階段の怪談

「俺はこのあと野暮用があって学生寮まで送れねえけどよ、まっすぐ帰るんだぜ、主様」
「はーい、今度は楽しい話題の時に呼ぶよ」
「おう、そうしてくれや」

 にこやかに主人を見送ったオニワカが、神宿学園の校舎を振り返る。
 校舎の非常階段に向かって、歩を進めた。

「二階の四段目……だったな?」

 主人を護り抜く忠義者の声が、低くなった。
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