彼に食って掛かられる
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「彼女も十本刀に?」の続きです。
「ただいまぁ。」
長期の任務を終えてようやく帰ってきた宗次郎。疲労の様子が見えないのはさすが十本刀一の手練れというところ。
ただ、少し頬を赤らめながら、袖口にしまっていた包みを取り出して溜め息を吐く。
「…名無しさんにお土産用意してきたんですけど、櫛なんて使うのかなぁ…いえ、使うようにさせないと。」
考えを巡らせながらアジトの回廊を進み、志々雄の元へ向かう。
「志々雄さん、ただいま。」
「ご苦労だったな。」
「いいえ。」
「坊や、お帰りなさい。」
報告を終えて暇を告げようとする宗次郎。
「じゃあ、僕はこれで。」
「…ああ、そうだ宗次郎。名無しなんだがな。」
「?名無しさんが何か?」
「志々雄様、名無しが任務から帰還したとの連絡が。」
突如部屋に入ってきた方治の言葉をしかと捉える宗次郎からは笑みが消えていた。
宗「任務…?名無しさんが、ですか?」
志「ああ。」
宗「あの、腕はからっきしで弱虫、立つのは口だけの名無しさんが任務ですか?」
志「おまえ、やめてやれよ。」
宗「どういうことです?志々雄さん。」
志「実は名無しから戦闘の役に立ちたいと申し出があってな(嘘)。試しに鍛えてやったところ。」
宗「……?」
志「恐るべき才能が目覚めやがった(大嘘)」
宗「…?え、あの名無しさんがですか?」
由「今では名無しも十本刀の一員よ。ねえ方治。」
方「あ、ああ…」
志「帰還したようだから直接本人に話を……縮地か。」
方「…志々雄様。」
志「なんだ方治。」
方「もしかすると…楽しんでおられますか?」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「名無しさん!?」
「!宗次郎!」
笑顔で駆け寄ってくる名無しの姿に宗次郎は固まる。
実は後ろ姿を見た時から、普段と違う様相に戸惑いを感じてはいたのだが、間近で見つめるとその変化は如実に宗次郎の脳裏に訴えかけるのであった。
(というか着物の裾が…太ももが見えてる…)
「ねえ聞いてよ!私、実は十本刀になったの!」
「名無しさん、一体何があったんですか…?」
名無しの両手を掴み、真剣な眼差しで見つめる。
「いやぁちょっとした心境の変化ってやつ?」
「得物は何を使っているんですか?」
「方治さん一推しのこの短銃でーす♪」
「…誰に教わったんですか?」
「扱い方は方治さんで、筋トレは安慈和尚に見て貰って、対人訓練は鎌足さん張さん宇水さん。ちなみに宇水さんには弾当てちゃって宇水さんただ今療養中。」
「そこはどうでもいいです。」
一層詰め寄る宗次郎に思わず目を見開く名無し。
「字名は?」
「あっ!?(げっ、そこ考えてなかった!)」
「あ…?」
「…愛のはんたあの名無しです(出任せに言った)」
「は?はんたあってなんですか。」
「(出任せだからそんな言葉ないんだけどなぁ)え、えっと外来語だったかな…また方治さんに意味聞いとくね!」
あはは、と笑って賑やかして誤魔化す名無しだったが、対照的に宗次郎は押し黙る。
「……」
「あららどうしたの宗ちゃん~?ん~?私が強くなってるなんて思わなかった?びっくりしたのかな~?あ、それともショック受けちゃってたりして??ぐふっ。」
「……戦いの前線に出てたりしてるんですか?」
「え?まあそこは十本刀の一員ですから!当然っ!」
「…」
「え、なになに…?」
「あの脆弱で最弱で怠惰で物臭だった名無しさんが強くなるなんて到底信じられないですけど…」
「泣いていい?」
「事実は事実ですからね…」
気のせいか宗次郎の声の抑揚が低く、落ち着いたものに変わっていく。
「…単独で任務に出ることもあるんですか?」
「そりゃあ、まあね!」
「もし、銃自体を落としたり敵に取り上げられたりしたら?どうするんです。」
「え?」
「最悪それでも逃げられればいいんですけど、でも敵に捕まったりしたら?どうするんです?…赦しを請いても敵は容赦はしませんよ?」
「…いや、大丈夫…(架空の話だから)」
「大丈夫?どの口がそんなこと言ってるんですか?」
「いや、待て…落ち着こう、ね。」
「これが落ち着いていられると思いますか?」
壁際に抑え込まれ、身の自由を奪われる。咄嗟のことに何も反応が出来なかった名無し。
「わっ…!」
「ほら、鍛えたと言ってもこんなやすやすと動きを封じられるんですよ?振りほどけますか?抜けられますか?」
