彼に食って掛かられる
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※甘めの描写があるので少し注意。
作中の小瓶の出所が気になる方は番外編・「Merry Christmas!」をお読みください☆
読まなくても楽しめます(*^^*)
「宗次郎?いる-?」
宗次郎の部屋を訪れた名無し。
声をかけてみたものの…応答はなかった。
「…いないのか。ちぇっ。」
つまらないなぁ、と声を漏らしながら引き返そうとした名無しだったが。
「中で待ってみて…帰ってきたところ驚かせてみよっかな♪」
悪巧みをしながら笑顔で彼の部屋に足を踏み入れた。
「あ!美味しそうなかすてらあるじゃん!
いひひ…こんなもの残して留守にしてる宗次郎が悪いんだもんねー♪」
思わぬ駄賃を目にして名無しは含み笑いをする。
お皿を用意して、目をキラキラとさせながら準備を進めていく。
「紅茶の葉は…っと。あれ?お砂糖どこだろ。」
きょろきょろと周辺を見渡すものの。
「お砂糖ない…それでも甘党の坊やか?」
がさごそと家捜しのようにあちこちの戸棚や引き出しを見ていく。
やがてお菓子の棚とはおよそ関係のない所にまで及んでいき…
「ん?なんだこれ?…あ!シロップか!これでいっか♪」
名無しはうきうき状態でその小瓶を手にした。
リボンの巻かれた可愛らしいその小瓶。蓋を取って中身の液体を少しずつ紅茶の中に落としていった。
「さあて♪いただきまぁす♪」
大きな口を開けてかすてらを頬張る。
そして、ティーカップを手にして一口、二口と紅茶を口にした。
「んんん?なんか…すごく甘くて…ふわふわする…」
──異変が起きたのはそれからやや時間が経ってからのことだった。
「……あれ、名無しさん?」
やがて自室へと戻った宗次郎はその光景を見て思わず瞬きをした。
眠ってしまっているのか、机に突っ伏しているのは名無しだとすぐに見て取れたのでそっと近付いて様子を伺いにいったのだが、
「え?名無しさん…?」
「っ、ふ…ん…っ…」
目の前の名無しは繰り返し苦しそうに息を漏らしていた。
(…顔も赤いけど、ひょっとして…)
「熱があるんじゃ…」
ようやく自分に気付いたのか、名無しはゆっくりと瞳を開いてこちらを見上げた。
「は…っ、あ…っ…そうじろ…」
「一体…どうしたんですか、名無しさん?」
涙で潤んだ彼女の瞳は熱っぽくて。
そのまま首をこちらにもたげていたけれど脱力するように再び伏せがちになる。
「苦しいんですか…?」
「からだ…熱くてっ…ん…」
少し汗ばんだ肌。
「弱ったな…風邪かなぁ?」
そっと、名無しの額にかかる髪を避けて触れようと指を纏わせただけだったのだが、
「ひあ、っ…!」
「…?」
名無しは軽い叫びと共に、ぴくりと体を跳ねさせた。
思わぬ反応に目を少し丸くさせながらも宗次郎は囁くように謝る。
「…あ、すみません。びっくりさせちゃいました?そんなつもりはなかったんですけど。」
「う、うぅん…っ…」
ふるふる、と戸惑いを見せながらも首を振る名無しを落ち着かせるように微笑みかけ、そっと肩を撫でた。
「…おでこに触れるだけですから。」
「……っ…」
「名無しさん?」
「ん…っ、なんでも、ない、からっ…」
ゆっくりと手のひらを額に重ねて静かに合わせた。
(…やっぱり熱があるかな。)
伝わる温度に心配心が顔を出す。
そうしている傍らで──小刻みに揺れる彼女の睫毛がなぜか心に引っ掛かりながらも手をそっと離した。
まだ少し震えている様子の名無しを見遣るものの、彼女は赤面しながら俯くだけであった。
「えっと…少し横になります?名無しさん。」
「うん…そうしようかな…」
そして、頷いた彼女の背中にそっと触れたのだけれど。
「…っ!…んっ、」
「……?」
「…ぁ、触らない、で…っ…」
躊躇うように身を離した名無し。
行き場を失った手が頼りなさげに宙に浮くけれど、それよりも。
なんだか照れながらも切なげな表情をしている名無しの言動がよくわからなくて。
「え…?」
「嫌とかじゃなくって…その…
宗次郎に触れられると、なんか…ドキドキしちゃって…っ…」
