彼に食って掛かられる
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「あっれー…?やばい…ここどこ?」
これは…迷子というやつでしょうか。
勢いに任せてどこそことなく走るんじゃなかった…
やばい、変な路地に入り込んでしまったみたい。
「うわー…どうしよう…」
とりあえず、人通りが多いとこに出なきゃ。
それで、誰かに道を聞こう。
こう人がいないんじゃ死亡フラグ、操ちゃんにも会えないし、そしてお家に帰れない。
……まあ家に帰っても死亡フラグあるけど。
調子こいてボウヤへ、なんて書くんじゃなかった。
──はっ、宗次郎!!
『名無しはその人を愛してて!その人も名無しを愛してるんじゃないの!?』
違う!宗次郎に限ってそれはない!私に関してもそれはない!///
だって!なんで、言葉の暴力振るわれて、殴られたり叩かれたり峰打ちされたりとか暴力も実際振るわれて、さながら姑にいびられる嫁の如く…さながら食虫植物に溶かされる害虫の如く…ん?害虫?私、害虫?
おかしくない?
いやいやいや、論点ズレてる。いつもだけど。
とにかく、日常的にあんな仕打ち受けてるのに恋に落ちるとかないから!///私ドMじゃないから!
(でも…四乃森さん追い掛けてた時に手伝ってくれたり、励ましてくれたり…見た目に寄らず優しくてお世話焼きなんだよね…。そういうところはちゃんとわかってる。宗次郎はいい奴なんだってことくらい。)
たしかに、きゅんとしたことや、ドキッとしたこともあるけど…
…あれ?なんでこんなにずっとドキドキしてテンパってんだろう?私らしくもない。これじゃまるで私……!!
あややややや!宗次郎に、恋!?
私、乙女!?恋する乙女!?んなバカな!!
ブンブンブンとヘドバンの如く頭を振りまくってると、
「「「兄貴!!?」」」
え?兄貴?
三、四人くらいの男の声に反応して振り向くと、三、四人くらいの男の人がいた。
「え?なんでなんで!?私どこをどう見ても女の子ですよね!?姉貴ですよね!?イケメンに見えたなら謝ります!」
「バカかてめーは!」
「てめーは自分が何しでかしたのかわかってんのかぁ!?」
「はえ?」
物凄い雨嵐のような剣幕に、さすがの私も胸に手を当てて自分の行いを振り返らざるを得ない。
……も、何も出てこない。ただの屍のようだ。
「えっと…私、何をしでかしてしまったのでしょう。」
「てめーをナンパしようと声掛けに言った兄貴をヘドバン頭突きでぶっ飛ばしただろーーが!!」
「へ?」
「おら、あれ見ろ!兄貴の姿をよ!」
見ると10メートルくらい離れたところに結構大柄の男が鼻血を出して倒れていた。驚愕。
「まじか…!ヘドバン頭突きか!秘められた私の戦闘力ついに開花!これで志々雄さんの役に立てる!」
「なにごちゃごちゃ言ってやがる!」
「どう落とし前つけてくれんだよ、ああ!?」
「…ああ、そうか!これピンチなのか!そういうことか!ごめんなさいごめんなさい!悪気はなかったんです!!」
「何を今更!」
「いや、まじでまじで!もっと言うと私も被害者でして!今あらぬ嫌疑をかけられそうになってたとこで!お宅の兄貴を巻き込んでしまったことは本当にごめんなさい!もうなんと詫びればいいのか…勘弁してください!」
とにかくひたすら謝って謝って謝りまくろう。
そうしているうちに、
「もういいんじゃねーか、面倒くせぇ。」
「ったく…!とんでもない目に合ったな。」
「このガキうるさくて敵わねーしな。もう置いていこーぜ。」
「あああ…それで済むんですか…なんて慈悲深い…!」
宗次郎より優しくない?とか思ってしまう。
「おい、なんかこいつ気持ち悪いよな。」
「たしかに。病院紹介してやろうか。」
「なにをっ…違、本当すんませんしたっっっ!!」
頭を下げて下げて下げて、その取り巻き連中が立ち去ろうとした時だった。
「名無しさんー?」
「へっ!?(その声は……!?)」
振り向くと、角からこの裏路地へと入り込んできた…宗次郎がそこに立っていた。
「あ、見ーつけた。」
にっこりと宗次郎は微笑んだ。
窮鼠猫を噛むどころか猫ぶっ飛ばした、のち
最凶来たる。
(ロマンス?なにそれおいしいの?)