彼に食って掛かられる
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よし!終わった…!
終わった!私えらいっ!!
「宗次郎!終わった!終わったよ!」
「ご苦労さまです。」
「私めっちゃ仕事早くない!?謝礼ちょうだい、謝礼。」
「謝礼です、どうぞ。」
「えっっ!?なんかクナイ飛んできたんですけど!?」
間一髪で名無しは宗次郎の投げたクナイを避ける。
「ニンジャ坊や?そういや速いし?ニンジャ坊やに転職か。」
「(何やらデジャヴが…)」
名無しの差し出す書類を受け取りながら、宗次郎はさらりと毒突く。
「朝からさっさと働いてくれてたらもっと早く片付いたんですけどね。」
「何よ、ほんとに口うるさいガキだなぁ。」
「何か?」
「ぎゃっ!…って、え?何これ?」
突然投げつけられたそれをまじまじと見つめる。
宗次郎の財布だった。
「え?コレ何!?」
「いつまでも部屋にいられるとうるさいので、それで好きなものでも買いに行ってください。」
「…え、まじで?やった!謝礼だ!」
「お小遣いって言ってもらえます?」
「じゃあちょっと行ってきまぁす!」
喜び勇んで一瞬背を向けたけど。
名無しは思い出したように宗次郎の方へ振り返った。
「あ、宗次郎なにか甘いもの買ってきてあげるね!」
「ありがとうございます。僕のお財布なんですけどね。」
「えへへ…張さん鎌足さーん!ほら宗次郎からお財布せしめた!一緒に豪遊しちゃお!!」
「馬鹿なんですか?」
* * * * *
鎌「え!?なんなのあんた、その状況で私達誘う!?」
茶屋で注文を色々しながら、鎌足は呆れたように声を上げた。
名無し「だってぇ…宗次郎忙しそうだったし。」
張「いや、普通に宗次郎誘えばよかったやん。まあ今は宗次郎あんな状態やけど、あんたらとっくに男女の仲なんやろ?」
名無し「だ、だっ…!?////」
鎌「それがねぇ、張。名無しウブだし宗ちゃんもああ見えてウブだからさぁ、全然…」
張「えっ!ホンマかいな?」
鎌「ついこないだなんてね、(※『焼けぼっくいに火をつけて』より)」
名無し「ああああああああ!!///姐さん兄さん何が好きっすか!!?名無しちゃんなんでもご馳走します!!!ご馳走しますからぁぁ!!」
鎌「あらぁ♪じゃあお言葉に甘えて♪」
張「(まあコレ宗次郎の金やけどな…)」
鎌「でも宗くん、まだ記憶戻らないのねぇ。」
名無し「まあ、なんとかなるっしょ!」
張「能天気やなぁ名無しも。実力行使したったらええねん。所詮は宗次郎かて名無しに惚れた身なんやから、ちょっとああしてこうしたら、」
名無し「張さん!!乙女にセクハラですよ!!次言ったらうちの宗次郎の刀の血肉になってもらいますからね!!」
張「いや言うてる意味わからんし。血眼怖いわ、やめて。」
鎌「まあ、アタシに言わせてみれば、名無しは能天気じゃなくて健気なんだけどね?」
名無し「かっ、鎌足さん…///」
鎌「ねぇ?」
張「ふーん、でもわからんで?」
名無し「え。」
張「宗次郎も男やで?いつどこでどこぞの女にクラッと…」
鎌「ちょっと張!!」
名無し「…い、いや別に?私はそ、そんな束縛強いわけじゃないし、重たい女じゃないし?胸ない分体重軽いし?そうよ、そうよ!あ、でも前に体入れ替わった時に『名無しさんの体重い』って言われたような…いいやあれは宗次郎の嫌がらせに決まってるんだってば!…そもそも、別に、他に好きな子できたらそっちに行ってくれて一向に構わないよ!?そ、宗次郎が好きな子と幸せになるのが宗次郎にとっての幸せだもんっ…可愛くてお淑やかで胸が大きい子が似合うと思うし…!そうよ巨乳に埋もれて死んでしまえっ!!」
張「す、すまん名無し。色々悪かった…宗次郎はきっとあんた一筋やから。」
名無し「えっ!!?///な、何言ってんですか張さん!!わ、私達そんな、ハ、ハハ、ハレンチですよ張さん!!!」
張「こいつ、ごっつい面倒くさいわぁ…」
鎌「あんた馬鹿ねぇ…。大丈夫よ名無し、宗次郎は名無しに惹かれると思うわ。たとえ巨乳であろうが貧乳であろうが同じく名無しを愛するに決まってるわ!」
名無し「鎌足さーん、ぶっ飛ばしますよ?胸のくだり♪」
「宗次郎、ただいまー!!」
「ただいまくらい静かに言えないんですか?」
夕暮れ時に帰宅して宗次郎の部屋を訪ねて。
無愛想に出迎えられた。
「えー、無事に帰ってきたんだから笑顔で可愛くおかえりなさいって言ってくれたらいいのにー…」
「あはは、別に帰って来なくてもよかったんですよ?」
「そんなこと言う??しかもめっちゃ爽やかな笑顔なんですけども。」
「それで…宗次郎、仕事終わったの?」
「終わりました。喧騒の元がいなくて静かだったのでとっても捗りましたよ。」
「厭味か。ところで…これ、おみやげ!」
紙袋を渡すと宗次郎は目を丸くさせた。
「あれ、本当に買ってきたんですね?(僕のお金ですけど)」
「私と鎌足さんと張さんでお金出し合ったの。」
「…え?」
「まあ私はした金しかないから、殆ど出してもらったけど…」
「でしょうね。」
「でもでも、美味しそうなんだよ!抹茶の焼き菓子♪一緒に食べようね!」
「お茶は名無しさんが淹れてくださいね?」
「はいはい、仕方ないなぁ!」
愛すべき、たわ言
(悲観することなんて何もない。)
『…美味しいですね、これ。』
『でしょ!?そうそう、今日行ったお茶屋さんの柏餅もとっても美味しかったんだよ~!』
『へえ。柏餅ですか。』
『気になる?よかったら宗次郎、今度一緒に行こうよ!』
『いいですね。是非。』
『うん。』
(…あれ?なんか普っ通に誘ってしまった…?)