四季彩り折々
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※二人が付き合う前のお話です。
「宗次郎、宗次郎!」
「なんです?」
「いいよね~!志々雄さんと由美さんって!」
名無しは憧れるような眼差しを浮かべて宗次郎に語り掛けた。
「…何がどういう風にいいのか、丸々抜けてるので迂闊に賛同出来ないんですけど。」
「は?」
「だって名無しさんでしょ、失礼なことを言ってるかもしれないじゃないですか。」
「普通、ニュアンスでわからない?」
「名無しさんがその普通のレベルに達していないので。」
「はー、面倒くさ。」
「…それは勿論、ご自身の行いを省みて自分のことを言ってるんですよね?(にこにこ)」
「え、なんで抜刀術の構え?…はいはい、面倒くさいのは私ですよーだ、どうせ。」
「つうかあでわかる夫婦じゃないんですから。」
「そう、それ!」
「えっ?」
名無しはぱしっと自分の太股を叩き、そして宗次郎の両手を握った。
「…え、なんですか。」
「志々雄さんと由美さん、まさにいい夫婦じゃない?って言いたかったの!」
「はあ…?」
少し歯切れの悪そうにする宗次郎の様子になどまるで気にも止めず、名無しは続ける。
「志々雄さんは男の中の男で、それだけにはとどまらずああして由美さんのことちゃんと理解して時には由美さんをも立てて由美さんを大事にしてて、本当にかっこよくて。」
「えっと、あの、」
「そしてそう、絶対ぶれない!強さも由美さんに対しての愛情も!本っ当、そう、イッケメン!!」
「…あの…」
心なしか頬を少し色付かせたようにも見える宗次郎の顔。しかし名無しは少しも気に掛けることなく。
より一層強く宗次郎の手を両手で握り締めて語り続ける。
「由美さんは美人!綺麗!お色気!パーフェクッ!!」
「名無しさ」
「な・の・に!!面倒見が良くて慈悲深くて優しくて時には叱って…でも私のことすごく考えてくれてて…ああもうずっと由美さん、傍にいてほしい!!そんな由美さん…その姿は…そう…まるで女神…」
「…志々雄さんとの仲についての話から名無しさんに対しての施しの話にすり替わってますけど?」
宗次郎の言葉にようやく名無しは我に返った。
「はっ!私ったら!いつの間にか私の由美さんへの熱い想いを!」
「まったく…」
「でも、宗次郎だって同じこと思うでしょ?」
「…それより名無しさん。」
少し困り顔で宗次郎は告げた。
「…手、いいんですか?」
「……て?」
「あの、僕の手ずっと握ってるんですけど…さっきから。」
…静止。のちに。
「うわあぁあぁあ!!///」
「……」
我に返った名無しは叫び声を上げた。しかし。
「…え、名無しさん。」
「あ、あれ?あれ…あれれ…!?」
「ちょ、ちょっと…なんで離さないんですか。」
「ど、どうしたものやら!」
名無しは頑なに宗次郎の手を解放しない。それどころかますます強く宗次郎の両手を握り抱えた。
「ふ、震える!ビビり過ぎて震えて…手動かないよ!?」
「いや、おかしいでしょ。動かないわけないですよね?ふざけないでください。」
「だ、だって、怖いよー!宗次郎に痴漢で訴えられるー!!慰謝料ぼったくられるー!」
「…純然たる阿呆だなと今あらためて思いました。」
呆れ果てた様子の笑みを浮かべながら暫く物思いに耽っていたが。
軽く名無しの手を握り返してみた。
「えっ?」
「なんです?その顔。」
「えっ、べ、別にっ…!」
「……」
明らかにしどろもどろとする名無しに宗次郎は含み笑いをする。そして、じっと彼女の顔を覗き込むのであった。
「え、なにっ…?」
「いえ、可愛いなと思って。」
途端にみるみるうちに染まり上がる頬。
「何を薮から棒に…」
「これだけで照れるなんて。これ以上近付いたらどうなっちゃうんだろうなぁ。」
ぐい、とさらに距離を詰めると大きく見開かれる目。
心なしか火照ったような熱を感じ取った。
「…!もう!乙女の純情をからかって!許さない!」
「あっ、と…やっと離してくれましたね。」
「…あ。」
「ほら、ね?」
にこにこと微笑みかけると、名無しはなるほど、と納得と安堵の色を浮かべるのであった。
「でもなんか悔しい…不覚にもどきっとしてしまった…」
「え?何か言いました?」
「なんでもない!!」
慌てて大声を上げてぶんぶんと首を左右に振る名無し。そんな彼女の仕草の意図を知ることはなしに宗次郎は。
「でも、もしあのままずっと離さなければ…」
「…?」
「僕が名無しさんをお嫁さんに貰うほかないですよね。」
「………」
「…え?なんです、その反応。仮定の話ですけど…そうなったら名無しさん困りません?」
「えー…いや、まあそうなったら…まあ、仕方ないかなぁって…」
「は?」
「…思いました。」
互いに目を見開きながら見つめ合い──暫くそのまま膠着が続いたのち。
「…え?私何か間違ったこと言った!?あ、あっちか?宗次郎きもいとか言えばよかった!?」
「あなたはたわ言しか答えられないんですか?そもそも名無しさんがさっさと手を離してくれたら済む話なんですけど。」
「だ、だってぇ…!」
「まったく…これだから愚図は。」
「はあ!?」
結局、しばらくの間、押し問答する光景が続いたそう…
──この時はまだ、夫婦になる約束をする未来が待ち受けているだなんて思ってもみなかった二人。
…なのでしょうか、はたして…?
