竜宮城は右の果てに
※在日外国人とひきこもりの当事者を差別するようなセリフがあります。このような差別を批判する意図で書いているものですが、ストレートに差別表現なので注意してください。
○ビーチ 昼
知久、竜宮城から飛び出し、全速力で砂浜を駆ける。
一同、竜宮城から次々と飛び出し、知久を追いかける。
成美「あいつ、速いぞ!」
勇「桐生さん、ちゃんとハッピーエンドで終わりますから! 桐生さんが全員を倒して、悪党がいなくなるという結末ですから!」
知久、後ろを振り返らず、前だけを見て走る。
知久「知らん、もう知らん。勝手にやってろ。俺には関係あらへん。極右が蔓延ろうが、俺はなあなあにやっていくだけや」
知久、一同をぶっちぎって駆け抜ける。
一同、追跡を諦め、知久の背中を見送る。
○市街地 駅の周辺 昼
知久、後ろを振り返りながら、市街地を歩いている。
通りすがる人が知久をちらちら見る。
知久「誰も来てへんな…」
知久、コンビニの前で立ち止まる。
知久、腰蓑を脱ぎ、八つ当たりするようにゴミ箱にぶち込む。
知久、再び市街地を歩き出す。
駅前で政治家が演説していて、その周辺に聴衆が集まっている。
知久、周辺をキョロキョロと回しながら、群衆の中に紛れる。
知久、ぼんやりと演説を眺める。
政治家「外国人労働者を制限しようと言うと、では人手不足はどうするのかとよく反論されます。しかし日本にはひきこもりが146万もいるんです。146万ですよ。労働市場から弾き出された日本人がこれだけいる。それなのに外国人労働者を増やす必要はありますか? これはヘイトですか? ひきこもりに社会参加の機会を与えることのどこがヘイトなんですか!」
聴衆、拍手喝采。一部に日の丸を振る者。
知久、はっとして周囲を見回す。
党員の一人がのぼりを持っているのが見える。のぼりはオレンジの生地で、『日本を明るく照らしたい 燦燦党』と書いてある。
知久、隣りに立っている支持者と目が合う。
支持者A「兄ちゃん、燦燦党は初めてか?」
知久「(引きつった笑顔で)まあ…」
知久、そっと後ろに下がろうとするが、別の支持者に腕を掴まれる。
支持者B「ええ筋肉してるわ。見た目もシュッとしててカッコええし。広報に向いてそうやね」
知久「ただの通りすがりなんで… 用事を思い出したんで帰ります」
支持者B「そんなこと言わんと。燦燦党さんも支持を伸ばしてるところやから、人手を探してるらしいねん。うち、党員の知り合いおるから、その人にあんたのこと紹介させてぇや」
知久「えっ、この人らも仕込みなん? こんな市街地でまさか…」
周囲の聴衆が次々と知久の方を振り向く。
支持者C、知久の頭から爪先までじろじろ見て、
支持者C「あんた、先祖代々日本人やろ。党首もあんたみたいな子を探し求めてるって」
支持者D「賢そうな顔してるねぇ。さすが阪大を出てるだけあって佇まいからしてちゃうわ」
支持者E「健康診断の結果も優秀やね。それでこそ日本男児や」
支持者F「それで独身なんてもったいないわ。党首の娘さんも独身らしいから、兄ちゃんやったら結婚相手にぴったりちゃうか」
支持者G「えらい稼いでるみたいやん。子どもを5人は養えるわ。嫁さんにようさん産ませて、日本の未来に貢献するんやで」
聴衆、知久に詰め寄る。
知久「これは夢? 現実? 夢やったら醒めてくれ…」
知久、聴衆に押し流されながらどこかに連れて行かれる。
知久、絶望した表情で天を仰ぐ。太陽が燦々と輝いている。
○ビーチ 昼
知久、竜宮城から飛び出し、全速力で砂浜を駆ける。
一同、竜宮城から次々と飛び出し、知久を追いかける。
成美「あいつ、速いぞ!」
勇「桐生さん、ちゃんとハッピーエンドで終わりますから! 桐生さんが全員を倒して、悪党がいなくなるという結末ですから!」
知久、後ろを振り返らず、前だけを見て走る。
知久「知らん、もう知らん。勝手にやってろ。俺には関係あらへん。極右が蔓延ろうが、俺はなあなあにやっていくだけや」
知久、一同をぶっちぎって駆け抜ける。
一同、追跡を諦め、知久の背中を見送る。
○市街地 駅の周辺 昼
知久、後ろを振り返りながら、市街地を歩いている。
通りすがる人が知久をちらちら見る。
知久「誰も来てへんな…」
知久、コンビニの前で立ち止まる。
知久、腰蓑を脱ぎ、八つ当たりするようにゴミ箱にぶち込む。
知久、再び市街地を歩き出す。
駅前で政治家が演説していて、その周辺に聴衆が集まっている。
知久、周辺をキョロキョロと回しながら、群衆の中に紛れる。
知久、ぼんやりと演説を眺める。
政治家「外国人労働者を制限しようと言うと、では人手不足はどうするのかとよく反論されます。しかし日本にはひきこもりが146万もいるんです。146万ですよ。労働市場から弾き出された日本人がこれだけいる。それなのに外国人労働者を増やす必要はありますか? これはヘイトですか? ひきこもりに社会参加の機会を与えることのどこがヘイトなんですか!」
聴衆、拍手喝采。一部に日の丸を振る者。
知久、はっとして周囲を見回す。
党員の一人がのぼりを持っているのが見える。のぼりはオレンジの生地で、『日本を明るく照らしたい 燦燦党』と書いてある。
知久、隣りに立っている支持者と目が合う。
支持者A「兄ちゃん、燦燦党は初めてか?」
知久「(引きつった笑顔で)まあ…」
知久、そっと後ろに下がろうとするが、別の支持者に腕を掴まれる。
支持者B「ええ筋肉してるわ。見た目もシュッとしててカッコええし。広報に向いてそうやね」
知久「ただの通りすがりなんで… 用事を思い出したんで帰ります」
支持者B「そんなこと言わんと。燦燦党さんも支持を伸ばしてるところやから、人手を探してるらしいねん。うち、党員の知り合いおるから、その人にあんたのこと紹介させてぇや」
知久「えっ、この人らも仕込みなん? こんな市街地でまさか…」
周囲の聴衆が次々と知久の方を振り向く。
支持者C、知久の頭から爪先までじろじろ見て、
支持者C「あんた、先祖代々日本人やろ。党首もあんたみたいな子を探し求めてるって」
支持者D「賢そうな顔してるねぇ。さすが阪大を出てるだけあって佇まいからしてちゃうわ」
支持者E「健康診断の結果も優秀やね。それでこそ日本男児や」
支持者F「それで独身なんてもったいないわ。党首の娘さんも独身らしいから、兄ちゃんやったら結婚相手にぴったりちゃうか」
支持者G「えらい稼いでるみたいやん。子どもを5人は養えるわ。嫁さんにようさん産ませて、日本の未来に貢献するんやで」
聴衆、知久に詰め寄る。
知久「これは夢? 現実? 夢やったら醒めてくれ…」
知久、聴衆に押し流されながらどこかに連れて行かれる。
知久、絶望した表情で天を仰ぐ。太陽が燦々と輝いている。
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