「えっ、ちょ、ちょっと待って…」
「相手は僕より力の強い男性かもしれませんよ?そんな時…名無しさん、あなたどうするんです。」
「…ど、どうしたもんですかねぇ…?」
「…ないでしょ、危機感?」
半ば鋭くなった眼光。
ぐぐっと絡む体。肘で邪魔な両腕を避けて頭に触れる。名無しの脚の間に膝を割り入れ身動きを取れなくしてしまう。
「こうやって抑え込まれたら。」
「わ!//」
「…それに…動きやすくする為かもしれないですけど、こんなに着物の丈を短くして…」
「!」
「それに……なんですか、お化粧までして、紅まで差して。」
「!え、あ?気付いてくれてた…?」
「阿呆ですか。こんなの、手を出してくれって言ってるようなものですよ…?わかってますか?」
名無しの身体を引き寄せて受け止め、抱きしめる。
はあ、と溜め息を吐いた。
「……いざ恋人が強くなっても…いいことないんですね。名無しさん、あなたが心配で堪らないです。」
「…あ、あのぅ…///私、行きませんから…」
「そんなこと言ったって…十本刀ならいつ過酷な任務に着くかわからないですよ。せめて僕と一緒なら守ってあげられるんだけどな…僕が遠征に行ってたりしたら…」
「だ、だからあの………嘘なんです。」
「……嘘。」
「嘘って……何がです?単独任務がですか?」
「ええ、まあ…そ、そうとも言う…」
「……」
「そうとも言うんだけど……」
「名無しさんあなたもしかして。」
「ひいっ。」
「全部嘘だって言うつもりではないですよね…?」
「そ、そうでーす。宗ちゃん大正解…ドッキリ大成功…」
「…皆で仕組んだとでも?」
「そう、皆でやったから皆が悪い。」
「…でも、主犯は名無しさんですよね?」
「……!」
「僕を欺いて、戸惑わせて心配させたことの代償は大きいですよ。けどよかったですねぇ、僕が敵じゃなくて。」
「あ、あの宗次郎…?」
「…甘い罰で済みますからね…?」
過保護亭主
(よかった。名無しさんは弱くてずぼらなままでいいんです。)
(馬鹿にされてる…でも宗次郎このお化粧とこの服装好きなんだね、またからかお、)
(名無しさん?(にこにこ))
(う…嘘ですよう。)
(これ…欲しくないですか?綺麗な櫛でしょう?名無しさんにお土産で買ってきたんですけど、いい子じゃないなら…)
(私いい子になります!)
「ただいまぁ。」
長期の任務を終えてようやく帰ってきた宗次郎。疲労の様子が見えないのはさすが十本刀一の手練れというところ。
ただ、少し頬を赤らめながら、袖口にしまっていた包みを取り出して溜め息を吐く。
「…名無しさんにお土産用意してきたんですけど、櫛なんて使うのかなぁ…いえ、使うようにさせないと。」
考えを巡らせながらアジトの回廊を進み、志々雄の元へ向かう。
「志々雄さん、ただいま。」
「ご苦労だったな。」
「いいえ。」
「坊や、お帰りなさい。」
報告を終えて暇を告げようとする宗次郎。
「じゃあ、僕はこれで。」
「…ああ、そうだ宗次郎。名無しなんだがな。」
「?名無しさんが何か?」
「志々雄様、名無しが任務から帰還したとの連絡が。」
突如部屋に入ってきた方治の言葉をしかと捉える宗次郎からは笑みが消えていた。
宗「任務…?名無しさんが、ですか?」
志「ああ。」
宗「あの、腕はからっきしで弱虫、立つのは口だけの名無しさんが任務ですか?」
志「おまえ、やめてやれよ。」
宗「どういうことです?志々雄さん。」
志「実は名無しから戦闘の役に立ちたいと申し出があってな(嘘)。試しに鍛えてやったところ。」
宗「……?」
志「恐るべき才能が目覚めやがった(大嘘)」
宗「…?え、あの名無しさんがですか?」
由「今では名無しも十本刀の一員よ。ねえ方治。」
方「あ、ああ…」
志「帰還したようだから直接本人に話を……縮地か。」
方「…志々雄様。」
志「なんだ方治。」
方「もしかすると…楽しんでおられますか?」
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
「名無しさん!?」
「!宗次郎!」
笑顔で駆け寄ってくる名無しの姿に宗次郎は固まる。
実は後ろ姿を見た時から、普段と違う様相に戸惑いを感じてはいたのだが、間近で見つめるとその変化は如実に宗次郎の脳裏に訴えかけるのであった。
(というか着物の裾が…太ももが見えてる…)
「ねえ聞いてよ!私、実は十本刀になったの!」
「名無しさん、一体何があったんですか…?」
名無しの両手を掴み、真剣な眼差しで見つめる。
