四季彩り折々
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※付き合ってからのお話です。
『どうかお金持ちになれますように!名無し』
黄色の短冊にこともなげに書かれた文字を宗次郎は笑顔で眺めて、振り返った。
「悲しくないですか?」
「可愛い女の子に面と向かってそれはなんなの、ちょっと宗次郎、そこに正座。」
「いい度胸ですね。この間、僕が楽しみに取り寄せた水菓子を、目を離した隙に殆ど全部食べたのはどこのどなたでしたっけ?」
「………それはお饅頭一箱で手を打ったじゃありませんか。」
「名無しさん、犯した罪は決して消えませんよ。」
「そんなに重罪???」
──宗次郎と並びながら七夕の飾り付けを行っていて。
先日張さんと出掛けた時にノリでつい持って帰ってきた笹を有効活用することになり、なんやかんや私が取りまとめ役のようなものになっている。とどのつまり、そのように暇を持て余しているのが私しかいなかったのである。
まあ、そんな話はさておき──
「…それにしても、もっと他にお願い事はなかったんですか?」
「え?」
別になんでもいいと思うんですけど、と何かを濁すように付け足しながら宗次郎は尋ねる。
「うーん、まあね?子供の頃はお花屋さんになれますようにとか、お菓子屋さんになれますようにとか楽しい感じのこといっぱい書いてたなぁ。」
「そうだったんですか。」
「うん。でも、まあね?もう大人だもん…お金こそがすべてでしょ!お金がなければ死ぬ!所詮この世は弱肉強食…!」
「あーもういいです、いいですから。」
「…でも、七夕の飾り付けなんてほんと久しぶりだなぁ、こう飾り作るの楽しかったなー♪宗次郎は?」
「僕は初めてかなぁ。」
「そうなんだ?それにしては折り紙とか超上手いよね?」
「そうですか?」
「やっぱり色々と器用でいいなぁ、宗次郎は。」
羨望の眼差しで宗次郎の手元を眺めながら、名無しは「あ」と声を漏らす。
「そういえば宗次郎は七夕のお願い何にするの?」
「え?」
満面の笑顔で尋ねた名無し。宗次郎は珍しく慌てたように反応して何かをさっと隠す。
「え?どうしたの?」
「別に、どうもしません。」
「…気になる。」
「…気にしないでもらえませんか。」
そんな宗次郎の言葉に名無しが素直に引き下がるはずもなく。じりじりと宗次郎に詰め寄っていく。
「何隠したの?」
「別に、何も隠してませんけど。」
「嘘だ、腕の下に何かを隠し持っている!」
「なんでこういう時だけ目ざといんですか。」
「……はっ、もしや私の頭が治りますようにとか…?」
「それは一理ありますね。」
「やっぱり短冊書いたんじゃん。見ーせーてー!」
「…もう、わかりましたよ。」
はあ、と溜め息を溢して宗次郎は隠した短冊を取り出すと名無しの目の前に晒す。
それを見て刹那、名無しは瞬きを繰り返すのであった。
「…宗次郎、これ…」
「……」
「本当に…?」
「…願い事と聞いて、何かあるかなぁと暫く考えてみたんですけど、本当にそれしか思い浮かばなくて…」
宗次郎はふいと目を逸らして告げる。
「でも、名無しさんのお願い事見て、なんか場違いなこと書いてしまったんだと恥ずかしくなって…。まあ、名無しさんはそうじゃなかったんだ、と落胆する気持ちも少しありましたけど…」
「…いい。」
「え?」
「いいと思う!何より嬉しい!…そして、ごめん!私が馬鹿だった!」
「えっ?ちょっと名無しさん?」
「七夕にはこういうお願い事していいの!」
戸惑う宗次郎の腕を掴んで、真正面から肯定する。
「…私も、宗次郎と同じ願い事書く。」
「えっ…」
「宗次郎可愛すぎかよ…もう私が宗次郎を幸せにします!…出来る限り。」
「…そこは最後まで保証してくださいよ。」
勢いに任せて力んで、でも語尾に約束の実現に対しての、少しの不安を滲ませた名無しに宗次郎は嬉しそうに笑いかけた。
満天の星に祈る
(これからも、名無しさんとずっと一緒にいられますように。)
張『姐さん、鎌足、何しとんのや?』
