かぐやひめの時渡り
【短編用】名前変換
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「ね、志々雄さん!」
「ん?どうした名無し。」
「お願いがあるんだけど…」
ある日、名無しさんがこともなげに志々雄さんに申し出たこと。それは。
「色々用意してほしいものがー。」
「なんだ。」
「えっとね、仏の御石の鉢、蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣、龍の首の玉飾り、燕の子安貝。」
──志々雄さんは固まるのでした。
「…待て。果たして一体、俺一人で集めるもんなのか、それらは。」
「?だって志々雄さんなんでもくれるから。」
「え?あれだよな?かぐや姫の話にある…
…つか、求婚してきた奴らに与える試練じゃなかったか?」
「?球根?球根はよくわからないけど、なんかね、それらがいるんだって!こないだ竹から出て来た紙に書いてあった!ほら!」
名無しさん、袖口から落書きのようなメモ書きのようなものを取り出しました。
「ね?ぜんぶ書いてあるよ。」
「球根じゃねえ。結婚を申し込まれることだ。」
「あ!結婚ね!」
ぱあっと顔を輝かせた名無しさん。
ぱんっと手を合わせ──
「私ね、宗次郎と結婚するの!」
「ファッ!?」
* * * * *
「おい宗次郎。」
志々雄さんに呼び止められた天剣のお兄さん。
「なんです?志々雄さ…あれ、なんだか怖い顔してるなぁ。」
「宗次郎…こっちに来い。」
「はあい。」
連れて行かれ、そしてごにょごにょと宗次郎に囁きました。
「…おまえ、名無しとその…」
「?」
「け…けけけ、け、け…(チッ、この俺が動揺だと?)」
「あ、結婚ですか?」
気さくに答えた宗次郎さん。
そのあっけらかんとし過ぎる様に、思わずおじ…志々雄さんはその頭をぱしんと叩きました。
「あいたっ。酷いなぁ、何をするんです?」
「やすやすとしてんじゃねーよ。」
「志々雄さん、嫉妬ですか?」
「ふざけたこと抜かすな。」
「あいたっ。」
「うーん…そういうことになってるみたいですね。」
そっか、と宗次郎は呟きました。
「──名無しの奴、どんどん事を進めそうだぜ。」
「あららら。さすが名無しさん。」
「そういう気がねえなら、はっきりおまえの口から言い聞かせてやれ。」
「そのことなんですけどねぇ…」
いわくありげな宗次郎の物言いに意識を研ぎ澄ます志々雄さん。思わず険しいお顔に。
「…なんだ?」
「…僕も名無しさんといると楽しいし居心地いいし、いいかなぁって♪」
にこにこ、と宗次郎は語るのでした。
もちろん宗次郎のことも大切なおじいさんですが、可愛いかぐや姫のことを思うと、なかなか…いきり立ってしまいます。
「おい!そういう中途半端な決意が名無しを傷付けるんだぞ、わかってんのか!おままごとも程々にしろ。いい加減な妥協が宗も名無しも不幸にするかもしれねえ。」
なかなかの剣幕にも、にこにこと相対していた宗次郎ですが、しばらくして、うーんと考え出します。
「妥協…うーん、妥協なのかなぁ…?」
「……」
「でもなあ…」
(もしかして満更でもないってのか…?)
ドキドキハラハラするおじ…志々雄さん。
「まあ、志々雄さん。心配しないでください。」
「…!」
人懐こい笑顔に、内心ほっと一息ついた志々雄さん──
「もししないってなったら志々雄さんにはちゃんと伝えますから♪」
(8割方するつもりか…!?)
──にその言葉は降って刺さったのでした。
* * * * *
「…集まったか。十本刀。」
鎌「やーん♪志々雄様ぁ!」
由「鎌足、下がりなさい!」
宗(今度は皆を呼び出して…どうするんだろう?)
「実はお前達の力を借りたい。野望を成し遂げるにはお前達の力が欠かせない。」
宇「フン…何を息巻いている。少々心音が煩いぞ。」
方「宇水!志々雄様が話をなされている時に口を挟むな!煩いぞ!!」
志「方治、うるせえ。」
方「はっ、申し訳ございません!!(なぜ私だけが!?)」
「志々雄さん、どうかしたんですか?」
にこにこと語りかける宗次郎。それをきっかけに志々雄さんは口火を切ったのでした。
「──名無しの嫁入り道具を見繕ってくれ。」
十本刀+由美「!?!?」
由「し、志々雄様…?」
志「必要なものは五つ。仏の御石の鉢、蓬莱の玉の枝、火鼠の皮衣、龍の首の玉飾り、燕の子安貝だ。」
方「な、なんですかそれは?」
宇「馬鹿馬鹿しい…」
「どれもこれも伝説上の宝で、どんなものなのかすらわからねえ。だが…一番多く集めてきた者には、なんでも一つ望みを聞いてやる。」
十本刀+由美「!?!!」
宇「…ほほう、面白い。」
鎌「なんでも…!?そ、それって…!し、志々雄様とあんなことやこんなこ」
由「瞬天殺!!」
「あ、僕の技ですね。すごいや由美さん。」
「頼んだ。俺自身も全力で捜索にあたる…」
かくして、名無しさんと宗次郎の結婚は押し進められることに───なったのでしょうか?
可愛らしいおねだり
(あれ?みんなどこに行っちゃったのかな…どこにもいない…)