これが私の生きる道
※こちらは2024年9月4日に書いたものを書き直しています。
※知久はアロマンティックでアセクシュアル、成美はAMABのノンバイナリーです。
※大阪府のパートナーシップ宣誓証明制度を参考にしていますが、誤ったことを書いている可能性があります。信用しないでください。また情報は2026年6月のものです。
○寮 知久の部屋 リビング-中 夜
部屋のインテリアはインダストリアルを基調としたもので、清潔で整っている。
テーブルを挟んで2台のソファー。テーブルの上にはビールとつまみが置かれている。
成美、ソファーに座り、スマホを眺めている。画面には若者の孤独死についての記事。服装はゆったりしたハーフパンツにTシャツ。長い髪を緩くシュシュで結んでいる。
知久、腹をさすりながらリビングに入ってくる。服装はスウェットのズボンにTシャツ。両腕のタトゥーが見えている。
知久「お待たせ」
知久、成美の向かいのソファーに座る。
成美、スマホをテーブルに置く。
成美「腹、治った?」
知久「たぶん落ち着いたはず」
成美「拾い食いでもした?」
知久「あれか… 昨日、刺身を拾って食うたせいか…」
成美「(笑って)仕方ねぇな。刺身が落ちてたら食うわ」
少し間を置いて、
成美「そういえばさっきまで孤独死の記事を読んでたんだけどさ」
知久「えっ、いきなり何の話やねん」
成美「たまたまLINE NEWSで見かけて読んだんだよ。孤独死する若者ってけっこういるんだってさ」
知久「怖っ。でも若者には単身世帯が多いやろうから、孤独死してもおかしないか…」
成美「俺もこのまま孤独死かな…」
知久「(笑って)心配しすぎやろ。今は寮で暮らしてるんやから」
成美「これから20年、30年の話だよ。トミーは心配じゃねぇのかよ。俺は心配だよ。家族とは色々とアレだし、恋人とは続かねぇし」
知久「俺も家族とはアレやけど… 俺、実は孤独死はそこまで心配してへんねんな。死んだら何もわからんようになるからな。見つかったときに原形があったらええかなってくらい」
成美「割り切ってんな」
知久「それよりも病気したときに病院はどうするとか、生きてる間の方が心配ではあるかな」
成美「そっちか… 確かにそれは問題だよな… 手術の同意とか家族じゃないとできないんだっけ?」
知久「そういうケースがあるみたいやな。最近はパートナーシップ制度やったら対応してくれるところもあるらしいから、独身の友達とパートナーになるか…」
成美「それなんだけどさ。パートナー、俺とはどう?」
少し間を置いて、
知久「どういうこと?」
成美「俺もパートナーになってくれる友達を探してるところだったから。恋人とはすぐに別れるかもしれねぇけど、友達なら続きそうじゃん」
知久「和真は?」
成美「あいつ、サイコパスだからな…」
知久「そこはちょっと考えるよな…」
成美「というか和真には断られたんだよな。今のところ特定の誰かとパートナーになるつもりはないんだって。あいつはふらふらしてるのが好きなんだよ」
知久「家族ともうまくやってるみたいやからな。パートナーシップを結ぶ必要性もないよな」
成美「対してトミーはめちゃくちゃ必要性あるだろ? どうよ、これほど利害が一致する相手もそうそういねぇだろ」
知久「そうなんやけど…」
知久、腕を組んで少し考え込んでから、
知久「わかった、ええよ。でもとりあえずは仮のパートナーってことでええ? これから先のことまではすぐには決められへんから。もしお互いに事情が変わることがあったら、そのときはそのときで考えよう」
成美「いいよ、それでも。まずはお試しってことで」
× × ×
知久、スマホを操作している。スマホの画面は大阪府のパートナーシップ宣誓証明制度のページ。
成美、知久の隣りに座り、スマホを覗き込んでいる。
知久「制度の正式名称は『パートナーシップ宣誓証明制度』みたいやな。パートナーとして宣誓したことを証明する、と」
成美「妙に遠回しな名称だな」
知久「法律が同性パートナーを保護してへん以上、自治体にできるのはせいぜい宣誓を証明することくらいなんやろ」
成美「いきなり現実を突きつけられるな」
知久「で、宣誓の要件は…」
知久、文章にざっと目を通してから、
知久「どちらも成人してること、どちらかでも府内に住んでること、独身であること… イケるな」
成美「うん、オッケー」
知久「そして必要な書類。住民票、戸籍抄本か戸籍謄本…」
成美「戸籍まで要るのかよ。ずいぶん本格的だな、証明書を発行してもらうだけなのに」
知久「…成美、本籍は秋田やった?」
成美「そうだよ」
知久「それやったら戸籍を取り寄せるのに時間がかかるかもしれへんから、早めに手続きしてや」
成美「マジか。俺、書類関係のこと苦手なんだよな」
知久「知ってる。でもこればかりはやってもらわな困るから」
成美「わかったよ。そんな面倒なことまでやっても、もらえる権利はお情けでしかねぇのな」
知久「これでも判例の積み重ねがあったりして、以前より権利は広がってるらしいけどな。ただ法的に効力があるわけちゃうから、自治体や企業が配慮してくれるかに左右されるんが現実やな」
成美「それじゃ孤独死対策にならねぇじゃねぇか」
知久「法律婚と同等の権利が欲しいんやったら、養子縁組するしか手がないな。その辺りは必要があったら話をしよう」
成美「そうだな」
成美、力が抜けたようにソファーにもたれて、
成美「生きてたら色々あるのはクィアでもそうじゃなくても変わらないのに、ここまで差があるのはやっぱり不公平だよな」
知久「ホンマに、な」
成美「最近はマイノリティーの権利が行きすぎてるとか言うけど、これのどこが行きすぎてるんだよ、まったく」
