彼に食って掛かられる
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宗次郎に映画のDVDを見せてロマンティックの研究中。
宗次郎の気になるシーンを解明していってるんだけど…
「…あとは、なんでこんなに僕が名無しさんに尽くさないといけないんですか。」
「え?そこ?尽くす系全般ダメとか?」
「例えばこれ。」
巻き戻しボタンを押してあるシーンで停止させる。
「…なんでトロい名無しさんを待って、その上その苦心も一切出さずに、しかも一々手を差し出さなきゃいけないんですか。」
「ああ、そこね。…うん、さっさと来いやって殺気向けられそう。」
「あとこれも。」
ヒロインと男の子がずぶ濡れになるシーン。
「一緒にずぶ濡れになりたいですか?」
「あー…それは…」
自分たちの場合…
キャッキャッと騒いで、若気の至りで自ら海や川にダイブする…水しぶきと太陽でキラキラとしてて…
──なんてことはまずないだろうなと名無しは考えた。
多分あるとすれば…どこか川沿いを歩いてて…
『まったく、名無しさん手を煩わせるんじゃありませんよ。』
『う、うるさいなぁ。仕方ないじゃない。』
『なんで僕が叩かれなきゃいけないんですか。』
『ぎゃっ!倍返しとか聞いてない…!』
宗次郎のものすごい報復でバランスを崩して足が縺れて…
『きゃあーっ!落ちる落ちる落ちるっ!』
『あ、ちょっと、引っ張らな…』
ばちゃーん!!
…って感じかな。
名無しは思わず身震いした。
「…おまえ何やってんだ道連れにすんじゃねーよって殺気向けられそうだからやめとくわ。賠償請求されそ、あ痛っ」
「勝手に物騒な物言いに僕の台詞作らないでくれません?」
「そう、こういうの!こういうのがムードぶち壊しなんだと思うのよね。」
「いえいえ、“恋人”として真っ当なたしなめを行ってるんですよ。」
「……(恋人…///)」
「名無しさんには一般常識を身につけて貰わないと。恥をかくのは僕ですからね。」
「……」
「あと、気になったのは…」
宗次郎は再度リモコンを操作して今度は早送りを行う。
「ああいう抱っこされたいですか?」
「お姫様抱っこのこと?えー!?いいじゃない!!」
思わず叫んでみると、宗次郎は意外そうな表情をした後、嫌そうに私を見た。
「え?本気ですか?」
「王子様って呼んであげる!ほら、宗次郎顔だけはすごく綺麗なんだから!様にもなるって!」
「やですよ、こっ恥ずかしい。」
「なんでよ。」
「だいたい、抱っこならこの間したじゃないですか。」(※She is mine参照)
「あ、あんな持たれ方…雰囲気の欠片もないじゃん!ロマンスなんて程遠い、ローチンでしょ!」
「名無しさん弱いんだからむやみに敵作らないでください。僕の仕事が増えるじゃないですか。」
にこにことあしらい、そして宗次郎は立ち上がった。
「ほら僕は忙しいんですから、馬鹿な話はおしまいにしてくださ」
「え~っ!やだぁ~!」
……立ち去ろうとすると足を掴まれた。構わず無視するものの、しがみついたままずるずるとついてくる。
「…もう、何なんですか?」
「相手してくれるまで離さないもん!」
「踏みますよ?」
「えっ、ちょ、まさか…うげげっ!?」
「あ、外した。」
「うわっ、わわ!」
信じられない。掴んでいない方の足を縮地並みの足捌きで下ろしてきやがった。しかも連続で。
足を掴んだまま、命からがら必死にかわしまくってたら感心された。
「すごいですね、ゴキブリ並みのすばしっこさですね。」
「恋人ってなんだっけ!?」
「…本当に離れませんね。」
「て、手汗で…」
…途端に無言でしゃがみ込み、ずいっと顔を寄せられる。あれ、なんか怖い。
「…離したくなかったとか言う場面じゃないんですか?」
「…まじで?」
この死闘の後で?シュールすぎる。
と思っていたら、
「あ。」
何かを閃いたように宗次郎は声を上げた。
「はい、名無しさん。手。」
「へ?」
「手ですよ、ほら。」
横たわったままのこちらに向けて手を差し伸べた。
「?ほい。」
「ほら、名無しさんの望んでた構図になってますよ。」
「……」
ものすごく綺麗な笑顔でさらっと言われた。
「あれ、喜ばないんですか?」
「何のプレイですか?」
これは戦争です
命と恥の駆け引き。