短編集
【短編用】名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
※流血表現を含みますのでご注意ください。
星明かりがあなたを照らした時、不覚にも僕は。
「…なかなかの腕前ですね、名無しさん。」
「あなたこそ。」
名無しさん。僕の首を狙って現れた剣客。
綺麗。それでいて強い人。
でも僕には敵わないかもしれません。
けれど…
「あ……!」
「…」
彼女の刀がその白い手から零れ落ちる。姿勢を崩し倒れ込んだ名無しさん。
地についたその右手を踏みつけ、喉元に刀を突きつけた。
「…!」
「…勝負ありってところかな?結構楽しかったですよ。」
「……」
肌を僅かに突き刺した切っ先から滴る血。それにも関わらずこちらをまっすぐ見据える強い眼差し。
「…殺して。」
「……」
…好きだなぁ、そういう表情。
「斬って捨て置いてくれて構わないわ。」
「…敵に情けをかけられるなんてもってのほか、というわけですか?」
「ええ…」
「そういう考えは甘いですよ。」
そんな、勿体ないこと。せっかく勝ったのにそんな勿体ないことはしませんよ。
彼女と視線の高さを揃えるように、しゃがみ込む。
そして刀をしまい、顎に手を添えてこちらを向けさせた。
「!何を…?」
「綺麗ですね。」
「……!?」
初めて瞳に浮かんだ、戸惑いの色。
さっきまでの強気もよかったけれど、不安が差した表情もまた。
「…!」
滑らかな肌に手を滑らせ、目尻辺りに触れると僅かに顔を引き攣らせた。
「ああ、目を潰されると思いましたか?」
ゆっくりと目元をなぞり上げる。
「…馬鹿にして…!」
「冗談ですよ、冗談。傷つけたりなんてしませんよ…こんなに綺麗なのに。」
抉るだなんて、そんなつまらないことするはずがない。でもやっぱり怖かったのかなぁ。
そんなことを思いながら、再び顎を掴みこちらを見上げさせた。
「…!?」
「あなたは僕のものになるんです。だって僕に負けたんだから。」
そうして唇を重ねた。重ねづけると共に鼻先が触れあう。
「…っ!」
顔を反らそうとするものの、もう片方の腕で頭を掴んで押さえつけて抵抗を奪う。
大人しくなったのをいいことに貪りながら様子を伺うと、微かに開いている目元では睫毛が細かく震えていた。
ゆっくりと離すと、突然のことに自我を見失ったような目。囁くようにしながら唇を嘗め上げた。
「……!」
「…良くなかったですか?」
睨み付ける目。
「…最低…!」
「そうですよね、敵に辱しめを受けるなんて。」
「…この…っ!」
名無しさんは唯一自由の効く左腕で殴りかかるものの、容易く片手で受け止められてしまう。
「くっ…」
「やだなあ、怒らないでくださいよ。」
「……っ」
「弱いあなたが悪いんでしょう?手も出せなくなったあなたに落ち度があるんですよ。」
「…あなたって人は…!」
力が入ったようだけど、微動だに出来ない拳。悔しげに唇を結ぶ様を見て笑いかける。
やがて…
次第に諦めたのか拳の力を抜くのを感じた、その時。
「!んんっ…!」
「ダメですよ。逃げるなんて。」
見開かれる眼。
…舌を噛もうとする気配がしたから、即座に咥内に指を突っ込んだ。
代わりに僕の指の肉が裂かれ、瞬く間に痛みと血の感触。…まあいいや、仕方ない。
「んんぅ…っ!」
「死なせはしませんよ。
あなたは僕のものです。」
そう、この世は弱肉強食。あなたの行く末は僕が。それが真理。
「…大丈夫、不自由はさせませんよ?」
「…っ…」
「だって僕、あなたに一目惚れしたんですから。」
…ああ、素敵だなあ。涙を浮かばせるその顔も。
刀を奪って、抵抗をもぎ取って、穢していったらどうなるんだろう。
きっとまた素敵な顔を見せてくれますよね。
「これから沢山愛しますよ、名無しさん…」
星月夜の罪穢
(星々が瞬く間にまたひとつふたつと穢して)
七夕が元ネタとなっております。
天女が堕天させられる風を想定。長くなりそうなんで日記に背景載せます。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
