短編集
【短編用】名前変換
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「ね、宗次郎ってさ。」
久々に二人きりの空間を味わっていたのどかな昼下がり。
いつしか名無しさんは「これ安慈さんに貰ったんだ」と蜜柑を沢山持ち出してきたものだから、二人して炬燵で蜜柑を囲いながら他愛ない話をしていたのだけれど。
「宗次郎って珈琲、飲めたっけ。」
「え?なぜ今なんですか?」
唐突な問いかけに思わずそう呟いていた。
──ただただ蜜柑を美味しく食しているこの場で何故、今。
「んー」と一瞬虚空を見つめ上げたものの、悪びれることもなく名無しさんはこちらへ笑いかけた。
「いや、ふと思い立ってね。」
「空気読んでくださいよ。」
「宗次郎は空気読む人だっけ?」
「まだ返事してないのに質問重ねないでください。あーあ、せっかく美味しく蜜柑食べてたのに手が止まっちゃいました。」
「じゃあ蜜柑私が全部食べちゃおう。」
「そうはさせませんから。」
くだらない会話を交わしながら蜜柑の籠を確保し、とりあえず名無しさんに奪われないように制した。
「珈琲、勿論飲みますよ。」
「お砂糖入れなくても?」
「……質問責めは嫌いです。」
「へー、お砂糖要るんだ。」
物珍しげにしげしげと見つめてくるので、ぷい、と顔を背けたけど、
「私も甘いのじゃないと飲めないや。」
くすくす、と眉を下げながら楽しそうに名無しさんは微笑んだ。
──その表情がどうにもこうにもこちらの気持ちをもどかしく波立たせていることは…彼女には内緒。
「…あ、いいこと考えたんだけど!」
「ろくでもない、の間違いでしょう?」
「まま、いいじゃない。」
名無しさんは僕の手から蜜柑を取ると。
「珈琲さ、蜜柑食べた今ならふるーてぃーで美味しく飲めるよきっと。」
「…なんですか、そのとんでも提案。絶対美味しくないですって。」
「暇だし、付き合って?」
…名無しさんが本当に楽しそうだったのでつい乗せられてしまう。まあ、いいか。
試してみる
(飲み合わせ最悪だね…)
(名無しさん。責任とってくださいね?)
(……これは何をしようとしてるんでしょうか?なんで私の肩掴んでるんでしょうか…)
(口直しするだけですけど、何か問題でも?)