彼に食って掛かられる
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「…で?」
「…いえ、それだけですよ?」
じとっとした表情を向ける鎌足に宗次郎は爽やかな笑みを返した。
「嘘おっしゃい!愛しの彼女に抱きつかれて抱き返して押し倒してそれで終わりなわけないでしょうが!」
「いえいえ、本当のことですから。第一、僕も名無しさんも疲れていつの間にか寝てしまってましたから。」
「疲れて…?」
「長風呂と風邪でです。」
「え-?本当にぃ?」
「れっきとした長風呂と風邪です。」
宗次郎はにこにこと微笑んだ。
「んもぉ、怪しいわ!まったく!」
「いくら問い詰めたって、これ以上は何も出ませんよ。じゃあ。」
──それからほどなくして。
「あ、ちょっと名無しー。」
「んん?どうかしましたか鎌足さん。」
鎌足は周囲を窺うようにして手招きをする。
「ねえ、ちょっとちょっとちょっと。」
「…?え、ちょっと、どこに連れてくんですか?」
「人に見られるとまずいから……これを見なさい!」
「…なんですかこれ?メープルシロップ?」
「んなわけないでしょ。これはね…自・白・剤♪」
「ほ、ほほーう…?」
「これをね…ちょちょいのちょいと、飲ませてほしいのよ。飲み物とかに混ぜるだけでOKなの。」
「え、誰に?」
「宗ちゃんに!」
「馬鹿じゃないの!?」
「あらぁ?あんた何様のつもり?」
「いったああああ…!ごめんなさぁい…!」
思い切り頰を引っ張られた名無しは涙を浮かべた。
「…で?それで宗次郎に何を吐かせたいんですか?」
「………えーと。」
「あー!わかった!私とのことでしょ!?ダメですよぅ!」
「!!違うわよ!」
「いやいやいや!じゃあさっきの間はなんなんですか!」
「えーと。」
「ほらぁ!」
「ち、違うのよ。(何かいい言い訳ないかしら)……あまりにもしょうもないことだから言うのに気恥ずかしかっただけ。」
「…?」
「こほん。私のおやつの団子が誰かに食べられちゃって。その犯人が宗ちゃんじゃないの?というわけ!」
「…ふーん。」
「…もし宗ちゃんが犯人なら、彼の弱味を握れるってわけ。」
「……ふ、ふーん。」
「もし名無しが協力してくれるなら宗ちゃんの弱味が
「やらせてください。」
「そうこなくちゃ♪(うそ!?苦し紛れの冗談にこんなに食いつくなんて。)」
──悪者二人はこうしてかくかくしかじかで、話をまとめた。
「じゃあ…飲み物に入れて飲ませるだけでいいんですね?」
「そうそう♪飲ませたらあたしを呼んでちょうだい。よろしくねぇん♪」
「ラジャーです!」
* * * * *
「名無しさん、何してるんですか。」
「………」
説明しよう。
──やる前にバレました。
「飲み物に何か入れるとしたら………さしずめ、毒物とか…あるいは自白剤ですか。」
楽しそうにテキパキと状況把握する宗次郎。
「バカ…!私の、バカァ…!なんでもっと警戒しなかったんだ…!」
「名無しさんが僕を陥れようなんて100年早いですよ。」
「そ、その私にちゅーしたのは誰ですかぁ?」
「へぇ…そんなこと言うんだ。」
「怖い怖い怖い!!」
「で?誰の差し金ですか?見当は付いてますけど。」
「な、なんのこと~♪」
「言わないのなら簀巻きにしちゃいますけど?」
「鎌足さんです。」
(この小娘ェ…!!覚えてらっしゃい…!ひとまず退却よ!)
隠れて様子を見ていた鎌足は舌打ちをしながらすぐにその場を後にするのであった…
「で、名無しさんはなんで調子に乗って協力してるんですか。」
「宗次郎の弱味を握……じゃなくて鎌足さんのお団子の無念を晴らす為にです!」
「…お団子?」
「うん、お団子。」
「…………」
「…え?何?まさか本当に食べたん?」
「あれ…ひょっとして戸棚にしまってたの、ですか?てっきり、志々雄さんのだからいいやと…」
「まじかよ。」
握れたよ弱味。
たなぼた、ひゃっほー!
「まあ名無しさん。今回は引き分けですね。」
「え…?」
「ほら、僕だってこの現場しっかりと抑えちゃいましたから…」
「……」
「ね?」
弱味は蜜の味
「…嘘。言ってみただけです。」
「え?」
「二人だけの秘密ってことで。」
ふふ、と宗次郎は楽しそうに笑いかけた。
──もしかしたら…もう既に同じ立ち位置?