思いがけずあなたが
(からかいがいがあるなぁ…ついからかってしまったけど、ちょっと可愛かったな…)
「宗次郎、宗次郎!」
「なんです?」
「いいよね~!志々雄さんと由美さんって!」
名無しは憧れるような眼差しを浮かべて宗次郎に語り掛けた。
「…何がどういう風にいいのか、丸々抜けてるので迂闊に賛同出来ないんですけど。」
「は?」
「だって名無しさんでしょ、失礼なことを言ってるかもしれないじゃないですか。」
「普通、ニュアンスでわからない?」
「名無しさんがその普通のレベルに達していないので。」
「はー、面倒くさ。」
「…それは勿論、ご自身の行いを省みて自分のことを言ってるんですよね?(にこにこ)」
「え、なんで抜刀術の構え?…はいはい、面倒くさいのは私ですよーだ、どうせ。」
「つうかあでわかる夫婦じゃないんですから。」
「そう、それ!」
「えっ?」
名無しはぱしっと自分の太股を叩き、そして宗次郎の両手を握った。
「…え、なんですか。」
「志々雄さんと由美さん、まさにいい夫婦じゃない?って言いたかったの!」
「はあ…?」
少し歯切れの悪そうにする宗次郎の様子になどまるで気にも止めず、名無しは続ける。
「志々雄さんは男の中の男で、それだけにはとどまらずああして由美さんのことちゃんと理解して時には由美さんをも立てて由美さんを大事にしてて、本当にかっこよくて。」
「えっと、あの、」
「そしてそう、絶対ぶれない!強さも由美さんに対しての愛情も!本っ当、そう、イッケメン!!」
「…あの…」
心なしか頬を少し色付かせたようにも見える宗次郎の顔。しかし名無しは少しも気に掛けることなく。
より一層強く宗次郎の手を両手で握り締めて語り続ける。
「由美さんは美人!綺麗!お色気!パーフェクッ!!」
「名無しさ」
「な・の・に!!面倒見が良くて慈悲深くて優しくて時には叱って…でも私のことすごく考えてくれてて…ああもうずっと由美さん、傍にいてほしい!!そんな由美さん…その姿は…そう…まるで女神…」
「…志々雄さんとの仲についての話から名無しさんに対しての施しの話にすり替わってますけど?」
宗次郎の言葉にようやく名無しは我に返った。
「はっ!私ったら!いつの間にか私の由美さんへの熱い想いを!」
「まったく…」
「でも、宗次郎だって同じこと思うでしょ?」
「…それより名無しさん。」
少し困り顔で宗次郎は告げた。
「…手、いいんですか?」
「……て?」
「あの、僕の手ずっと握ってるんですけど…さっきから。」
…静止。のちに。
「うわあぁあぁあ!!///」
「……」
我に返った名無しは叫び声を上げた。しかし。
「…え、名無しさん。」
「あ、あれ?あれ…あれれ…!?」
「ちょ、ちょっと…なんで離さないんですか。」
「ど、どうしたものやら!」
名無しは頑なに宗次郎の手を解放しない。それどころかますます強く宗次郎の両手を握り抱えた。
「ふ、震える!ビビり過ぎて震えて…手動かないよ!?」
「いや、おかしいでしょ。動かないわけないですよね?ふざけないでください。」
「だ、だって、怖いよー!宗次郎に痴漢で訴えられるー!!慰謝料ぼったくられるー!」
「…純然たる阿呆だなと今あらためて思いました。」
呆れ果てた様子の笑みを浮かべながら暫く物思いに耽っていたが。
軽く名無しの手を握り返してみた。
「えっ?」
「なんです?その顔。」
「えっ、べ、別にっ…!」
「……」
明らかにしどろもどろとする名無しに宗次郎は含み笑いをする。そして、じっと彼女の顔を覗き込むのであった。
「え、なにっ…?」
「いえ、可愛いなと思って。」
途端にみるみるうちに染まり上がる頬。
「何を薮から棒に…」
「これだけで照れるなんて。これ以上近付いたらどうなっちゃうんだろうなぁ。」
ぐい、とさらに距離を詰めると大きく見開かれる目。
心なしか火照ったような熱を感じ取った。
「…!もう!乙女の純情をからかって!許さない!」
「あっ、と…やっと離してくれましたね。」
「…あ。」
「ほら、ね?」
にこにこと微笑みかけると、名無しはなるほど、と納得と安堵の色を浮かべるのであった。
「でもなんか悔しい…不覚にもどきっとしてしまった…」
「え?何か言いました?」
「なんでもない!!」
慌てて大声を上げてぶんぶんと首を左右に振る名無し。そんな彼女の仕草の意図を知ることはなしに宗次郎は。
「でも、もしあのままずっと離さなければ…」
「…?」
「僕が名無しさんをお嫁さんに貰うほかないですよね。」
「………」
「…え?なんです、その反応。仮定の話ですけど…そうなったら名無しさん困りません?」
「えー…いや、まあそうなったら…まあ、仕方ないかなぁって…」
「は?」
「…思いました。」
互いに目を見開きながら見つめ合い──暫くそのまま膠着が続いたのち。
「…え?私何か間違ったこと言った!?あ、あっちか?宗次郎きもいとか言えばよかった!?」
「あなたはたわ言しか答えられないんですか?そもそも名無しさんがさっさと手を離してくれたら済む話なんですけど。」
「だ、だってぇ…!」
「まったく…これだから愚図は。」
「はあ!?」
結局、しばらくの間、押し問答する光景が続いたそう…
──この時はまだ、夫婦になる約束をする未来が待ち受けているだなんて思ってもみなかった二人。
…なのでしょうか、はたして…?
思いがけずあなたが
(からかいがいがあるなぁ…ついからかってしまったけど、ちょっと可愛かったな…)