四季彩り折々
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※食って掛かられる番外編
「あ、宗次郎。そこじゃなくて。」
「え?」
クリスマスの飾り付けをしている最中、暖炉の手入れをしていた名無しは声を上げた。
星の連なったモールをツリーに飾ろうとしていた宗次郎は手を止めた。
そして。
「そのこだわりに意味はあるんですか?」
「それ、明らかに馬鹿にしてますよね?」
「いえ…名無しさんに従わなければいけないのなら、それなりに納得できる理由を聞いときたくて。」
「“馬鹿が口出ししやがって”って訳でおっけー?」
「そう思うのはね、名無しさんの心が腐ってるんですよ。」
名無しは口先を尖らせながら宗次郎のモールについた飾りに触れて見つめる。
「なんとなくだけど…これはあの飾り棚に貼り付けたら明るくなるんじゃないかなぁって。」
「はーい。」
「…へ?」
ひょい、と宗次郎は素直に名無しの言うとおりに飾りをつける。
思わず目を丸くする名無し。
「あれ?これでいいんでしょ?」
「お、おう…」
「なんて顔してるんですか。」
「いや、あれだけ渋っといてあっさり…」
「面倒な人だなぁ。」
宗次郎は笑いながら、次の飾り、吊す形式のジンジャーブレッドマンをいくつか手にした。
「これは?どこにしますか?」
「あ、それはツリーでいいんじゃないかな?」
「はーい。」
すたすたすた、とクリスマスツリーへと引き返す宗次郎。
そのまま、自分の行っていた飾り付けの続きをしていた名無しだったが、ふと思い直して慌てて彼の方へ振り返る。
「ごめん!宗次郎!やっぱり…そこの壁に貼り付けた方がいいかも。」
「はーい♪」
無意味に移動させてしまったなぁ、と申し訳なく思った名無しだったが、予想に反して明るい声の彼の声に、機嫌を損ねていないようでよかった、と思うのであった。
暫くして名無しが顔を上げて、ジンジャーブレッドマンを見てみると──
「…なにこれ。一人“名無し”って名前貼られて吊されてるんですけど。」
「ちょっと趣向を凝らしておきました。」
「藁人形を髣髴とさせるんですけど。怖いんだけど。」
「別に、名無しさんを吊してあげたっていいんですよ?(にこにこ)」
「どんだけ真っ黒なクリスマスよ。」
「でも…」
「?」
名無しが振り向くと、朗らかに宗次郎は微笑んだ。
「こうやってみるのも楽しいですよね。」
「うん、そうだね!わくわくするよね、みんなでパーティーだなんて。」
「年の瀬ですしね。ちょうど皆さん集まれましたからね。」
「そうそう!鎌足さんがね、有名シェフの限定ケーキ注文してくれたんだって!…そういえば、志々雄さんプレゼントくれないかなー?」
名無しは目を輝かせる。
「私ダイヤモンドとか欲しい-!」
「それはないでしょ。名無しさんなんてその辺の石ころで十分でしょ。」
「漬け物石みたいなノリで言うのやめてくれる?」
「あ、名無しさん。」
一生懸命、大きなツリーに長いモールを巻き付けようとしていた名無しの肩を叩く。
「それで最後でしょう?僕がやりますよ。」
「そう?ありがとう♪」
差し伸べた手に飾りを引き渡した。
飾り付けをする彼の背中を見守りながら。
さらっと、笑顔で。
仕事とか、こういう場では本当に出来る人だなと、以前から思っていたことをしみじみ思う。
さり気なく、自然と配慮出来るところが…なんだかんだ優しいなあって…
「…宗次郎って…やっぱりかっこいいな…」
「えっ。」
「……あ//」
「…いきなり何を言ってるんですか…//」
振り向いた宗次郎は明らかに動揺している。
頰を染める様が、ちょっと可愛いと思いながらも、迂闊に言ってしまった自分の言葉の恥ずかしさに慌てて取り繕うとしてしまう。
「え、えっとー…///あ、うん!気の迷い!!」
「は?気の迷い?」
「…ごめんなさい、つい。本音です…///」
ああ、もう、何やらかしてるんだか。
恥ずかしさに目を瞑り、彼もその言葉を浴びせてくるんだろなと考えていたら。
「どうして…あなたはそう…//」
「…?」
絞り出したような声に目を開けると、そっと、手を握られた。
「…どうしたらいいかわからないじゃないですか…」
「……っ……//」
睨み付けてくるも、甘くまどろんだ目線。
「え、えぇっと……//」
触れられたところがじんわりと熱を帯びる。
いつもの強気が溶けたような宗次郎の瞳。
…今ならちょっと…甘えてみても、正直になってみてもいいかな…?//
「ね、宗次郎!
…キス、して…?」
ガチャ!
鎌「さあさあ、おっぱじめようじゃないの!」
由「私高いワイン買っちゃった!極上ものよ!」
志「方治…てめえサンタ似合わねぇな。トナカイの方がよかったか。」
方「ううぅ…」
──部屋に入ってきた一同と対峙。
向かい合ったまま固まる宗次郎と名無し。
………。
皆さん、お察し。
由「あ、あらあらあらあら…?」
鎌「お邪魔…だったかしら…?」
方「……!?(知らなかった人)」
志「ふーん?」
「あ、あちゃー…///」
名無しは思わず赤面する。
「な、なんちゃってね!ドッキリでしたぁ!…って無理があるか…//」
「…名無しさん、人前ですから。」
「うん、そそ、そうだね!!」
あたふたする名無しに。
宗次郎は微笑みかけた。
──両手を添えて、その頰を包み込みながら。
…ちゅ。
「……えっ///」
ほっぺたに、暖かな感触。
「…なので、こっちに。」
「…!」
「…あ。そうだ名無しさん、そろそろ時間なんで隣の部屋からクラッカー取ってきてくれます?」
「あ、うん///」
不敵に微笑まれ、身を離されるも。
少しだけ照れた、彼の綺麗な顔立ち。
「唇はお預けにしときますね。」
去り際に、小さな声でそっと囁かれた。
「…うん。」
鎌「……!何よもう!見せつけてくれるわね//」
由「なんだかんだ恋人なのね//」
「…そんな甘い感じの関係じゃありませんよ。
…ちょっと特別なだけ、かな?」
そう、宗次郎はこぼした。
頰に色付いた赤みは残ったままで…
Merry Christmas
名無し(…わ!志々雄さん!こ、これは!!)
志(開けてみろ。)
名無し(わあああ!ありがとうございまーす!!…あれ、これ何…?)
由(ノート、漢字ドリル、国語辞典……?)
志(それでもう少しおつむを磨け。)
名無し(私そこまで馬鹿じゃないですよぉ…!方治サンタさぁん…!)
方(いやいや!私はプレゼントの用意なんてしてないぞ!)
名無し(そこをどうか……!!)
鎌(宗ちゃぁん…これ私と由美さんからのプレゼント!)
宗(あ、ありがとうござ……)
鎌(うふふ、名無しには内緒よぉ~?こっそり使うのよ?)
宗(……えっと。)
鎌(あら!真っ赤になっちゃって!ウブねぇ♪)
宗(違いますっ。)
名無し(!宗次郎、鎌足さん何してるの-?)
宗(なんでもないです…!//)
鎌・由(うふふふ♪)
END
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