知久、尚人にスマホを渡しながら、
知久「とりあえずスマホは見つかったで」
 尚人、スマホを受け取って、
尚人「ありがとう」
知久「シャッターチャンスは逃してもうたな」
尚人「そやな。そんなにうまくはいかへんみたい」
 知久、尚人の隣りに座り、自分のスマホを操作しながら、
知久「代わりにチューイの写真でも見る?」
尚人「うん、見る」
 尚人、知久のスマホを覗き込む。
 知久、尚人、写真を見ながら、
尚人「ところでチューイってどういう意味なん? 軍人の階級?」
知久「それ、よう言われるんやけどちゃうねん。スター・ウォーズって観たことある?」
尚人「あっ、わかった。チューバッカのことや」
知久「そう、それ。マリカはどういう意味なん?」
尚人「アラビア語で女王のことやで」
知久「なるほど、納得やな」

2024/07/15

※リカルド(歩)はブラジル人、マルセロ(昴)はブラジルと日本にルーツがあるので、お互いをブラジリアン・ネームで呼び合っています。

 昴の部屋のリビングにて。
 昴、歩、ソファーに座って喋っている。
昴「リカルドくん、アイス␣食べます?」
歩「うん、ありがとう」
 昴、立ち上がり、リビングから去る。
 昴、アイスバーとカップアイスを持って戻ってくる。
 昴、歩にアイスバーを渡す。
歩「ありがとう」
 歩、アイスを受け取る。
 昴、ソファーに座り、カップアイスを開ける。
 歩、アイスバーの包装を取ろうとするが、アイスに引っ付いてうまく剥がせない。アイスは変形している。
歩「マルセロ、これって一度␣溶けたやつだよな?」
 昴、アイスを食べながら、
昴「はい、そうです。この時期にアイスを買うと、家に着くまでに溶けちゃうんですよね」
 歩、昴のアイスを見て、
歩「俺もそっちがいいんだけど…」
昴「ダメ。お客さんが来たときに食べてもらわないと、いつまで経ってもなくならないじゃないですか」
歩「自分で食べなよ」
昴「僕のお金で買ったんです。自分が食べたい方を食べます」
歩「マルセロはそういう奴だよな…」
 歩、何とか包装を取り外し、アイスを口に運ぶ。アイスが変形しているので食べづらそう。
昴「それ、おいしいんですか?」
歩「おいしいよ。きっと溶ける前の方がおいしかっただろうけど」
昴「こっちはおいしいですよ」
歩「そうだろうな」
 歩、昴、アイスを食べ終える。
昴「あっ、飴も食べます?」
歩「それ、溶けた飴だよな? だったらいらないよ」
 昴、舌打ち。
昴「何でバレたんですか」
歩「何でバレないと思ったんだよ」

2024/08/02

 居酒屋にて。
 透、栄太、知久、成美、和真は飲食を終えたところ。
 空いた皿やコップが、テーブルの上に並んでいる。
 栄太、伝票を確認してから、スマホのアプリで計算する。
栄太「それぞれ××××円ずつですかね」
 成美、ボディーバッグを開け、中に手を突っ込んでから、
成美「やべぇ、財布を忘れた」
栄太「ではPayPayで支払います。スマホは持ってるでしょう?」
 成美、カバンの中を探すふりをして、
成美「スマホも忘れちまったかもしれねぇ…」
透「(苦笑して)さっき見てただろ」
和真「もう観念しなよ」
栄太「仕方ありませんね。構いませんよ、後で請求するだけなので。全体の半額を払ってもらいますね」
知久「ありがとう。ゴチになるわ」
成美「待って、わかったから! ちゃんと払うよ」
 成美、ボディーバッグからスマホを取り出す。
栄太「わかればよろしい」
 栄太、スマホでアプリを操作し、画面にQRコードを表示させる。
 透、知久、成美、和真、スマホでQRコードを読み取る。
知久「成美、残念やったな」
成美「別に食い逃げするつもりはないんだぜ。本当に財布を忘れただけで」
和真「いつも外食するときだけ財布を忘れるんだよね?」
成美「ちゃんと他のところでも忘れてるし。この前は映画館でも忘れただろ」
知久「もっとあかんやん」

