竜宮城は右の果てに
※尚人は弱視の当事者です。
真澄「…とうとうあれを披露するときが来たみたいね」
真澄、屏風の方を振り向いて、
真澄「栄太、あれを手配して」
屏風の裏から栄太の声。
栄太「了解。皆さんは壁の方にどけてください」
知久を除く一同、壁の方に退避。知久もつられて退避。
重機が近づく音。
知久、音のする方を見る。クレーン車が近づいて来るのが見える。クレーン車は檻を吊り下げている。
一同、動揺した様子。
知久「檻だけガチすぎへん?」
真澄「聞いてない、聞いてないって。やりすぎでしょ」
尚人「(目を細めて)何なん?」
歩「たぶん動物を輸送するための檻だね」
瑞希「栄ちゃん、さすがにどうかしてるやろ、あれは」
栄太「(屏風の裏から声を張り上げ)打ち合わせで説明したはずです」
瑞希「そやけど… あんな本格的なやつやって思わんやん」
作業服を着た人物が竜宮城に入って来る。作業員は無線機を持っている。
作業員「危ないので近づかないようにしてください」
クレーン車が竜宮城の近くで止まる。
作業員、無線機に向かって、
作業員「準備完了。そのまま降ろしてください」
檻が少しずつ降りていく。
一同、呆然とした様子で檻を見上げている。
× × ×
檻が竜宮城の中央に立っている。クレーンは撤収している。
一同、檻の周囲に立っている。
作業員、出入口の前で一礼して、
作業員「ご協力、ありがとうございました」
黒子、屏風の裏から顔を出す。
栄太「こちらこそありがとうございました」
作業員、竜宮城から退場。
黒子、屏風の裏に引っ込む。
真澄、口が半開きになっていたが、慌てて笑顔を作り、
真澄「ごめんね、想定よりすごいものが来たからびっくりしちゃった。このオンラインショップ、また利用しよ」
真澄、檻に右手をかけ、
真澄「トミーを収監するのに国家予算の半分がかかってるんだからね。むしろ光栄に思ってよ」
知久「予算の配分がおかしいやろ」
真澄「檻を丈夫にしておかないと、捕虜とか政治犯とか逃げちゃうじゃない。秩序の維持は国家運営の基本でしょ?」
知久「もう理屈が滅茶苦茶や…」
真澄、檻の扉を開けて、
真澄「VIP ROOMへようこそ」
知久「入りたいわけないやろ。(ため息をついて)でも他に選択肢ないやつやんな、これ」
真澄「入らなかったらこのままの状況が続くだけだね」
知久、渋々と檻に入る。
真澄、檻の扉を閉める。
真澄「そこの特攻服、監視をお願いね」
黒子、バールのようなものを抱えて、屏風の裏から現れる。
黒子、ヤンキーにバールのようなものを配る。
知久「さっきまでビニールやったのにどんどん凶悪になってるやん…」
真澄、歩、黒子、屏風の裏にはける。
成美、和真、尚人、瑞希、バールのようなものを持ち、檻の周囲を取り囲んでいる。
知久、そっと扉を押す。鍵がかかっていないため、そのまま扉が開く。
瑞希「おい!」
瑞希、バールのようなもので檻を叩く。金属音が響く。
知久、檻の中に戻り、扉を閉める。
知久「ごめんって…」
会話が途切れ、波の音が聞こえる。
知久「いつになったら終わるん、この茶番」
尚人、黙って肩をすくめる。
知久「そっちはこれからの展開を知ってるんやろ? 教えてくれへん? こっちも先に構えてた方が、よりシナリオに協力できるし」
成美「そう簡単には教えらんねぇな」
知久「そもそもの話なんやけどさ…(日本語対応手話を交えながら)これって誰が計画したことなん? 何で君らは従ってん?」
間を置いて、
成美「そういえば何でだろ?」
和真「特に何も考えてなかったな」
瑞希「そういうもんやって思うてたよな」
知久「そうやんな… 答えを期待した俺がアホやった」
尚人「神は能力を越えるような試練は与えへんから、君には乗り越える力が…」
知久「(言葉を遮って)俺は限界を越えてんねん。この試練を乗り越えたところで何になんねん」
少し間を置いて、
成美「…ドンマイ。それしか言えることねぇけど」