※知久はアロマンティックでアセクシュアル、成美はAMABのノンバイナリーです。
※大阪府のパートナーシップ宣誓証明制度を参考にしていますが、誤ったことを書いている可能性があります。信用しないでください。また情報は2026年6月のものです。
○寮 知久の部屋 リビング-中 夜
部屋のインテリアはインダストリアルを基調としたもので、清潔で整っている。
テーブルを挟んで2台のソファー。テーブルの上にはビールとつまみが置かれている。
成美、ソファーに座り、スマホを眺めている。画面には若者の孤独死についての記事。服装はゆったりしたハーフパンツにTシャツ。長い髪を緩くシュシュで結んでいる。
知久、腹をさすりながらリビングに入ってくる。服装はスウェットのズボンにTシャツ。両腕のタトゥーが見えている。
知久「お待たせ」
知久、成美の向かいのソファーに座る。
成美、スマホをテーブルに置く。
成美「腹、治った?」
知久「たぶん落ち着いたはず」
成美「拾い食いでもした?」
知久「あれか… 昨日、刺身を拾って食うたせいか…」
成美「(笑って)仕方ねぇな。刺身が落ちてたら食うわ」
少し間を置いて、
成美「そういえばさっきまで孤独死の記事を読んでたんだけどさ」
知久「えっ、いきなり何の話やねん」
成美「たまたまLINE NEWSで見かけて読んだんだよ。孤独死する若者ってけっこういるんだってさ」
知久「怖っ。でも若者には単身世帯が多いやろうから、孤独死してもおかしないか…」
成美「俺もこのまま孤独死かな…」
知久「(笑って)心配しすぎやろ。今は寮で暮らしてるんやから」
成美「これから20年、30年の話だよ。トミーは心配じゃねぇのかよ。俺は心配だよ。家族とは色々とアレだし、恋人とは続かねぇし」
知久「俺も家族とはアレやけど… 俺、実は孤独死はそこまで心配してへんねんな。死んだら何もわからんようになるからな。見つかったときに原形があったらええかなってくらい」
成美「割り切ってんな」
知久「それよりも病気したときに病院はどうするとか、生きてる間の方が心配ではあるかな」
成美「そっちか… 確かにそれは問題だよな… 手術の同意とか家族じゃないとできないんだっけ?」
知久「そういうケースがあるみたいやな。最近はパートナーシップ制度やったら対応してくれるところもあるらしいから、独身の友達とパートナーになるか…」
成美「それなんだけどさ。パートナー、俺とはどう?」
少し間を置いて、
知久「どういうこと?」
成美「俺もパートナーになってくれる友達を探してるところだったから。恋人とはすぐに別れるかもしれねぇけど、友達なら続きそうじゃん」
知久「和真は?」
成美「あいつ、サイコパスだからな…」
知久「そこはちょっと考えるよな…」
成美「というか和真には断られたんだよな。今のところ特定の誰かとパートナーになるつもりはないんだって。あいつはふらふらしてるのが好きなんだよ」
知久「家族ともうまくやってるみたいやからな。パートナーシップを結ぶ必要性もないよな」
成美「対してトミーはめちゃくちゃ必要性あるだろ? どうよ、これほど利害が一致する相手もそうそういねぇだろ」
知久「そうなんやけど…」
知久、腕を組んで少し考え込んでから、
知久「わかった、ええよ。でもとりあえずは仮のパートナーってことでええ? これから先のことまではすぐには決められへんから。もしお互いに事情が変わることがあったら、そのときはそのときで考えよう」
成美「いいよ、それでも。まずはお試しってことで」
× × ×
知久、スマホを操作している。スマホの画面は大阪府のパートナーシップ宣誓証明制度のページ。
成美、知久の隣りに座り、スマホを覗き込んでいる。
知久「制度の正式名称は『パートナーシップ宣誓証明制度』みたいやな。パートナーとして宣誓したことを証明する、と」
成美「妙に遠回しな名称だな」
知久「法律が同性パートナーを保護してへん以上、自治体にできるのはせいぜい宣誓を証明することくらいなんやろ」
成美「いきなり現実を突きつけられるな」
知久「で、宣誓の要件は…」
知久、文章にざっと目を通してから、
知久「どちらも成人してること、どちらかでも府内に住んでること、独身であること… イケるな」
成美「うん、オッケー」
知久「そして必要な書類。住民票、戸籍抄本か戸籍謄本…」
成美「戸籍まで要るのかよ。ずいぶん本格的だな、証明書を発行してもらうだけなのに」
知久「…成美、本籍は秋田やった?」
成美「そうだよ」
知久「それやったら戸籍を取り寄せるのに時間がかかるかもしれへんから、早めに手続きしてや」
成美「マジか。俺、書類関係のこと苦手なんだよな」
知久「知ってる。でもこればかりはやってもらわな困るから」
成美「わかったよ。そんな面倒なことまでやっても、もらえる権利はお情けでしかねぇのな」
知久「これでも判例の積み重ねがあったりして、以前より権利は広がってるらしいけどな。ただ法的に効力があるわけちゃうから、自治体や企業が配慮してくれるかに左右されるんが現実やな」
成美「それじゃ孤独死対策にならねぇじゃねぇか」
知久「法律婚と同等の権利が欲しいんやったら、養子縁組するしか手がないな。その辺りは必要があったら話をしよう」
成美「そうだな」
成美、力が抜けたようにソファーにもたれて、
成美「生きてたら色々あるのはクィアでもそうじゃなくても変わらないのに、ここまで差があるのはやっぱり不公平だよな」
知久「ホンマに、な」
成美「最近はマイノリティーの権利が行きすぎてるとか言うけど、これのどこが行きすぎてるんだよ、まったく」