彼に食って掛かられる

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食って掛かられるシリーズ。「ほんの出来心」の続き。ギャグ。



「ねえ、宗次郎。」


「…」

「…」

「…」

「…」

「…」


「…なんか答えてほしいんですけど。」

「嫌です。」


「…えっ、なに?こんだけ溜めておいて?」

「面倒は御免ですよ。」

「いいじゃない、教えてくれたって。」



ぶーぶー言うと呆れたような、馬鹿にしたような視線を向けられた。



「成果も出せないようなあなたに稽古をつけたって無駄だと思いませんか。」

「まだ何もやってないじゃん。なんで成果出ないって決め付けるんですか。」

「勘です。」

「勘かよ。そうか宗次郎、教えるの下手なんだねー。そっかそっか。」

「なんで教えてないのにわかるんです。」

「女の勘よ。」

名無しさんの勘ほど充てにならないものはないですね。」

「ふんだ。ケチ。」



…幼稚だなぁ。もう少し理知的というか、そういう言葉は出ないんですか。

膨れっ面したかと思うとそっぽ向いてますね。


そもそも何の戦闘も、と言いますか、普段運動すらしない体力皆無のお嬢さんがいきなり稽古なんて無理ですよ。

…でもなあ。



「どうして稽古なんて申し出たんです?」

「…」

「…」

「…」

「…」

「…」

「…名無しさん?」


「………だって私、弱いし…志々雄さんの力になれない…」



あ、ダメだ…。私ったら、なぜか本気モードのスイッチが入ってしまったみたい。
だって、気にしてるんだもん…!

あーどうしよう、気まずい。思わず顔下向けたけど、どんな顔して向き直ったらいいの。
いくら宗次郎でもこんな空気にしちゃったら気まずいよね…


おそるおそる奴の顔を見てみると。



「……ぷっ、」

「…ほえ??」

「…っ、名無しさんなに本気で悩んでるんですか…!」



──ふ、吹き出しやがった。



「げ、外道!これは外道と言ってもいいやつだ!」

「だって、からかっただけなのに名無しさんてば、いきなり本気で狼狽えるから…っ!」



こいつ、目尻に涙まで浮かべてる…!



「何笑ってるのよ!本気で気にしてるんだもん!」

「ああ面白い。虐めがいがありますね。」

「やっぱこの人、人を玩具としか見てない…!」

「失礼だなあ。名無しさんだけですよ。」

「なんだそれ?あなたが失礼よ。」



あーあ、教えを乞う相手間違えた。



結局求められていないものを求めても仕方ない。悩みなんて無用。


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