彼に食って掛かられる
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困ったのはその日の夜のことだった。
「本気ですか?」
「本気よ、本気。」
「かなりあやしい絵面ですよ?」
「誰が見てるっていうの?」
「まあ…そうですけど。細かい人だなあ。」
厳重に名無しさんに目隠しをされて脱衣所に連れて行かれた。そう、入浴に際し名無しさんが色々と取り決めを行った。
…絶対に、見られたくないのだと。
だから、“私が洗う”のだそうで。
「ねー、名無しさん。」
「なに?」
「脱がされるのはちょっと…恥ずかしいかな…」
「………」
「脱ぐのは目隠ししたまま僕一人でも出来るんですけど…」
「…だって、そしたら胸とか当たっちゃうじゃない。」
「………」
「今絶対“まな板なのに”って考えたよね?そうよね?」
「は?どれだけひがんでるんですか。」
「どーせ貧相ですぅ。」
…誰もそんなこと思ってないし、ましてや見たわけでもないのに自ら暴露してどうするんですか。
とも思ったけど、ああ言えばこう言うやり取りが延々続くことが予想されたからもう言わないことにした。
「…ちなみに僕の手…えーと、今名無しさんが入ってる僕の体が名無しさんの体に触れることに関しては問題ありませんか?」
「……!」
「あらかじめ確認しとかないと後で面倒ですからね。」
「………!」
…あれ、考えてる?いらないこと言っちゃったかな?
「名無しさん?」
「これはいいのっ……たぶん。」
「最後、弱気になりました?」
「名無しさんー、そっちじゃないです。もっと右。」
「こ、ここ?」
「あ、ちょっと行き過ぎです。…あ、その辺です。人に頭洗ってもらうって気持ちいいですね。」
「いつもより召使い扱いじゃない…」
「あはは。でも、したいって言ったのは名無しさんですよ。」
「まあ…今私は宗次郎だからね。見ようによっちゃ、宗次郎が召使いしてる光景だからこれ。」
「何か言いました?」
「目が!!シャンプーが!!目があぁぁ!!」
名無しさんは叫び声を上げて顔を着物に埋めた。
…心なしか、僕だけが着物を着ていないという状況は心もとないですけど、仕方ないなぁ。
そう感じた時だった。
「…!あ、名無しさん名無しさん!まずいです。」
「な、なに!?」
目に入ったシャンプーを洗い流し、慌てて宗次郎に向き直る。
「タオル外れそうです。」
「!どっち!?目?胸!?」
「両方です。」
「ぎゃああ!!」
色々ほっぽり出して慌てて勢いよく胸元を締め付けると。
「名無しさん…ちょっと苦しいです。」
「呼吸は出来る?」
「それはまあ…」
「じゃあ我慢して!緩いと落ちちゃうから!」
「無茶苦茶だなあ…」
「だって!見られるなんて恥ずかしいもん!!」
はいはい、と仕方なく言いながらも内心なんだかおかしかった。
湯の花騒動
(そこはやっぱり女の子。)
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