短編集
【短編用】名前変換
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「名無し。暇。」
「…」
「何か面白いことして。」
……。
「…あの、私今仕事中。」
「じゃあ早く終わらせて。」
…私が何か悪いことでもしたのだろうか。
ぶっきらぼうに命令し私のソファでごろごろする様からは、あの幼気な笑顔や丁寧な物腰は微塵も感じられない。
机に向かいつつそそっと様子を観察する。
…あ、何もそもそしてたんだろうと思ってたけど、おやつに取っておいた私のお饅頭を食べてた。
気だるそうにもく、もく、と頬を動かしそれの断面をじっと見つめる。
「…なんだ、白餡じゃないのかぁ。」
「人のおやつ勝手に食べといて…」
「何か言った?」
「いえ、何も。」
なんなんだこれは。まるでこれは不機嫌な子志々雄さんじゃないか。
「あの、宗次郎。」
「終わりました?」
「や、そうじゃなくて。あの」
「まだ?遅いなぁ。何やってるんですか。」
だから名無しは名無しなんですよ、とかなんとか。なにさ、その適当感。
「なんでそんなに不機嫌なの。」
「知りませんよ。いちいち人に追及するんですか?」
「だって気になって仕方ない。さっきから。」
「うるさいなぁ、僕だってこういう時はあるんですよ。」
うつ伏せに寝そべり、クッションに顔を乗せる。それを見てふと思った。
「疲れてるの?」
「疲れてませんよ。疲れてたら何かしてくれるんですか?肩揉んでくれたり?お茶淹れてくれたり?お菓子出してくれたり?」
「態度大きいわねぇ。お饅頭勝手に食べてたじゃない。」
「食べない名無しが悪いんですよ。そもそも、僕に食べられた方がお饅頭だって本望ですよ。」
思わず吹き出した。じろ、と睨まれた。
「何笑ってんですか。」
「だって無茶苦茶なんだもの。笑うわよ。」
「まったく、人が疲れてるのに。」
「あ、やっぱり疲れてるのね。」
「…」
…無言になる宗次郎。認めたくなかったなんて強気だなぁ。
でも、こんなに簡単に見破られちゃうなんて、本当に疲れてるんだろうな…。
「…宗次郎。」
「…なに。」
「これ終わったら、膝枕してあげよっか?」
「…」
暫く考えるようにして、ぷい、とそっぽを向いた。…なんか今日の宗次郎かわいいかも。
「ちょっと待っててね。構ってあげるね。」
「…別にそんなこと誰も言ってませんけど。」
「そっか。」
「…」
さすがにちょっと要らない言葉だったか、と自省し机に向き直ったその時。
「でも、まぁ。いいかな。」
続けて聞こえた「お願いしますね」、という口調はいつもと違って格段に投げ槍で、ぶっきらぼうだけど。
僅かに口許が弧を描いてたのを見逃さなかった。いつもとは違うけど、こういうのもいいな。
Anisodontea
(…宗次郎、足痺れてきたんだけど…)
(退きませんよ?名無しが言うから乗ってあげたのに何言ってるんですか。)
(えっ、そうなるの?どうでもいいけど一瞬だけ休ませて…!)
アニソドンテア
花言葉は「優しい感受性」「今日限り」
ずっとにこにこしてる故の反動が現れたらどうなんだろうと。
気の置けない人にだけ見せるのではないでしょうか。
ぞんざいに接していますが、宗次郎が気を許してる証ということで。
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