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コガネムシ

2025/05/20 21:10
○寮 パーティールーム-中 夜

 一同、パーティールームで飲食しながら雑談している。
 テーブルの上には飲み物や軽食が並んでいる。
 ベランダの扉が開き、勇が室内に入って来る。
勇「(後ろ手に扉を閉めながら)タバコ、切らしちゃいましたね。後で買いに行かないと」
瑞希「ラキストでええんやったらやるで」
勇「結構です。僕、セッタしか吸わない主義なんで」
 虫の大きな羽音がする。
真澄「さっき何か入った?」
瑞希「(周囲を見回しながら)蜂け?」
透「違うだろ」
栄太「(虫を指して)あれです! あそこにいます」
京介「カナブンか?」
勇「コガネムシでしょ?」
透「家に迷い込んでくるカナブンみたいな虫は、たいていカナブンとは別のコガネムシだな」
 コガネムシが部屋を飛び回る。
 栄太、瑞希、真澄、京介、頭を下げる。
栄太「誰か捕ってください!」
 透、勇、昴、歩、全く動揺せずに座っている。
透「大袈裟だな、たかだかコガネムシで」
昴「コガネムシさん、かわいそう。何も悪いことしてないのに」
栄太「私に止まったらどうするんですか」
勇「どうって? どうもしませんよ。噛みもしません」
瑞希「そういう問題ちゃうねんって」
歩「(椅子から立ち上がり)捕ろうか。殺虫剤を使われたらかわいそうだし」
 歩、天井を見上げる。
歩「どこに行った…」
 勇も立ち上がり、部屋を見回す。
 大きな羽音がする。
真澄「(コガネムシを指して)あっち!」
 コガネムシがカーテンに止まる。
 勇、カーテンに近づき、コガネムシを素手で捕獲。
勇「捕まえました!」
 勇、コガネムシを掌に乗せる。
勇「ちょっと眺めてから放しますね。んー、かわいいですね」
 コガネムシが掌から飛び立つ。
 勇、全く慌てない様子で、視線でコガネムシを追う。
勇「あー、行っちゃいましたね」
真澄「イッサ…」
歩「(コガネムシが飛んで行った方を見て)あっちに行ったな」
 歩、コガネムシが止まっているところへ近づく。
 コガネムシ、歩に捕まる前に飛び立つ。
歩「ごめん! 逃した!」
 コガネムシが部屋を飛び回る。
 コガネムシ、電灯にぶつかり落下。その下のテーブル(栄太、知久、真澄、京介が着いている席)に落ちる。
 栄太、跳び上がるように椅子から立ち上がり、慌てて逃げる。
真澄「トミー、捕って!」
知久「俺はちょっと…」
 透、椅子から立ち上がる。
 透、コガネムシを素手で掴む。
 透、ベランダの方へ向かい、扉を開ける。コガネムシを外に放つ。
透「二度と戻って来るなよ」
 透、自分の席の方に向かう。
栄太「透くん、ありがとうございます」
瑞希「素手で捕るとか勇気あるな…」
透「(苦笑して)誰でもできるんだよ、やらないだけで」
尚人「庭で繁殖してるんかな。それやったら困るな」
勇「後で見た方がいいかもしれませんね」
昴「…庭のコガネムシはどうなっちゃうんですかね。逃しても逃さなくても結果は一緒だったということですかね」
歩「そうなるかもな。この世界は人間の都合で回ってるんだよ」

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