「いやぁちょっとした心境の変化ってやつ?」
「得物は何を使っているんですか?」
「方治さん一推しのこの短銃でーす♪」
「…誰に教わったんですか?」
「扱い方は方治さんで、筋トレは安慈和尚に見て貰って、対人訓練は鎌足さん張さん宇水さん。ちなみに宇水さんには弾当てちゃって宇水さんただ今療養中。」
「そこはどうでもいいです。」
一層詰め寄る宗次郎に思わず目を見開く名無し。
「字名は?」
「あっ!?(げっ、そこ考えてなかった!)」
「あ…?」
「…愛のはんたあの名無しです(出任せに言った)」
「は?はんたあってなんですか。」
「(出任せだからそんな言葉ないんだけどなぁ)え、えっと外来語だったかな…また方治さんに意味聞いとくね!」
あはは、と笑って賑やかして誤魔化す名無しだったが、対照的に宗次郎は押し黙る。
「……」
「あららどうしたの宗ちゃん~?ん~?私が強くなってるなんて思わなかった?びっくりしたのかな~?あ、それともショック受けちゃってたりして??ぐふっ。」
「……戦いの前線に出てたりしてるんですか?」
「え?まあそこは十本刀の一員ですから!当然っ!」
「…」
「え、なになに…?」
「あの脆弱で最弱で怠惰で物臭だった名無しさんが強くなるなんて到底信じられないですけど…」
「泣いていい?」
「事実は事実ですからね…」
気のせいか宗次郎の声の抑揚が低く、落ち着いたものに変わっていく。
「…単独で任務に出ることもあるんですか?」
「そりゃあ、まあね!」
「もし、銃自体を落としたり敵に取り上げられたりしたら?どうするんです。」
「え?」
「最悪それでも逃げられればいいんですけど、でも敵に捕まったりしたら?どうするんです?…赦しを請いても敵は容赦はしませんよ?」
「…いや、大丈夫…(架空の話だから)」
「大丈夫?どの口がそんなこと言ってるんですか?」
「いや、待て…落ち着こう、ね。」
「これが落ち着いていられると思いますか?」
壁際に抑え込まれ、身の自由を奪われる。咄嗟のことに何も反応が出来なかった名無し。
「わっ…!」
「ほら、鍛えたと言ってもこんなやすやすと動きを封じられるんですよ?振りほどけますか?抜けられますか?」
「えっ、ちょ、ちょっと待って…」
「相手は僕より力の強い男性かもしれませんよ?そんな時…名無しさん、あなたどうするんです。」
「…ど、どうしたもんですかねぇ…?」
「…ないでしょ、危機感?」
半ば鋭くなった眼光。
ぐぐっと絡む体。肘で邪魔な両腕を避けて頭に触れる。名無しの脚の間に膝を割り入れ身動きを取れなくしてしまう。
「こうやって抑え込まれたら。」
「わ!//」
「…それに…動きやすくする為かもしれないですけど、こんなに着物の丈を短くして…」
「!」
「それに……なんですか、お化粧までして、紅まで差して。」
「!え、あ?気付いてくれてた…?」
「阿呆ですか。こんなの、手を出してくれって言ってるようなものですよ…?わかってますか?」
名無しの身体を引き寄せて受け止め、抱きしめる。
はあ、と溜め息を吐いた。
「……いざ恋人が強くなっても…いいことないんですね。名無しさん、あなたが心配で堪らないです。」
「…あ、あのぅ…///私、行きませんから…」
「そんなこと言ったって…十本刀ならいつ過酷な任務に着くかわからないですよ。せめて僕と一緒なら守ってあげられるんだけどな…僕が遠征に行ってたりしたら…」
「だ、だからあの………嘘なんです。」
「……嘘。」
「嘘って……何がです?単独任務がですか?」
「ええ、まあ…そ、そうとも言う…」
「……」
「そうとも言うんだけど……」
「名無しさんあなたもしかして。」
「ひいっ。」
「全部嘘だって言うつもりではないですよね…?」
「そ、そうでーす。宗ちゃん大正解…ドッキリ大成功…」
「…皆で仕組んだとでも?」
「そう、皆でやったから皆が悪い。」
「…でも、主犯は名無しさんですよね?」
「……!」
「僕を欺いて、戸惑わせて心配させたことの代償は大きいですよ。けどよかったですねぇ、僕が敵じゃなくて。」
「あ、あの宗次郎…?」
「…甘い罰で済みますからね…?」
過保護亭主
(よかった。名無しさんは弱くてずぼらなままでいいんです。)
(馬鹿にされてる…でも宗次郎このお化粧とこの服装好きなんだね、またからかお、)
(名無しさん?(にこにこ))
(う…嘘ですよう。)
(これ…欲しくないですか?綺麗な櫛でしょう?名無しさんにお土産で買ってきたんですけど、いい子じゃないなら…)
(私いい子になります!)