星明かりがあなたを照らした時、不覚にも僕は。
「…なかなかの腕前ですね、名無しさん。」
「あなたこそ。」
名無しさん。僕の首を狙って現れた剣客。
綺麗。それでいて強い人。
でも僕には敵わないかもしれません。
けれど…
「あ……!」
「…」
彼女の刀がその白い手から零れ落ちる。姿勢を崩し倒れ込んだ名無しさん。
地についたその右手を踏みつけ、喉元に刀を突きつけた。
「…!」
「…勝負ありってところかな?結構楽しかったですよ。」
「……」
肌を僅かに突き刺した切っ先から滴る血。それにも関わらずこちらをまっすぐ見据える強い眼差し。
「…殺して。」
「……」
…好きだなぁ、そういう表情。
「斬って捨て置いてくれて構わないわ。」
「…敵に情けをかけられるなんてもってのほか、というわけですか?」
「ええ…」
「そういう考えは甘いですよ。」
そんな、勿体ないこと。せっかく勝ったのにそんな勿体ないことはしませんよ。
彼女と視線の高さを揃えるように、しゃがみ込む。
そして刀をしまい、顎に手を添えてこちらを向けさせた。
「!何を…?」
「綺麗ですね。」
「……!?」
初めて瞳に浮かんだ、戸惑いの色。
さっきまでの強気もよかったけれど、不安が差した表情もまた。
「…!」
滑らかな肌に手を滑らせ、目尻辺りに触れると僅かに顔を引き攣らせた。
「ああ、目を潰されると思いましたか?」
ゆっくりと目元をなぞり上げる。
「…馬鹿にして…!」
「冗談ですよ、冗談。傷つけたりなんてしませんよ…こんなに綺麗なのに。」
抉るだなんて、そんなつまらないことするはずがない。でもやっぱり怖かったのかなぁ。
そんなことを思いながら、再び顎を掴みこちらを見上げさせた。
「…!?」
「あなたは僕のものになるんです。だって僕に負けたんだから。」
そうして唇を重ねた。重ねづけると共に鼻先が触れあう。
「…っ!」
顔を反らそうとするものの、もう片方の腕で頭を掴んで押さえつけて抵抗を奪う。
大人しくなったのをいいことに貪りながら様子を伺うと、微かに開いている目元では睫毛が細かく震えていた。
ゆっくりと離すと、突然のことに自我を見失ったような目。囁くようにしながら唇を嘗め上げた。
「……!」
「…良くなかったですか?」
睨み付ける目。
「…最低…!」
「そうですよね、敵に辱しめを受けるなんて。」
「…この…っ!」
名無しさんは唯一自由の効く左腕で殴りかかるものの、容易く片手で受け止められてしまう。
「くっ…」
「やだなあ、怒らないでくださいよ。」
「……っ」
「弱いあなたが悪いんでしょう?手も出せなくなったあなたに落ち度があるんですよ。」
「…あなたって人は…!」
力が入ったようだけど、微動だに出来ない拳。悔しげに唇を結ぶ様を見て笑いかける。
やがて…
次第に諦めたのか拳の力を抜くのを感じた、その時。
「!んんっ…!」
「ダメですよ。逃げるなんて。」
見開かれる眼。
…舌を噛もうとする気配がしたから、即座に咥内に指を突っ込んだ。
代わりに僕の指の肉が裂かれ、瞬く間に痛みと血の感触。…まあいいや、仕方ない。
「んんぅ…っ!」
「死なせはしませんよ。
あなたは僕のものです。」
そう、この世は弱肉強食。あなたの行く末は僕が。それが真理。
「…大丈夫、不自由はさせませんよ?」
「…っ…」
「だって僕、あなたに一目惚れしたんですから。」
…ああ、素敵だなあ。涙を浮かばせるその顔も。
刀を奪って、抵抗をもぎ取って、穢していったらどうなるんだろう。
きっとまた素敵な顔を見せてくれますよね。
「これから沢山愛しますよ、名無しさん…」
星月夜の罪穢
(星々が瞬く間にまたひとつふたつと穢して)
七夕が元ネタとなっております。
天女が堕天させられる風を想定。長くなりそうなんで日記に背景載せます。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。