竜宮城は右の果てに

※実在する団体や人物とは一切の関連はありません。
※不謹慎で不真面目で下品な風刺をしています。許せる方のみご覧ください。
※一部に差別的な表現があります。そのような差別を批判する意図で表現しているものですが、念のためご注意ください。
※一部に少々の暴力表現があります。流血はありません。
※登場人物(モブを除く)は全員が何らかのマイノリティーです。マイノリティーがやっているパロディーであることを留意してください。
※話に直接的な関連はありませんが、先にちょっとブレーメンまでを読んだ方がわかりやすいかもしれません。



○ビーチ 昼

 ビーチは都市に近く、すぐそばには高速道路が見える。ビーチはあまり広くない。
 知久、砂浜の上に仰向けで眠っている。知久はジャージに腰蓑を着用している。
 知久の近くに、ドローンが飛んで来る。ドローンから栄太の声。
栄太「トミー、起きて」
 知久、びっくりした様子で目を覚ます。
知久「何!?」
 知久、上半身を起こす。
 知久の視線の先、2時か10時(どちらでも可)の方向にテントが建っている。
知久「栄太はあそこにいるんか…」
栄太「栄太? 何のことでしょう? 私は天の声です」
知久「ああ、はい、わかったよ。めっちゃ覚えがある展開やな… ところでどこなん、ここ」
栄太「ここは丹後半島の海岸です」
知久「丹後半島って京都の?」
 知久、高速道路を指して、
知久「あれ、阪神高速やろ」
栄太「高速道路? そんなものあります? 何か存在しないものが見えましたか? ここは浦島太郎伝説の発祥の地、そして貴方は浦島太郎です」
 少し間を置き、
知久「ごめん、寝起きやから理解が追いつかへん」
 知久、右手で頭を抱え、俯く。
知久「昨日は仕事が終わったら、そのまま家に帰ったよな… 確か酒も飲まんと寝たはず。何でなん、何で気づかん内に拉致られてんねん」
栄太「拉致? 滅相もございません。浦島太郎が丹後半島の浜辺にいる、何も不自然なことはないじゃないですか」
 知久、顔を上げる。
知久「そういうことにしとくわ。どうせ抗議したところで巻き込まれるんやろ」
 知久、その場にのろのろと立ち上がり、服に付いた砂を払う。
知久「今回の衣装はまだマシか。ブレーメンでは変なタイツやったもんな」
栄太「ええ、低予算なりに演出を凝りましたからね。他のところでも頑張っているので期待していてください」
知久「何か怖いな…」
栄太「ところで浦島さん、貴方にはやらなければいけないことがありますね?」
知久「やらなあかんこと?」
栄太「そんなの一つだけでしょう。虐められている亀さんを助けてあげてください。ほら、後ろ」
 知久、上半身だけ振り向く。
 50mくらい離れたところに、亀の甲羅(素材は発泡スチロール)を背負った歩がうずくまっている。
 特攻服を着た成美、和真、尚人、瑞希が歩を取り囲み、ビニールの棒で甲羅を叩いている。
 亀がいるところのさらに向こうに、ベニヤ板の壁が見える。(壁は四方が30mくらいをイメージ)
 知久、向き直る。
知久「俺、あれと関わらなあかんの?」
栄太「何が見えました?」
知久「ヤンキーが亀を叩いてるところ…」
栄太「では助けてあげなければいけませんね」
知久「無理やって、ヤンキーを4人も相手にするなんて」
栄太「できますよ、ジェダイなら」
知久「ジェダイ? 今度はStar Warsになってるで…」
 テントの中からドローンが飛び出し、知久の方に向かって来る。ドローンはライトセーバーのおもちゃをぶら下げている。
知久「これでヤンキーと戦えって?」
栄太「そうです。トミーの長年の夢だったでしょう、ジェダイになりたいって」
知久「俺、ジェダイよりシスの方が好きなんやけどな…」
栄太「トミー、貴方のフォースはまだダークサイドには落ちていません。では頑張ってください。May the Force be with you. 」
知久「…断るって選択肢はないわけやな」
栄太「そういうことです」
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