短編集
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宗次郎と、志々雄さん部下のヒロイン。付き合っていないです。
「手を繋ぎませんか?」
──道中、二人で歩いていたのだけど。
ふいに振り向いた宗次郎がこちらを覗き込んだかと思うと、突然思ってもみなかった提案をされたものだから名無しは固まってしまった。
「あれ、固まっちゃいました?名無しさん?」
「え、えっと…?」
「何かおかしなこと言ったかなぁ。」
変わらない笑顔のまま首をかしげる宗次郎。
そしてそのまま「まあいいか」と呟いて名無しの手をすっと手に取った。
「ま、待って!」
「?なんですか?」
…いえいえ、たしかに私と宗次郎は仲良しですけど。
「…駄目よ、手を繋ぐなんて。」
「どうしてですか?」
「こういうのは好きになった人と…」
「?どういうことですか…?」
目をぱちぱちとさせながら、それでも笑顔は崩さず名無しを見つめたまま。
そして握った手は未だその手のひらで包んだままで。
「…その、好きになった人とする行為だから…ちゃんとその人のために取っておかないと駄目だと思う。」
「…好きになった人?取っておく?」
「うん。」
不思議そうな目を向けられる。
「僕は名無しさんのこと好きですよ?」
「!そういうことじゃなくて、」
「え?いけませんか?」
宗次郎の好意はわかるのだけど…
けれど、無邪気な彼の手を振り払うことなどはとてもできない。
「…名無しさんも僕のこと好きでしょ?」
にこにこと告げられて。いたいけだから気圧されてしまう。
「そ、それはそうだけど…」
「じゃあ、問題ありませんね。」
心なしか満足そうに微笑まれて、手を繋がれたまま歩み出すのだった。
──手を引かれながら、その温もりを感じていた。
「…宗次郎、恋って知ってる?」
「恋?ああ、恋は知ってますよ。したことはないですけど。」
(知ってるんだ…)
「あれ?ひょっとして意外だなんて思いました?」
からかうように笑いかけられた。
図星を突かれたなぁと感じながら、宗次郎の言葉の真意を思わず探ろうと、そしてちゃんと諭さないと、と思いながら。
「…したことはないのね。」
「ええ。だから。」
「……?」
ふいに宗次郎の声が穏やかなものになる。
「名無しさんのこと好きですよ。好きなので。」
「…えっ?」
「もし恋をするなら名無しさんがいいな。
この気持ちがいずれ恋になればいいなって思ってます。」
振り向く柔和な表情の宗次郎。
「名無しさんの気持ちもそうなるといいなぁ。」
にっこりと微笑みかけられた。
──顔が火照る気配がして思わず俯きながら、名無しは宗次郎の言葉を何度も反芻するのであった。
その手を握り返しながら。
(それって…?///)
真意を汲み取れるはずもなく。ただただ戸惑いに胸を高鳴らせていた。
恋ってなんですか
(その気持ちに気付くまであと数秒。)
「手を繋ぎませんか?」
──道中、二人で歩いていたのだけど。
ふいに振り向いた宗次郎がこちらを覗き込んだかと思うと、突然思ってもみなかった提案をされたものだから名無しは固まってしまった。
「あれ、固まっちゃいました?名無しさん?」
「え、えっと…?」
「何かおかしなこと言ったかなぁ。」
変わらない笑顔のまま首をかしげる宗次郎。
そしてそのまま「まあいいか」と呟いて名無しの手をすっと手に取った。
「ま、待って!」
「?なんですか?」
…いえいえ、たしかに私と宗次郎は仲良しですけど。
「…駄目よ、手を繋ぐなんて。」
「どうしてですか?」
「こういうのは好きになった人と…」
「?どういうことですか…?」
目をぱちぱちとさせながら、それでも笑顔は崩さず名無しを見つめたまま。
そして握った手は未だその手のひらで包んだままで。
「…その、好きになった人とする行為だから…ちゃんとその人のために取っておかないと駄目だと思う。」
「…好きになった人?取っておく?」
「うん。」
不思議そうな目を向けられる。
「僕は名無しさんのこと好きですよ?」
「!そういうことじゃなくて、」
「え?いけませんか?」
宗次郎の好意はわかるのだけど…
けれど、無邪気な彼の手を振り払うことなどはとてもできない。
「…名無しさんも僕のこと好きでしょ?」
にこにこと告げられて。いたいけだから気圧されてしまう。
「そ、それはそうだけど…」
「じゃあ、問題ありませんね。」
心なしか満足そうに微笑まれて、手を繋がれたまま歩み出すのだった。
──手を引かれながら、その温もりを感じていた。
「…宗次郎、恋って知ってる?」
「恋?ああ、恋は知ってますよ。したことはないですけど。」
(知ってるんだ…)
「あれ?ひょっとして意外だなんて思いました?」
からかうように笑いかけられた。
図星を突かれたなぁと感じながら、宗次郎の言葉の真意を思わず探ろうと、そしてちゃんと諭さないと、と思いながら。
「…したことはないのね。」
「ええ。だから。」
「……?」
ふいに宗次郎の声が穏やかなものになる。
「名無しさんのこと好きですよ。好きなので。」
「…えっ?」
「もし恋をするなら名無しさんがいいな。
この気持ちがいずれ恋になればいいなって思ってます。」
振り向く柔和な表情の宗次郎。
「名無しさんの気持ちもそうなるといいなぁ。」
にっこりと微笑みかけられた。
──顔が火照る気配がして思わず俯きながら、名無しは宗次郎の言葉を何度も反芻するのであった。
その手を握り返しながら。
(それって…?///)
真意を汲み取れるはずもなく。ただただ戸惑いに胸を高鳴らせていた。
恋ってなんですか
(その気持ちに気付くまであと数秒。)