彼に食って掛かられる
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横たえられた身体。すぐ隣で宗次郎が穏やかに見守ってくれている。
…繋がれた手が熱い。
「宗次郎…」
「…眠たくなってきました?」
宗次郎の淹れてくれた……
あたたかい紅茶の味はまだ口に残ったまま。日だまりの中にいるような感覚にまどろみながら、彼の名前を呼んだ。
「なんだか色々あったからかな…どっと疲れた。」
「普段名無しさん仕事しないですもんね。無理ありませんよ。」
「ちゃんと仕事することあります!人並みには体力備えています!」
減らず口を叩くと、にこにこと優しい笑みを向けられた。
──いつもの宗次郎だ。でも、いつにもまして…何やら胸の鼓動が激しくなる。
「……名無しさん?」
「……手が心地いいの……」
「…そうですか。」
──高まる気持ちを落ち着かせるべく。
存在を確かめるように、繋がりを噛みしめるように何度も彼の手を握り返し、名無しは目を瞑った。
このまま…夢のようなひとときから醒めなければいいのに。
(…そろそろ…僕はこれで。)
──名無しの遠のきかけていた意識がその気配を刹那捉える。
宗次郎はゆっくりと繋がった手を離し、立ち去ろうと……
「……っ……」
名無しは思わず、手を伸ばした。
「えっ…?名無しさん…?」
突然のことに宗次郎は目を見開いた。
触れた体温…そして寄り掛かられる甘やかな重みに身体の重心を傾けさせられる。
──肩に回された腕。名無しに身を寄せられていた。
「え…?あの、これは…?」
「…行かないで。」
か細い声。
「でも名無しさん、休まないと…」
「…もっと一緒にいたいの…」
「…えっ、でも…っ…」
予期せぬ展開と、何より名無しの悩ましげな様子に宗次郎の思考は揺り動かされる。
「こうしていたいの…//」
「……!」
「……宗次郎は嫌?」
少し身体を離す名無し。ようやく見えたその顔は、いてもたってもいられないという表情で殆ど埋め尽くされていて。
──あとは、僅かな不安の気持ちと。
宗次郎はその不安を拭うように、ゆっくりと名無しの身体を抱きしめた。腕に伝わる名無しの柔らかさとぬくもりに、宗次郎は顔が火照り出しそうになる感覚を覚える。
「……嫌なわけがないでしょう…?」
「…そっか…」
「……そういうものですよ。心配しなくても。」
「…そう、よかった…//」
再び顔を合わせると、今更恥ずかしくなってきたのか、紅く染め上がる彼女の頰。
宗次郎は思わず笑みを溢しながら、その頭を痛くないように小突いた。
「…っ?」
「馬鹿ですね…今さら何を照れてるんですか。」
「だ、だって…」
「…仕掛けたのはそちらのくせに…」
静かな呟きに名無しの頬はますます熱を帯びていく。けれど宗次郎はそのまま彼女に囁き続けた。
「僕だって…名無しさんに触れたい、ずっとこうしていたっていい。そう思っているんですから…//」
「…そ、そうなんだ…?//」
「だから……離せないですよ?」
「……!」
とさ、と布団に静かに横たえられる。
一瞬離れたぬくもり。けれどすぐに再び近付いていく。宗次郎は覆い被さるように、名無しの頭の横に手を突き顔を寄せた。
「名無しさんが煽ったんだから…」
「……だって。ドキドキさせてくる宗次郎が悪いんだもん…//」
「はいはい。」
視界が狭くなり──彼に優しく抱きしめられた。
「僕が悪いです。だから──満足してくださいね?」
愛しさ、つかまえた
(今はもうおやすみ。君は僕のものだから。)