彼に食って掛かられる
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「…疲れた。眠い。」
「………」
大の字になって寝そべった名無しを宗次郎は白けた目で見下ろしていた。
「……疲れた。」
「よかったですね。」
「…全然聞いてないでしょ。微塵もよかったとか思ってないでしょ。」
「人の部屋に来て寛ぎ出して何を言ってるんですか、この人は。」
「何をどう、よいと思ったんですかー?」
「珍しく仕事やら雑用やらしているなぁと思っていました。人間らしいですよ、よかったです。」
「今までの私の人生とは。」
はーっと深呼吸をする名無し。
年頃の娘さんが恥じらいもなく人前で…と思いながら宗次郎は告げる。
「…場所を選んだらいかがです?」
「だって、あっちで寝転んだら志々雄さんに目障りだって言われたから。」
「こっちでも目障りですけどね。」
「うわー!宗次郎がいじめたー!いじめられたー!!ねぇ私宗次郎にいじめられましたー!!」
「やかましいです。」
全く、この人は。珍しく真面目にやっているなぁと思ったらこれだ。
……珍しく真面目に、頑張っていたなぁ。
「…?宗次郎、どうしたの。」
「床にそのまま寝てると体を傷めますよ。ソファ使っていいですよ。」
覗き込んだ宗次郎の顔をじっと見つめる名無し。
「……でもちょうど今眠くなってきたんだよねぇ。動きたくないかも…」
「人の精一杯の親切を仇で返さないでもらえます?」
「おやすみなさい~…」
宗次郎が呆れた顔で見つめるのにも関わらず、名無しの瞼は閉じられていく。
「寝ないでください。」
「んぅぅ…」
「…こら、起きてください。」
身体を揺す振られ、ぺちぺちと頬を叩かれて、ようやく名無しは身を起こす。
やれやれ、と溜め息を吐きながらも宗次郎は手を貸す。柔らかい名無しの手のひらが触れて。その手を握り返した。そのままゆっくりと誘導していく。
「はい、ここで思う存分休んでくださいね。」
「はーい…」
頷きながら名無しは腰かけた。宗次郎はひと息つく。
「…はあ、これでようやく僕が落ち着きますね。」
「宗次郎…」
「はあ、なんです。」
名無しは寝ぼけ眼を擦りながら、空いているソファの隣を手のひらで叩く。
「…なんですか?座れって?」
「うん。」
せっかくだからソファに身を預けて寝ればいいのに、と宗次郎は思いはしたが、心なしか物欲しそうにこちらを見つめている名無しの前にはそうするほかなかった。
名無しが手を除けるのを見計らって、宗次郎はゆっくりと。隣の名無しに反動が届かないように腰を下ろす。
「…これで満足ですか。」
隣からの視線に、少し緊迫した声音で宗次郎は言葉を吐く。
(なんで、緊張してるんだろう…別に何かやましいことをしてるわけでもないのに。)
「…ていうか、こんなに疲れて。普段どれだけ動いてないんですか。」
「うるさいなぁ…明日から頑張る。」
「それ、絶対実行しないですよね。」
「ねぇ……」
のんびりと間延びした声。
ゆっくりと彼女の方へ顔を向けると、にへら、と微笑みかけられた。
(……可愛い。)
思わず声を溢しそうになるけれども。隣り合った彼女の重心がそのままこちらに寄せられる感触に宗次郎は目を見開いた。
程なくして、こて、と名無しの頭が宗次郎の肩に乗せられる。
宗次郎に身を預けた名無しは間もなく、穏やかな寝息を立て始めた。
「名無しさん…」
無駄だと悟りつつあった。身動ぎひとつ取らず、彼女と触れている辺りにそっと目配せした。
「…もう、なんですか。珍しく甘えて…」
脱力した名無しの頭に、振動を起こさぬように静かに反対側の腕を伸ばすと、優しく触れて髪を撫でた。
(……これはしばらく動けないな。)
困ったように宗次郎は眉を下げて名無しの顔を見つめる。
「…ま、いいか。お疲れ様。」
ぽふ、と自身もソファに背中を預けて。
宗次郎は暫し隣にある温もりに愛おしさを感じながら、その空間に意識をくゆらせるのであった。
おぼつかない夢心地
宗「ほんと名無しさんには困りましたよ。宗次郎宗次郎って、とてつもなく甘えてくるんですから。」
名無し「そんなこと絶対してない!//」
宗「寝てた人にはそんなこと言う権限はありません。」
