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正月
2024/01/04 03:29◇ロビン寮 パーティールーム 夜
12月31日から1月1日に変わろうとしている頃。
テレビには“ゆく年くる年”が映っている。
テーブルの上には飲み物、つまみ、菓子が広がっている。
透、知久、尚人、瑞希、歩、勇、飲食と雑談を楽しみながら、テレビを見ている。
日付が変わり、テレビにアナウンサーが映し出される。
テレビの音声「あけましておめでとうございます」
勇「2024年になりましたか」
勇、姿勢を正す。
勇「(頭を軽く下げて)あけましておめでとうございます」
透、知久、尚人、瑞希、歩、向き合うように座り直し、勇に続いて挨拶する。
知久「あけましておめでとう」
歩「おめでとう」
尚人「おめでとう」
瑞希「おめでとうさん」
透「あけましておめでとう」
勇「おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
勇、黙って一同を見つめ、涙ぐむ。
勇「こうやって誰かと新年を迎えられること、心から感謝しています。ありがとう」
瑞希、つられて涙目になり、
瑞希「ホンマにありがとうな。こんな俺と一緒にいてくれて」
勇、瑞希、握手を交わす。
腕が酒に引っかかりそうだったので、透がどかす。
知久「(苦笑して)何やねん、これ」
尚人「もうベロベロやん」
歩「まあ、正月だからいいじゃん」
勇、缶を手に取ろうとするが、歩にどかされて空振りする。
歩「でも倒れない程度にな」
知久「そういえば初詣はどうする? 行きたいって言うてへんかった?」
勇、立ち上がる。
勇「僕は行きたいです」
瑞希「よし、行こうや。俺らの固い絆を、神さまに見せつけるんや」
尚人「珍しいやん。瑞希から行きたがるなんて。出不精やのに」
透「酔ってるだけだろ」
知久「みんなはどうする? 一緒に行く?」
透「行くだけ行くよ。参拝はしないけどな」
尚人「俺もそうするわ」
知久「ほな、準備ができたらロビーに集合で」
一同、簡単にテーブルの上を片づける。
◇神社の近くの歩道 夜
街の中心部に隣接した、商店と住宅が入り混じったところ。
神社の参拝客が境内からはみ出し、歩道に列を作っている。
一同、神社の方へ歩いてくる。
尚人、瑞希の腕を掴み、誘導してもらっている。
一同、行列の最後に並ぶ。
勇「思ったより混んでますね。30分は並びますかね?」
知久「どうやろ」
歩「やっぱり立ち止まると寒いな」
勇「僕がぎゅーとしてあげましょうか?」
歩「さすがにここでは恥ずかしいよ。でも手は繋ぎたい」
歩、勇、手を繋ぐ。
歩「寒いときに温めてくれる人がいるって、幸せだな」
勇「そうですね。僕もリカルドとこうしてると、心が温かくなります」
歩、勇、見つめ合う。
瑞希、尚人の真横に立つ。
瑞希「尚人、俺らも手ぇ繋がへん?」
尚人「寒い?」
瑞希「うん、めっちゃ寒い」
瑞希、尚人、手を繋ぐ。
尚人「外で手ぇ繋ぐの、実は初めてちゃう?」
瑞希「そう言われたらそうやな」
尚人「ホンマはもっとこういうことしたい?」
瑞希「(照れ笑いして)いや、酒の力がなかったらできへんわ、こんなこと」
尚人「意外とシャイなんやな」
◇神社 境内 夜
列が前に進み、一同、境内の中で並んでいる。
勇「そろそろ近づいてきましたね。何をお願いするか決めました?」
瑞希「借金を減額できますように」
尚人「そこは元凶から断(た)って、"ギャンブルを卒業できますように"にしたら?」
瑞希「借金するまでやったらアカンだけで、ギャンブルそのものは悪ないやろ」
歩「残念だけど願い事は叶いそうにないな」
