彼に食って掛かられる
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「──でも、ワクワクするねぇ!」
注文した餡蜜を美味しそうに頬張りながら操は名無しに告げた。
「ねー!楽しみだね!」
「前から行こうと一緒に計画してきたけどさ!どうなんだろう~!叶って~!蒼紫様ぁ!」
「すごい評判みたいだよ!ご利益が本当にあるって!」
名無しは目を輝かせながら、開いた“がいどまっぷ”の一カ所を指差す。
「縁結びの神社かぁ…」
「操ちゃんも私も叶うといいなー♪」
二人でうっとりとした表情を浮かべた。
──名無しは方々まで意識を巡らせる。
(当たるも八卦、当たらぬも八卦と言うけど…アレ?言うっけ??まあいっか!
でも、もしもこれがきっかけで宗次郎が覚醒して「僕のお姫様…」なんて///手を取って言われちゃったら!どどど、どうしよう~!?///)
「あー!?名無し、今ぜっったい、いやらしいこと考えてるでしょ!」
「ち、違うもん!//」
「何考えてたのよ、もー!」
「…お、王子様とお姫さ……な、なんでもない!///」
ごにょごにょ、と濁す名無しであった。
「恋みくじも引かなきゃね!蒼紫様との運勢気になるなぁ…//」
「恋みくじ?」
「そうよ、名無しも引くでしょ?」
「う、占いかぁ…凶とか出たらどうしよう…縁起でもない…」
「…?もしかして名無し、何かあった…?」
不安げな表情を浮かべる名無しを操は心配そうに見つめた。
「…そっかあ、最近彼氏さんと擦れ違いなのかぁ…忙しいんだね。」
「まあ仕方ないんだけどね。でも多分、仲はずっとよくて。だから何か悪いことがあったわけじゃないの。…なんていうか、自然の摂理というか。」
「…え、名無しそれ大丈夫なの?なんか追い詰められてない…!?何か危機的状況なの…!?」
「あ!え、あ、違うの!摂理というの…?盛者必衰の理ってやつ…?」
(まさか彼が私に関することだけ忘れちゃった、なんて、さすがに意味わかんないしな…!)
「名無しをこんなに苦しませてるなんて…!あたしちょっと文句言行ってくる!そいつの居場所どこ!」
「!操ちゃん!大丈夫だから!」
「なんで!!」
「え、ええ~っと…
(なんでもいいから、操ちゃんを思い留ませる言葉…!)
…婚約してるから!大丈夫なの!!!」
「……ええええええぇぇッッッ!!!!?」
(あ…アカン…とんでもないこと言っちゃった…!)
『今はまだ…その気持ちをいただくだけで…十分ですから。』
『…そっか//』
『そういうことは、祝言迎えるまで待っておきましょう?』
…たしかに、将来を約束するような言葉を告げられた。なので今言ったことは事実、事実ではあるはずなのである。
しかし今現在、宗次郎はそのことをも忘れてしまっている。
──思い出してくれたら万歳、もし思い出さなかったとしても再び言われたら万々歳、まあそうならない可能性はバンバンにあるけどね!
(…あれ?私、本当に言わない方がよかったんじゃ???
あ、でもこのまま婚約有効になる確率は2/3か!じゃあ言っても大丈夫かな?)
だんっ!と机を両手で突きながら、操は目をかっぴらいて名無しに迫る。
「名無しッ!?それってプロポーズ!?プロポーズされたの!!?いつ!?なんて!?」
「操ちゃんごご、ごめん!」
「ごめんって何が!?」
「多分そのまま行くんじゃないかなと思うんですが2/3の確率で!1/3は確実じゃないので!!」
「お、おおう…!?」
「確実になったら絶対に伝えるから、それまでは誰にも言わないでー!!!」
「は!?何なのよそれは!?」
「お願いー!(宗次郎~!ごめん!ぽろっと言っちゃった)」
「…もー!!意味わかんないけどわかった!!ちゃんと教えてよね!?」
「うん!うん!絶対教えるから!!」
互いに腕を差し出しガッと握り合う二人であった。
「…てか名無し、2/3って何…?残りの1/3って何?」
「……純情な感情??」
* * * * *
「くしゅんっ。」
「なあに坊や、この時季に風邪?」
「…変だなぁ。今まで別に…は、くしゅんっ。」
(…名無しさんが何処かでろくでもない話でもしてるのかな。)
おのずと予測を立てる宗次郎であった。
「すみません、なんでもないです。」
「──宗次郎。」
由美の傍らにいた志々雄が告げる。
「急に悪いんだが、一仕事頼まれてくれねえか。」
「いいですよ。何をしましょうか?」
縁結び
「ほら名無し、お賽銭入れて!
…え!?名無しそれっぽっちしか入れないの!?仕方ない!ここは私が!」
「!!操ちゃん大丈夫だから!!四乃森さんにそれは使って?!」
賽銭を入れて手を合わせながら、名無しは宗次郎のことを思い浮かべる。
(…これからも宗次郎に何事も起きず健康でありますように…。もう事は起きたけど、まあ宗次郎は至って元気だし。まあこれから起きなきゃいいや。)
──恋愛成就、縁結びのご利益のある神社だということは忘れてしまっている名無しであった。
「…あ!しまった!縁結びの神様だった!」
「はあ!?名無しあんた何しに来たのさ!?」
(おまけ)名無し式方程式
・宗次郎が記憶を取り戻して結婚する
・記憶が戻らず結ばれない
・記憶が戻らないが結婚する
結ばれる確率2/3