2024/08/22

※真澄はトランスジェンダーの女性、京介はシスジェンダーの男性です。

 真澄の部屋にて。
 真澄、京介、ソファーに隣り合って座っている。
真澄「もし私が戸籍でも女性になったら、結婚とか考える?」
京介「いきなりどうした?」
真澄「特例法の手術要件がなくなったから、私も申し立てれば性別変更できるかもしれないでしょ。それって結婚できる可能性があるってことだよね」
京介「確かにそういうことになるのか。しかし結婚制度に反対していると言っていなかったか?」
真澄「うん、そうだよ。でも結婚って二人の問題だから、キョンの気持ちも聞きたいなって」
京介「結婚できないものだと思っていたから、今まで考えたことがなかったな…」
真澄「だよね、私も」
 京介、少し考えてから、
京介「正直なところ今は必要性を感じないな。結婚して何か得するわけでもないからな」
真澄「大してメリットないよね」
京介「いずれ事情が変わったときに検討すればいいんじゃないか?」
真澄「私もそんな感じ。それまでに選択的夫婦別姓が導入されてればいいんだけどね」
京介「そうだな。真澄にとっては負担になるからな」
真澄「えっ、キョンが名字を変えるんでしょ。何で私が変えるのが前提になってるの?」
京介「いや、別に俺が変えてもいいんだが…」
真澄「やっぱり別姓にしたいよね。さらに同性婚も認められて、みんなでハッピーになれたらいいのに」
京介「そうなったら俺、真澄、行方、相良さんで合同で結婚式でもやるか」
真澄「(笑って)それ、いいね。そういう結婚式なら楽しいかも」

2024/09/06

※透と栄太は恋人ではありません。栄太は透に好意を寄せていますが、透は拒みも受け入れもしていません。
※透はアセクシュアルです。

 ショッピングモールにて。
 透、トイレの外で立っている。
 栄太、トイレから出る。
栄太「お待たせしました」
 透、栄太、歩き出す。
栄太「透くん、手を繋いでもいいですか?」
 透、ズボンのポケットに手を突っ込む。
透「トイレに行った後、手は洗ったか?」
栄太「ええ、洗いましたよ」
透「どれくらい? 1分は洗ったんだろうな?」
栄太「1分は長すぎるでしょう。10秒くらいですね」
透「お断りだ」
 透、ポケットから手を出して、拒むように固く腕組みする。
栄太「流水の力でちゃんとキレイになりますよ」
透「科学を勉強しろ」
栄太「わかりましたよ。今からトイレに戻って、しっかり洗いますから。それならいいでしょう?」
透「手を洗うのは当然として、やっぱり暑いから嫌だね」
栄太「どっちにしろダメなんですね」
透「何でそこまで手を繋ぎたがるんだ?」
栄太「そうですね、相手の体温を感じたいからですかね」
透「そこがよくわからないんだよな」
栄太「手を繋ぐのは苦手ですか?」
透「あまり好きじゃないな。掌が湿るのがちょっと」
栄太「わかりました。貴方が嫌がることはしません」
 透、腕組みを解く。
透「そういえば手は洗わないのか?」
栄太「手を繋がないことになったので別にいいかな、と」
透「今すぐ戻れ」

2024/09/12

 晩夏の夜。歩の部屋にて。
 歩、勇、テーブルを挟んで、向かい合わせになって座っている。
 外からは虫の声が聞こえる。
勇「秋ですね」
歩「そうだな。気温は夏のままだけど、季節は着実に進んでるんだな」
勇「リカルド、外に出ませんか? もっと近くで音色を聞きたくて」
歩「でも暑いの苦手だろ?」
勇「それくらい我慢できますよ」
 寮の庭にて。
 勇、歩、アウトドアチェアーに座っている。
勇「(歌う)秋の夜長を鳴き通す ああ おもしろい虫の声」
歩「(聞き入ったように)良い声だな」
勇「虫が? 僕が?」
歩「(微笑んで)どっちも。勇の声、もっと聞きたいな」
勇「ごめん、後で」
 勇、立ち上がる。
歩「(勇を見上げ)どうしたの?」
勇「暑い。戻りましょう」
 歩、勇を見つめたまま、ぽかんとした表情。
勇「誤解しないでくださいね、怒ってるわけじゃないんで。でも暑いんです」
歩「(苦笑して)わかってるよ」
 歩、立ち上がる。
 勇、歩、アウトドアチェアーを畳む。
勇「さっきはごめんなさいね。歌の続きは部屋で」
歩「気にしてないよ」

2025/02/08

※勇は都会を歩くのが苦手なので、真澄に付き合ってもらっています。

 冬の朝。金閣寺の境内にて。
 雪が舞い、境内も白くなっている。カメラを持った観光客で賑わっている。
 勇、真澄、金閣寺を眺めている。
勇「(テンションが高そうに)そう、これが見たかったんですよ。今までずっとチャンスを逃していて」
真澄「(テンションが低そうに)そう、良かったね」
勇「まだおネムですか?」
真澄「そんなことないけど…」
勇「もっと喜びましょうよ。立花さんは京都出身だから当たり前になってるかもしれませんけど、他県民にとっては憧れなんですからね、この景色」
真澄「そこまで?」
勇「だって写真でよく見るわりに、実際にはほとんどお目にかかれないんですから」
真澄「一年に一度か二度くらいだよね」
勇「そうでしょ? (幸せそうに目を細める)見れて良かったな…」
 真澄、その場で軽く足踏みしながら、
真澄「イッサ、そろそろ満足した?」
勇「えっ、もうちょっと見ましょうよ。せっかく来たんですから」
真澄「じゃあ、イッサは好きなだけ見てて。私はカフェに行ってるから。寒すぎる、耐えられない」
勇「この景色の前では寒さも吹き飛ぶけどな…」
真澄「イッサは福島出身だからでしょ。京都ではそうそうない寒さなの」
勇「わかりました。どこかで暖かくしてください。付き合わせてすみませんね」
真澄「それはいいの。帰りたくなったらLINEして」
勇「了解です」
 真澄、その場から歩いて立ち去る。

