胡蝶の夢
長い長い、夢を見ていた気がする。
もぞりと布団の中で身じろぎをすると、整った男の顔が手の届く位置にあった。
顔に斜めに走る傷跡が痛々しいが、この男の美貌はそんなものでは損なわれない。今は閉じられ隠された、黄緑色の燐光を宿す瞳、さらさらと流れるように落ちる銀糸の様な長い髪も。普段と異なる様子で私に愛を囁く姿も。
全てが、現実のモノであると感じて、漸く息を吐いた。
「どうしたんだい……?」
寝起きの為に掠れた声で、アンダーテイカーは私に語りかける。
「どうもしてないわ、唯、酷く長い夢を見ていた気がするの。」
「小生も、随分と懐かしい頃の夢を見ていた気がするよ。唯、其の頃より幸せだったと思う。」
いつもの変人的な喋り方は形を潜め、穏やかな口調でそう言いながら、私の髪を梳く。
「若しかしたら、夢の中で同じものを見ていたのかも知れないわね。」
そうだねェ。そう言ってアンダーテイカーは笑った。
ある、朝の話であった。
もぞりと布団の中で身じろぎをすると、整った男の顔が手の届く位置にあった。
顔に斜めに走る傷跡が痛々しいが、この男の美貌はそんなものでは損なわれない。今は閉じられ隠された、黄緑色の燐光を宿す瞳、さらさらと流れるように落ちる銀糸の様な長い髪も。普段と異なる様子で私に愛を囁く姿も。
全てが、現実のモノであると感じて、漸く息を吐いた。
「どうしたんだい……?」
寝起きの為に掠れた声で、アンダーテイカーは私に語りかける。
「どうもしてないわ、唯、酷く長い夢を見ていた気がするの。」
「小生も、随分と懐かしい頃の夢を見ていた気がするよ。唯、其の頃より幸せだったと思う。」
いつもの変人的な喋り方は形を潜め、穏やかな口調でそう言いながら、私の髪を梳く。
「若しかしたら、夢の中で同じものを見ていたのかも知れないわね。」
そうだねェ。そう言ってアンダーテイカーは笑った。
ある、朝の話であった。