鎌『今いいところなのよ~♪』
由『あの子達ナチュラルにすごいこと言うわよねー!』
『どうかお金持ちになれますように!名無し』
黄色の短冊にこともなげに書かれた文字を宗次郎は笑顔で眺めて、振り返った。
「悲しくないですか?」
「可愛い女の子に面と向かってそれはなんなの、ちょっと宗次郎、そこに正座。」
「いい度胸ですね。この間、僕が楽しみに取り寄せた水菓子を、目を離した隙に殆ど全部食べたのはどこのどなたでしたっけ?」
「………それはお饅頭一箱で手を打ったじゃありませんか。」
「名無しさん、犯した罪は決して消えませんよ。」
「そんなに重罪???」
──宗次郎と並びながら七夕の飾り付けを行っていて。
先日張さんと出掛けた時にノリでつい持って帰ってきた笹を有効活用することになり、なんやかんや私が取りまとめ役のようなものになっている。とどのつまり、そのように暇を持て余しているのが私しかいなかったのである。
まあ、そんな話はさておき──
「…それにしても、もっと他にお願い事はなかったんですか?」
「え?」
別になんでもいいと思うんですけど、と何かを濁すように付け足しながら宗次郎は尋ねる。
「うーん、まあね?子供の頃はお花屋さんになれますようにとか、お菓子屋さんになれますようにとか楽しい感じのこといっぱい書いてたなぁ。」
「そうだったんですか。」
「うん。でも、まあね?もう大人だもん…お金こそがすべてでしょ!お金がなければ死ぬ!所詮この世は弱肉強食…!」
「あーもういいです、いいですから。」
「…でも、七夕の飾り付けなんてほんと久しぶりだなぁ、こう飾り作るの楽しかったなー♪宗次郎は?」
「僕は初めてかなぁ。」
「そうなんだ?それにしては折り紙とか超上手いよね?」
「そうですか?」
「やっぱり色々と器用でいいなぁ、宗次郎は。」
羨望の眼差しで宗次郎の手元を眺めながら、名無しは「あ」と声を漏らす。
「そういえば宗次郎は七夕のお願い何にするの?」
「え?」
満面の笑顔で尋ねた名無し。宗次郎は珍しく慌てたように反応して何かをさっと隠す。
「え?どうしたの?」
「別に、どうもしません。」
「…気になる。」
「…気にしないでもらえませんか。」
そんな宗次郎の言葉に名無しが素直に引き下がるはずもなく。じりじりと宗次郎に詰め寄っていく。
「何隠したの?」
「別に、何も隠してませんけど。」
「嘘だ、腕の下に何かを隠し持っている!」
「なんでこういう時だけ目ざといんですか。」
「……はっ、もしや私の頭が治りますようにとか…?」
「それは一理ありますね。」
「やっぱり短冊書いたんじゃん。見ーせーてー!」
「…もう、わかりましたよ。」
はあ、と溜め息を溢して宗次郎は隠した短冊を取り出すと名無しの目の前に晒す。
それを見て刹那、名無しは瞬きを繰り返すのであった。
「…宗次郎、これ…」
「……」
「本当に…?」
「…願い事と聞いて、何かあるかなぁと暫く考えてみたんですけど、本当にそれしか思い浮かばなくて…」
宗次郎はふいと目を逸らして告げる。
「でも、名無しさんのお願い事見て、なんか場違いなこと書いてしまったんだと恥ずかしくなって…。まあ、名無しさんはそうじゃなかったんだ、と落胆する気持ちも少しありましたけど…」
「…いい。」
「え?」
「いいと思う!何より嬉しい!…そして、ごめん!私が馬鹿だった!」
「えっ?ちょっと名無しさん?」
「七夕にはこういうお願い事していいの!」
戸惑う宗次郎の腕を掴んで、真正面から肯定する。
「…私も、宗次郎と同じ願い事書く。」
「えっ…」
「宗次郎可愛すぎかよ…もう私が宗次郎を幸せにします!…出来る限り。」
「…そこは最後まで保証してくださいよ。」
勢いに任せて力んで、でも語尾に約束の実現に対しての、少しの不安を滲ませた名無しに宗次郎は嬉しそうに笑いかけた。
満天の星に祈る
(これからも、名無しさんとずっと一緒にいられますように。)
張『姐さん、鎌足、何しとんのや?』
鎌『今いいところなのよ~♪』
由『あの子達ナチュラルにすごいこと言うわよねー!』