名無し「絶対してないもん!!///」
一人、楽しそうに笑う宗次郎がいたとか。
「………」
大の字になって寝そべった名無しを宗次郎は白けた目で見下ろしていた。
「……疲れた。」
「よかったですね。」
「…全然聞いてないでしょ。微塵もよかったとか思ってないでしょ。」
「人の部屋に来て寛ぎ出して何を言ってるんですか、この人は。」
「何をどう、よいと思ったんですかー?」
「珍しく仕事やら雑用やらしているなぁと思っていました。人間らしいですよ、よかったです。」
「今までの私の人生とは。」
はーっと深呼吸をする名無し。
年頃の娘さんが恥じらいもなく人前で…と思いながら宗次郎は告げる。
「…場所を選んだらいかがです?」
「だって、あっちで寝転んだら志々雄さんに目障りだって言われたから。」
「こっちでも目障りですけどね。」
「うわー!宗次郎がいじめたー!いじめられたー!!ねぇ私宗次郎にいじめられましたー!!」
「やかましいです。」
全く、この人は。珍しく真面目にやっているなぁと思ったらこれだ。
……珍しく真面目に、頑張っていたなぁ。
「…?宗次郎、どうしたの。」
「床にそのまま寝てると体を傷めますよ。ソファ使っていいですよ。」
覗き込んだ宗次郎の顔をじっと見つめる名無し。
「……でもちょうど今眠くなってきたんだよねぇ。動きたくないかも…」
「人の精一杯の親切を仇で返さないでもらえます?」
「おやすみなさい~…」
宗次郎が呆れた顔で見つめるのにも関わらず、名無しの瞼は閉じられていく。
「寝ないでください。」
「んぅぅ…」
「…こら、起きてください。」
身体を揺す振られ、ぺちぺちと頬を叩かれて、ようやく名無しは身を起こす。
やれやれ、と溜め息を吐きながらも宗次郎は手を貸す。柔らかい名無しの手のひらが触れて。その手を握り返した。そのままゆっくりと誘導していく。
「はい、ここで思う存分休んでくださいね。」
「はーい…」
頷きながら名無しは腰かけた。宗次郎はひと息つく。
「…はあ、これでようやく僕が落ち着きますね。」
「宗次郎…」
「はあ、なんです。」
名無しは寝ぼけ眼を擦りながら、空いているソファの隣を手のひらで叩く。
「…なんですか?座れって?」
「うん。」
せっかくだからソファに身を預けて寝ればいいのに、と宗次郎は思いはしたが、心なしか物欲しそうにこちらを見つめている名無しの前にはそうするほかなかった。
名無しが手を除けるのを見計らって、宗次郎はゆっくりと。隣の名無しに反動が届かないように腰を下ろす。
「…これで満足ですか。」
隣からの視線に、少し緊迫した声音で宗次郎は言葉を吐く。
(なんで、緊張してるんだろう…別に何かやましいことをしてるわけでもないのに。)
「…ていうか、こんなに疲れて。普段どれだけ動いてないんですか。」
「うるさいなぁ…明日から頑張る。」
「それ、絶対実行しないですよね。」
「ねぇ……」
のんびりと間延びした声。
ゆっくりと彼女の方へ顔を向けると、にへら、と微笑みかけられた。
(……可愛い。)
思わず声を溢しそうになるけれども。隣り合った彼女の重心がそのままこちらに寄せられる感触に宗次郎は目を見開いた。
程なくして、こて、と名無しの頭が宗次郎の肩に乗せられる。
宗次郎に身を預けた名無しは間もなく、穏やかな寝息を立て始めた。
「名無しさん…」
無駄だと悟りつつあった。身動ぎひとつ取らず、彼女と触れている辺りにそっと目配せした。
「…もう、なんですか。珍しく甘えて…」
脱力した名無しの頭に、振動を起こさぬように静かに反対側の腕を伸ばすと、優しく触れて髪を撫でた。
(……これはしばらく動けないな。)
困ったように宗次郎は眉を下げて名無しの顔を見つめる。
「…ま、いいか。お疲れ様。」
ぽふ、と自身もソファに背中を預けて。
宗次郎は暫し隣にある温もりに愛おしさを感じながら、その空間に意識をくゆらせるのであった。
おぼつかない夢心地
宗「ほんと名無しさんには困りましたよ。宗次郎宗次郎って、とてつもなく甘えてくるんですから。」
名無し「そんなこと絶対してない!//」
宗「寝てた人にはそんなこと言う権限はありません。」
名無し「絶対してないもん!!///」
一人、楽しそうに笑う宗次郎がいたとか。