2025/03/21

※公序良俗に反することを話していますが、このような行為を推奨する意図はありません。
※相良勇は登山が趣味です。

 冬の昼。
 成美、和真、寮の近くの道を歩いている。
成美「寒ぃな」
和真「風が冷たいね」
成美「耳と鼻がもげそう」
和真「マスクすればいいのに。鼻は暖かくなるよ」
成美「耳の裏が荒れててさ」
和真「バラクラバはどう?」
成美「バラクラバか… マジで買おうかな」
和真「相良さんならたくさん持ってるはずだから借りたら?」
成美「それ、ガチなやつじゃねぇか。そんなの街中で着けたら怪しいだろ」
和真「暖かそうだよ。そのまま銀行強盗にも行けて便利だし」
成美「俺のこと何だと思ってやがる」
和真「窃盗で捕まったことある人」
成美「捕まってねぇよ。ちゃんと店に謝罪したら許してもらえたし」
和真「窃盗したことに変わりないじゃん」
成美「昔の話だろ。今は心を入れ替えたんだよ」
和真「本当に? もし相良さんに誘われたら?」
成美「何でイッサが誘ってくるんだよ」
和真「きっとあれだよ、山で遭難して、救助にお金がかかったんだよ」
成美「それなら仕方ねぇな。友達が困ってるときは助けてやらねぇと。俺は運転手やるよ」
和真「成美の方が実行犯に向いてるでしょ。相良さんは未経験者だから…」
成美「俺だってそうだわ。それに俺は小心者なんだよ。和真も知ってるだろ」
和真「それもそうだね」
成美「イッサは消防士やってたくらいだから度胸あるだろ。ついでに和真にも仕事をやるよ」
和真「えっ、俺も? 巻き込まないでよ」
成美「強盗を提案したのはお前だろ」
和真「確かにそうだった。言い出したからには責任を取るよ」
成美「よし、和真はにこにこしながら窓口に近づいて、職員を油断させる係な」
和真「自分でも向いてると思う、それ。相良さんから登山道具も借りて、登山客を装って行こう」
成美「完璧な計画だな」
和真「防寒も銀行強盗もできて、バラクラバは一石二鳥だね」

2025/04/12

※昴と透が出会ったばかりの頃。
※透と昴は体格が異なります。透は痩せていて、昴は筋肉質です。
※透はコンサバティブなファッションをしていて、いつも質の良い服を着ています。昴はモード系です。

 昼。本部の休憩所にて。
 透は席に着いて、コーヒーとサンドウィッチを口にしている。
 昴、パンとコーヒーを持って、透の近くまで歩いてくる。
昴「一緒にいいですか?」
透「どうぞ」
 昴、透と向かい合って座る。
 昴、ジャムパンの包装を開けながら、
昴「健康診断は終わりました?」
透「終わった。そっちは?」
昴「頑張って早起きして終わらせました」
透「珍しいじゃん」
 昴、パンを食べながら、
昴「午後からやらないといけないことがあるんです」
透「そっか」
昴「身長をお聞きしてもいいですか?」
透「そんなの聞いてどうするんだよ」
昴「ずっと気になってて。僕と同じくらいの身長の人、そうそう見ませんので」
透「おかげで俺だけが目立つことにならずに済んだよ」
昴「こちらこそ。ところで身長は?」
透「他人に聞く前に、自分が先に言うのが筋だろ」
昴「自信がないんですか?」
透「(軽く笑って)別に。競うつもりもないよ」
昴「いいでしょう、僕が先に言います。189cmです」
 少し間を空けて、
透「…負けたよ、187cm」
昴「(にやりと笑う)悔しそうですね。競うつもりなかったんじゃないんですか?」
透「自分でも悔しいのが不思議だよ」
昴「そうそう身長で負けることないでしょうからね。では僕が勝ったのでわがままを聞いてもらいますよ」
透「何だよ」
昴「次の土曜日の夜、服を貸してください」
透「(苦笑して)嫌だよ。服の趣味だって違うだろ」
昴「恋人とレストランに行く予定がありまして。たまには上品なところも見せたいじゃないですか」
透「…わかったよ、サイズが合えばな。たぶん合わないと思うよ」
昴「無理矢理でもねじ込みます」
透「破いたら直してもらうぞ」

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