尚人「(呆れたように)とりあえず借金を返すためのギャンブルはやめることやな」
勇「皆さんはどうされます? 僕は"皆さんとずっと一緒に年越しできますように"にするつもりです」
歩「俺は"今年こそは勇と結婚できますように"かな」
勇「僕もそっちにしようかな。二つもお願い事したら欲張りですかね?」
知久「ほな、来年も一緒に年越しできるように、俺がお願いしとくわ」
勇「いいんですか? 桐生さんも自分のお願い事してくださいよ」
知久「ええよ。俺にとってはみんなが全てやから、それさえ叶ったら十分やねん」
透「珍しいじゃん、トミーがそんなこと言うなんて」
知久「(笑って)きっと酔ってるからかな」
◇同 拝殿の前 夜
列がさらに前に進み、拝殿が目前に。
知久、瑞希、歩、勇、財布やポケットから小銭を用意する。
歩「参拝の作法ってどうだったっけ?」
瑞希「お賽銭、お辞儀が2回、拍手が2回、お辞儀が1回やな、一般的には」
勇「僕、いつも適当にやってますよ。大事なのは形より心ですよ」
列の順番が来たので、一同、拝殿の前に立つ。
知久、瑞希、歩、勇、賽銭を投げ入れ、二拝二拍手一拝する。
透、尚人、彼らが祈るのを眺めている。
参拝を終え、一同、傍によける。
◇神社の近くの歩道 夜
一同、鳥居から出て、歩道を歩いている。
勇「願い事、神さまに届くといいですね」
知久「そろそろ叶うと思いたいところやけどな、同性婚」
透「それを叶えるのは神さまじゃなくて、人間の努力だよ」
歩「結局のところそうなるよな」
知久「俺の願い事が叶うかどうかも、みんなの努力にかかってんで」
勇「もちろん協力しますよ。元々は僕の願い事ですしね」
瑞希「来年は成美もいてるやろうから、もっと賑やかな新年になるで」
歩「マルセロもいるだろうしな。ところで帰ったらどうする? 寝る?」
勇「僕はおねむです。いつもの就寝時間はとっくに過ぎてるので」
透「俺も寝るよ」
尚人「片づけは?」
知久「明日でええやろ」
瑞希「ほな、今日のところはお開きやな」
知久「そやな」
12月31日から1月1日に変わろうとしている頃。
テレビには“ゆく年くる年”が映っている。
テーブルの上には飲み物、つまみ、菓子が広がっている。
透、知久、尚人、瑞希、歩、勇、飲食と雑談を楽しみながら、テレビを見ている。
日付が変わり、テレビにアナウンサーが映し出される。
テレビの音声「あけましておめでとうございます」
勇「2024年になりましたか」
勇、姿勢を正す。
勇「(頭を軽く下げて)あけましておめでとうございます」
透、知久、尚人、瑞希、歩、向き合うように座り直し、勇に続いて挨拶する。
知久「あけましておめでとう」
歩「おめでとう」
尚人「おめでとう」
瑞希「おめでとうさん」
透「あけましておめでとう」
勇「おめでとうございます。今年もよろしくお願いします」
勇、黙って一同を見つめ、涙ぐむ。
勇「こうやって誰かと新年を迎えられること、心から感謝しています。ありがとう」
瑞希、つられて涙目になり、
瑞希「ホンマにありがとうな。こんな俺と一緒にいてくれて」
勇、瑞希、握手を交わす。
腕が酒に引っかかりそうだったので、透がどかす。
知久「(苦笑して)何やねん、これ」
尚人「もうベロベロやん」
歩「まあ、正月だからいいじゃん」
勇、缶を手に取ろうとするが、歩にどかされて空振りする。
歩「でも倒れない程度にな」
知久「そういえば初詣はどうする? 行きたいって言うてへんかった?」
勇、立ち上がる。
勇「僕は行きたいです」
瑞希「よし、行こうや。俺らの固い絆を、神さまに見せつけるんや」
尚人「珍しいやん。瑞希から行きたがるなんて。出不精やのに」
透「酔ってるだけだろ」
知久「みんなはどうする? 一緒に行く?」
透「行くだけ行くよ。参拝はしないけどな」
