それでも明日は来る
※希死念慮をテーマにしています。ご自身の体調と相談された上で、無理せずにお読みください。
※栄太は法学部の出身です。
※チューイは知久が飼っている猫です。
○寮 知久の部屋 リビング-中 夜
知久、栄太、テーブルを挟み、向かい合ってソファーに座っている。
テーブルの上にはコーヒーカップが二つ。
栄太「ところで私に話とは何でしょう?」
知久「ちょっと相談したいことがあって…」
栄太「はい、どうぞ」
知久、落ち着かない様子で自分の手を弄んでいる。
知久「特別な意図はないから深読みせんといてほしいんやけど… 親を相続排除することってできるんかなって」
栄太「(訝しむ様子で)相続排除? いきなり何故? 相続放棄の間違いではなくて?」
知久「もし俺に万が一のことがあったときに、親に何も遺さんようにしたいねん」
栄太「そんなことトミーが心配する必要あります? 逆ならわかりますが。…何かあったんですか?」
知久「ホンマに深読みせんといてほしいねん。大した事情ないから。俺が親と不仲やってこと、栄太も知ってるやろ」
栄太「一般的に不仲という理由では相続排除できません。トミー、本当に何もないんですか? 当たり前ですが事情がわからなければ答えようがありませんよ」
知久「ただ聞いてみただけやって」
栄太「私に話しづらいようでしたら、弁護士をやっている知人がいるので紹介しましょうか?」
少し間を置いて、
知久「(取り繕うような笑みを作り)…やっぱりええわ。さっきの話は忘れて」
栄太「トミー、ここからは私をリーダーではなく友人だと思ってください。ちょっと踏み込んだことを聞きますね。変なこと考えていませんか?」
知久「(表情が引きつる)変なことって?」
栄太「遺産を遺すようなことを想定していません?」
知久「そんな大袈裟に受け取られても困るんやけど…」
栄太「トミー、相続排除の他に話したいことがありますね?」
知久、黙り込む。
栄太「これは私に対するSOSですね? そう受け取りましたが違いますか?」
知久、黙って泣く。
栄太「やっぱりね… ここのところずっと何かを考え込んでいた様子でしたから…」
栄太、立ち上がり、知久の隣りに座る。
栄太「つらかったら話せなくても構いません。でも話せそうなら教えてほしい。本当は私に何を相談したいのですか?」
しばらく間を置いて、
知久「…死にたい」
栄太、黙って知久を見つめる。知久の言葉が続くかどうか待つ。
栄太「まだ話したいことはありますか? 焦らなくて大丈夫ですからね、いくらでも待ちますから」
しばらく間を置いて、
知久「今はちょっとしんどい…」
栄太「わかりました。私を信じてくれてありがとうございます。では私も応えなければいけませんね。まずは大事なことを確認します。今晩は耐えられそうですか?」
知久、頷く。
知久「今すぐ死にたいというより、今までずっと死にたいと思ってて、それが限界に近づいてる感じ」
栄太「それでも生きていてくれたんですね。今日までとてもつらかったことでしょう」
知久、嗚咽しながら頷く。
栄太、知久をハグして、背中を軽く叩く。
栄太「これだけは伝えたいんです。私は明日も貴方に会いたい」
知久、栄太にハグされながら頷く。
知久「頑張る」
栄太、ハグを解く。
栄太「良かった、それだけは約束してほしかったから。とりあえず明日のことは明日に考えましょう。今夜は泊まります」
知久「ごめん…」
栄太「謝らないで。今はやり過ごすことだけを考えてください」
知久、頷く。
※栄太は法学部の出身です。
※チューイは知久が飼っている猫です。
○寮 知久の部屋 リビング-中 夜
知久、栄太、テーブルを挟み、向かい合ってソファーに座っている。
テーブルの上にはコーヒーカップが二つ。
栄太「ところで私に話とは何でしょう?」
知久「ちょっと相談したいことがあって…」
栄太「はい、どうぞ」
知久、落ち着かない様子で自分の手を弄んでいる。
知久「特別な意図はないから深読みせんといてほしいんやけど… 親を相続排除することってできるんかなって」
栄太「(訝しむ様子で)相続排除? いきなり何故? 相続放棄の間違いではなくて?」
知久「もし俺に万が一のことがあったときに、親に何も遺さんようにしたいねん」
栄太「そんなことトミーが心配する必要あります? 逆ならわかりますが。…何かあったんですか?」
知久「ホンマに深読みせんといてほしいねん。大した事情ないから。俺が親と不仲やってこと、栄太も知ってるやろ」
栄太「一般的に不仲という理由では相続排除できません。トミー、本当に何もないんですか? 当たり前ですが事情がわからなければ答えようがありませんよ」
知久「ただ聞いてみただけやって」
栄太「私に話しづらいようでしたら、弁護士をやっている知人がいるので紹介しましょうか?」
少し間を置いて、
知久「(取り繕うような笑みを作り)…やっぱりええわ。さっきの話は忘れて」
栄太「トミー、ここからは私をリーダーではなく友人だと思ってください。ちょっと踏み込んだことを聞きますね。変なこと考えていませんか?」
知久「(表情が引きつる)変なことって?」
栄太「遺産を遺すようなことを想定していません?」
知久「そんな大袈裟に受け取られても困るんやけど…」
栄太「トミー、相続排除の他に話したいことがありますね?」
知久、黙り込む。
栄太「これは私に対するSOSですね? そう受け取りましたが違いますか?」
知久、黙って泣く。
栄太「やっぱりね… ここのところずっと何かを考え込んでいた様子でしたから…」
栄太、立ち上がり、知久の隣りに座る。
栄太「つらかったら話せなくても構いません。でも話せそうなら教えてほしい。本当は私に何を相談したいのですか?」
しばらく間を置いて、
知久「…死にたい」
栄太、黙って知久を見つめる。知久の言葉が続くかどうか待つ。
栄太「まだ話したいことはありますか? 焦らなくて大丈夫ですからね、いくらでも待ちますから」
しばらく間を置いて、
知久「今はちょっとしんどい…」
栄太「わかりました。私を信じてくれてありがとうございます。では私も応えなければいけませんね。まずは大事なことを確認します。今晩は耐えられそうですか?」
知久、頷く。
知久「今すぐ死にたいというより、今までずっと死にたいと思ってて、それが限界に近づいてる感じ」
栄太「それでも生きていてくれたんですね。今日までとてもつらかったことでしょう」
知久、嗚咽しながら頷く。
栄太、知久をハグして、背中を軽く叩く。
栄太「これだけは伝えたいんです。私は明日も貴方に会いたい」
知久、栄太にハグされながら頷く。
知久「頑張る」
栄太、ハグを解く。
栄太「良かった、それだけは約束してほしかったから。とりあえず明日のことは明日に考えましょう。今夜は泊まります」
知久「ごめん…」
栄太「謝らないで。今はやり過ごすことだけを考えてください」
知久、頷く。