夏の小さな恋物語
名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
宗次郎と小さな女の子のお話でほのぼの。
期間限定連載です。
「ごめんくださぁい。」
「はあい。」
この時季になると、避暑がてら僕達はとある拠点に身を移しています。──今日はよく晴れているなぁと涼んでいると、表から声が聞こえてきた。
誰だろう?
「どちら様ですか?……あれっ?」
扉を開けたものの、誰もいない。
あれ、と周りを見渡そうとすると──
「宗次郎っ!」
「──あっ、名無しさん!?」
「えへへ、来ちゃった♪」
思わぬ箇所からの声に驚きの声を上げる僕を見上げて、にこにこ笑顔になる彼女──名無しさん。
足元に佇む、まだ背丈の小さな彼女。思いがけない訪問に戸惑っていると、名無しさんは僕に飛び付いてきた。
「わっ。」
「宗次郎、会いたかったー!」
「…あはは、僕もです♪」
かわいらしい彼女に自然と笑顔を浮かべていた。
「へえ-、夏休みですか?」
「ああ。」
ちりんちりん、と風鈴が心地よい音を奏でている。涼しい部屋の中で麦茶を飲みながら、志々雄さんの話を聞く。
「…しばらくの期間、幼稚園が休みになるんだと。それで会いに来たんだと。」
「え、僕にですか?嬉しいなぁ。」
「俺も含まれてるからな…」
「はいはい。」
なぜか意気消沈しているように見える志々雄さんが気になって、隣に佇む由美さんにこっそり聞いてみる。
「…なんか志々雄さん、元気なくないですか?名無しさんが来るとすごく喜ぶはずなのに。」
「迎えに行ったら『宗次郎がよかった』と言われたらしいわ。」
「あー…道理で…」
「あと、一緒に帰ってきたはいいものの、家に入る時に『宗次郎と二人きりで再会したいから志々雄さんはあっち行ってて』とも言われたようよ。」
「……」
志々雄さんの怒りの矛先を向けられる前にこの場を離れようっと。
「あ、僕ちょっと用を思い出したので失礼しまぁす。」
「宗次郎ー!遊ぼう!」
…運がいいのか悪いのか、がらっと襖を開けて名無しさんが飛び出してきた。
「…名無しさん、とりあえずあちらに行きましょうか。」
「え?なに?でーと??」
「どこでそんな言葉覚えてきたんですか…」
「宗次郎、てめえよう…いちゃいちゃし」
「ほらほら名無しさんどこか違うところ行きましょう。」
「はーい。」
しばらく大変かもしれないけど…でも名無しさんがいるのは楽しいし、まあ、いいか。
1/7ページ