一同、黙り込む。
真澄「…とうとうあれを披露するときが来たみたいね」
真澄、屏風の方を振り向いて、
真澄「栄太、あれを手配して」
屏風の裏から栄太の声。
栄太「了解。皆さんは壁の方にどけてください」
知久を除く一同、壁の方に退避。知久もつられて退避。
重機が近づく音。
知久、音のする方を見る。クレーン車が近づいて来るのが見える。クレーン車は檻を吊り下げている。
一同、動揺した様子。
知久「檻だけガチすぎへん?」
真澄「聞いてない、聞いてないって。やりすぎでしょ」
尚人「(目を細めて)何なん?」
歩「たぶん動物を輸送するための檻だね」
瑞希「栄ちゃん、さすがにどうかしてるやろ、あれは」
栄太「(屏風の裏から声を張り上げ)打ち合わせで説明したはずです」
瑞希「そやけど… あんな本格的なやつやって思わんやん」
作業服を着た人物が竜宮城に入って来る。作業員は無線機を持っている。
作業員「危ないので近づかないようにしてください」
クレーン車が竜宮城の近くで止まる。
作業員、無線機に向かって、
作業員「準備完了。そのまま降ろしてください」
檻が少しずつ降りていく。
一同、呆然とした様子で檻を見上げている。
× × ×
檻が竜宮城の中央に立っている。クレーンは撤収している。
一同、檻の周囲に立っている。
作業員、出入口の前で一礼して、
作業員「ご協力、ありがとうございました」
黒子、屏風の裏から顔を出す。
栄太「こちらこそありがとうございました」
作業員、竜宮城から退場。
黒子、屏風の裏に引っ込む。
真澄、口が半開きになっていたが、慌てて笑顔を作り、
真澄「ごめんね、想定よりすごいものが来たからびっくりしちゃった。このオンラインショップ、また利用しよ」
真澄、檻に右手をかけ、
真澄「トミーを収監するのに国家予算の半分がかかってるんだからね。むしろ光栄に思ってよ」
知久「予算の配分がおかしいやろ」
真澄「檻を丈夫にしておかないと、捕虜とか政治犯とか逃げちゃうじゃない。秩序の維持は国家運営の基本でしょ?」
知久「もう理屈が滅茶苦茶や…」
真澄、檻の扉を開けて、
真澄「VIP ROOMへようこそ」
知久「入りたいわけないやろ。(ため息をついて)でも他に選択肢ないやつやんな、これ」
真澄「入らなかったらこのままの状況が続くだけだね」
知久、渋々と檻に入る。
真澄、檻の扉を閉める。
真澄「そこの特攻服、監視をお願いね」
黒子、バールのようなものを抱えて、屏風の裏から現れる。
黒子、ヤンキーにバールのようなものを配る。
知久「さっきまでビニールやったのにどんどん凶悪になってるやん…」
真澄、歩、黒子、屏風の裏にはける。
成美、和真、尚人、瑞希、バールのようなものを持ち、檻の周囲を取り囲んでいる。
知久、そっと扉を押す。鍵がかかっていないため、そのまま扉が開く。
瑞希「おい!」
瑞希、バールのようなもので檻を叩く。金属音が響く。
知久、檻の中に戻り、扉を閉める。
知久「ごめんって…」
会話が途切れ、波の音が聞こえる。
知久「いつになったら終わるん、この茶番」
尚人、黙って肩をすくめる。
知久「そっちはこれからの展開を知ってるんやろ? 教えてくれへん? こっちも先に構えてた方が、よりシナリオに協力できるし」
成美「そう簡単には教えらんねぇな」
知久「そもそもの話なんやけどさ…(日本語対応手話を交えながら)これって誰が計画したことなん? 何で君らは従ってん?」
間を置いて、
成美「そういえば何でだろ?」
和真「特に何も考えてなかったな」
瑞希「そういうもんやって思うてたよな」
知久「そうやんな… 答えを期待した俺がアホやった」
尚人「神は能力を越えるような試練は与えへんから、君には乗り越える力が…」
知久「(言葉を遮って)俺は限界を越えてんねん。この試練を乗り越えたところで何になんねん」
少し間を置いて、
成美「…ドンマイ。それしか言えることねぇけど」
一同、黙り込む。