「あ……そうなんですか。」
わからないけれども、頷いて身を引いた。
そして、ふと机の上が視界に入ってきたのだが、宗次郎は思わず目を見張った。
「…!これ、飲んじゃったんですか…?」
ティーカップの脇に置かれていたのは、小さな小瓶とそれに附属していたと思わしきリボン。
もちろん、それの存在を宗次郎は覚えていた。
──少し前に無理矢理渡された品。
捨てればよかった、と思わず心内で吐露した。
(分かりにくいところに隠したつもりだったんですけど…)
「宗次郎…っ、」
「あ、はい…?」
名無しの声に振り向いた。
いつしかすぐ傍に座り込んでいた名無しにはっとする。
とろんとした瞳でこちらを見上げる名無しに思わず体が熱くなるが、直視しないように少し目を逸らす。
──気を取られないようにしたことだが、それは間違いだったとすぐに気が付いた。
「!?名無しさんっ…?」
突然、しな垂れかかるように胸に被さる重み。
胸の中に収まった名無しは、その熱い眼差しをこちらに向けた。
「っ…//」
「そうじろう、好き…っ…」
「!」
すぐ目の前で囁かれ、頭がくらくらする。
(えっと…薬のせいなんですけど、これは結構…刺激が強いなぁ…//)
そんな宗次郎の様子をよそに名無しは彼の首に己の両腕を回した。
はっとした宗次郎は名無しの顔に焦点を合わせるが、時既に遅し。名無しは紅潮した頬を宗次郎に近付けるように首を持ち上げていく。
「…えっ!ま、待ってください!」
「もう、むり…っ…」
「いけないです、名無しさ…!」
奪うように重ね付けられた唇に宗次郎の言葉は途中で閉ざされた。
慌てて彼女の肩を押すけれども、名無しはなおも口吻を重ねていく。
薬の影響があるとはいえ彼女の愛らしさと温もりと、彼女の口吻から伝わる甘い香りに酔い痴れそうになっていく。
「名無し、さ…んっ…、」
目を閉じてその感触を堪能するように唇を寄せている名無し。
触れるだけのキスだったが、宗次郎が名前を告げようと開けた唇の隙間から名無しの舌が侵入していく。
「!」
「ふ、っ…んむ…っ、ん…っ//」
驚いて瞳を見開くけれど。
漂う甘い香りと、縋り、求めるように舌を絡めていき吸い付いてくる名無しを前にすればするほど理性が上手く働かない。
漏れる彼女の吐息。
「んぁ…っ、は、ん…っ…」
「はっ…」
いつしか意識を支配されるように、宗次郎もまた名無しの唇を奪い、ゆるゆると絡む彼女の舌を絡め取り愛撫をするように口吻を行っていた。
「ん…あっ、宗…っ…///」
「名無しさんの…せいですよ…」
息を継ぎながら、甘い声が謀らずとも漏れていく。
瞳を潤わせた名無しに見つめられれば少し気恥ずかしくて、彼女の気を逸らすようにまた唇を重ねて熱い咥内に舌を這わせた。
「はあ…あっ…そうじろ…」
次第にくちゅ、くちゅ、と漏れていく水音。
少し及び腰になる名無しを逃がさないように片手を彼女の腰に回すと、ぴく、と触れただけで跳ねる体。
熱に浮かされながらも静かにこちらを見上げる視線を見守り、そっと優しくなぞりながら手のひらを置くと、身を委ねるように閉じていく瞳。
そして首元にしがみつく腕。
「ぁ、は…っ、ん…」
(名無しさん…っ…もう止まれませんから…)
そのまま名無しの顎を上げさせて口吻を深くしていく。
何度も互いに交えて、名無しの舌を掬い上げては愛撫するようになぞりあげていく。
互いの蜜が混ざり合い、唇の隙間から時折こぼれ落ちていくけれども、宗次郎は充てられたようにその唇を奪っていくがやがて──
「ふ…っ……あ、ぁ…っ……」
小さく身動いだかと思うと、力の抜けていく名無しの体。
支えながらも啄むように唇に触れて塞いでいく。離さない、という風に何度も何度も。
暫くして、はあ、と自身も溜め息をつきながら宗次郎はようやく名無しの唇を解放したのだが…
──くた、と己の胸元に頬を沈めるように崩れた名無しの姿を見てようやく我に返った。
「あ、しまった…」
反応のない彼女に焦りながら、ぺちぺちと頬を軽く叩くけれど。
「気絶させちゃった…!名無しさーん…!」
to be continued…