尚人「俺もそうするわ」
知久「ほな、準備ができたらロビーに集合で」
一同、簡単にテーブルの上を片づける。
◇神社の近くの歩道 夜
街の中心部に隣接した、商店と住宅が入り混じったところ。
神社の参拝客が境内からはみ出し、歩道に列を作っている。
一同、神社の方へ歩いてくる。
尚人、瑞希の腕を掴み、誘導してもらっている。
一同、行列の最後に並ぶ。
勇「思ったより混んでますね。30分は並びますかね?」
知久「どうやろ」
歩「やっぱり立ち止まると寒いな」
勇「僕がぎゅーとしてあげましょうか?」
歩「さすがにここでは恥ずかしいよ。でも手は繋ぎたい」
歩、勇、手を繋ぐ。
歩「寒いときに温めてくれる人がいるって、幸せだな」
勇「そうですね。僕もリカルドとこうしてると、心が温かくなります」
歩、勇、見つめ合う。
瑞希、尚人の真横に立つ。
瑞希「尚人、俺らも手ぇ繋がへん?」
尚人「寒い?」
瑞希「うん、めっちゃ寒い」
瑞希、尚人、手を繋ぐ。
尚人「外で手ぇ繋ぐの、実は初めてちゃう?」
瑞希「そう言われたらそうやな」
尚人「ホンマはもっとこういうことしたい?」
瑞希「(照れ笑いして)いや、酒の力がなかったらできへんわ、こんなこと」
尚人「意外とシャイなんやな」
◇神社 境内 夜
列が前に進み、一同、境内の中で並んでいる。
勇「そろそろ近づいてきましたね。何をお願いするか決めました?」
瑞希「借金を減額できますように」
尚人「そこは元凶から断(た)って、"ギャンブルを卒業できますように"にしたら?」
瑞希「借金するまでやったらアカンだけで、ギャンブルそのものは悪ないやろ」
歩「残念だけど願い事は叶いそうにないな」
尚人「(呆れたように)とりあえず借金を返すためのギャンブルはやめることやな」
勇「皆さんはどうされます? 僕は"皆さんとずっと一緒に年越しできますように"にするつもりです」
歩「俺は"今年こそは勇と結婚できますように"かな」
勇「僕もそっちにしようかな。二つもお願い事したら欲張りですかね?」
知久「ほな、来年も一緒に年越しできるように、俺がお願いしとくわ」
勇「いいんですか? 桐生さんも自分のお願い事してくださいよ」
知久「ええよ。俺にとってはみんなが全てやから、それさえ叶ったら十分やねん」
透「珍しいじゃん、トミーがそんなこと言うなんて」
知久「(笑って)きっと酔ってるからかな」
◇同 拝殿の前 夜
列がさらに前に進み、拝殿が目前に。
知久、瑞希、歩、勇、財布やポケットから小銭を用意する。
歩「参拝の作法ってどうだったっけ?」
瑞希「お賽銭、お辞儀が2回、拍手が2回、お辞儀が1回やな、一般的には」
勇「僕、いつも適当にやってますよ。大事なのは形より心ですよ」
列の順番が来たので、一同、拝殿の前に立つ。
知久、瑞希、歩、勇、賽銭を投げ入れ、二拝二拍手一拝する。
透、尚人、彼らが祈るのを眺めている。
参拝を終え、一同、傍によける。
◇神社の近くの歩道 夜
一同、鳥居から出て、歩道を歩いている。
勇「願い事、神さまに届くといいですね」
知久「そろそろ叶うと思いたいところやけどな、同性婚」
透「それを叶えるのは神さまじゃなくて、人間の努力だよ」
歩「結局のところそうなるよな」
知久「俺の願い事が叶うかどうかも、みんなの努力にかかってんで」
勇「もちろん協力しますよ。元々は僕の願い事ですしね」
瑞希「来年は成美もいてるやろうから、もっと賑やかな新年になるで」
歩「マルセロもいるだろうしな。ところで帰ったらどうする? 寝る?」
勇「僕はおねむです。いつもの就寝時間はとっくに過ぎてるので」
透「俺も寝るよ」
尚人「片づけは?」
知久「明日でええやろ」
瑞希「ほな、今日のところはお開きやな」
知久「そやな」