fragment

イケメン

2024/07/02 12:45
※尚人は弱視です。

○和真の部屋 リビング 夜

 和真、成美、尚人、瑞希、座って雑談している。
和真「そうだ、マッチングアプリに載せる写真、なかなか決まらなくてさ。選んでくれない?」
成美「候補はどれだけあるの?」
和真「30枚くらいかな。元々は100枚くらいあったんだけど、何とか1/3まで絞り込んだの。どれも遜色なくて選ぶの大変だったよ」
瑞希「もう帰ってもええ?」
和真「確かに難しいお願いだよね、たった1枚を選ぶなんて。でも見るだけ見ていってよ。せっかくスライドショーも作ったんだし」
成美「(うんざりしたように)そんなもんまで見せられるのかよ」
和真「ほんのファンサービスだよ」
 和真、立ち上がりリビングから出る。
 和真、ノートパソコンを持って戻って来る。
 和真、ノートパソコンを操作して、テレビの画面と同期させる。
 テレビの画面でスライドショーが始まる。様々なロケーション、服装、ポーズの写真が順番に映し出される。
 成美、瑞希、虚無の表情。
尚人「どんな写真?」
瑞希「知りたいけ?」
尚人「やっぱり知らんでええかも」
和真「俺が説明するよ」
尚人「大丈夫。素敵な写真やってことは伝わってるから」
和真「そう?」
 スライドショーが終わる。
 和真、拍手する。
和真「自画自賛になっちゃうけど良いスライドショーだったね。どうだった?」
瑞希「(笑顔を作る)さすが写真の腕は確かやな」
成美「編集が凝ってて良かったぜ」
和真「選ぶの難しいとは思うけど、どの写真が好きだった?」
瑞希「(わざとらしく考え込むふりをして)ホンマに難しいな。俺には選ばれへんわ」
成美「どれでもイケると思うぜ」
和真「真剣に選んでる?」
瑞希「これでも真剣なんやけどな…」
尚人「最後の写真にしたら?」
 和真、ノートパソコンを操作しながら、
和真「これ?」
 スライドショーの最後の写真がテレビに映し出される。
尚人「それを最後に持って来てる時点で、君の中で答えが出てるんちゃう? 意識的でも無意識でも、その写真に自信を持ってるってことやろ?」
瑞希「そう、それや。すでに自分で選んでんねん」
成美「それで決まりだ」
和真「うーん、もっと写真と向き合ってほしいところだけど、尚人の言う通りな気もする… よし、これにしよう。じゃあ、みんなが帰る時間まで、スライドショーは繰り返し流しとくね」
 成美、瑞希、尚人、顔を見合わせて、
尚人「そろそろ帰る?」
瑞希「そやな」
成美「もう付き合ってられねぇ」

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