彼に食って掛かられる
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「末吉…末吉かぁ。」
引いたおみくじを見て名無しは少ししょんぼりとする。
名無しの声を聞き、その手元を覗き見て「あー…」と操は思わず声を漏らした。
「…まぁアレよ、偶然よ!そんなに気にすることないよ、大丈夫!」
「大吉引いた操ちゃん…取り替え」
「それは断る!」
「ですよねー!」
投げやりに名無しは笑った。
夕暮れも近付き、途中まで操に送ってもらう。その後操と別れて名無しは帰路へと急ぐ。
(えへへ…皆へのお土産に大福買っちゃった!私も食べるの楽しみ…!
これでとうとう宗次郎を手懐けられるんじゃないかな!)
提げた紙袋を、途中で何度も覗き見てはにやにやと笑顔を浮かべていたのだけれど。
──不意に視界が一点を捉える。名無しの前方に現れた男は何かあるのか、こちらの方を見ていた。
「…?」
「お嬢さん。」
「?はい。」
なんだろう。
「少し道を聞きたいのだが。」
「あぁー…」
道かぁ…。正直、甘味屋さんしかわからないんだよね…
「えっと、この辺りあまり詳しくないんですよね。」
「…そうですか。」
「すみませんが他の人に聞いてもらった方が…(ああぁ、惜しい…操ちゃんがいればなぁ。)」
「…では、別の用件を。」
「…えっ?」
男の予期せぬ言葉に思わず名無しは後退るけれども、それ以上後ろに下がれなかった。
──背後に笠を被った別の男が立っていた。
やはり視線は名無しを捉えているようで、目の前の男も名無しを狙い澄ましたように、こちらから目を離さない。
(やばい筋の人達だ、きっと。)
直感で感じ、咄嗟に左手側に駆け出すけれど、それを赦されるはずもなく。たちまち目の前の男に手を伸ばされ遮られ、行く手を阻まれてしまった。
立ち止まると途端にじりじり、と距離を詰められていく。
「何なんですか!ちょっと!やりすぎじゃありません…!?」
睨み付けながら言葉をぶつける。
──この人達、一体…
「……貴殿と志々雄真実に繋がりがあるらしいという情報を得てな。」
「…!」
「どういう繋がりかはわからないが、とくと聞かせてもらおうか。」
「は…?何の話?人違いです!」
「志々雄の側近の者と行動を共にしていたと聞いている。何も知らないとは言わせない。」
「!」
「少し来てもらおうか。」
(…きっと警察ではない。逃げなきゃ!)
男達は帯刀をしている。
名無しは男の腕を潜り避けて走り出す。
「無駄だ!」
「…あっ!?」
腕を捉えられて動きを止められる。
それでも名無しは歯を食いしばりながら腕を振り切ろうと試みるが、到底力が及ばない。
そのまま為す術もなく、名無しは男達に包囲された。
「ッ、!」
「威勢の良い小娘だな。」
「離して!!」
「大人しくした方が身の為だぞ。」
「……!!」
刀身を抜く素振りを目の当たりにして。
名無しの身体は言い知れない恐怖を感じ始めていた。