かぐやひめの時渡り
【短編用】名前変換
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名無しが来て幾日経ったことでしょう。
おじ…いえ志々雄さんに大金が舞い込んでくるということはありませんでしたが、代わりに妙な光景が見受けられるようになるのでした。
「宗次郎。今日はおまえ休んでろ。」
「え?どうしたんです、志々雄さん。」
突然の言葉に、宗次郎は何度か瞬きをして志々雄さんを眺めます。
「急に休めだなんて。」
「理由なんていらないだろ。今日は何もしなくていい。」
「何もって…仕事もおつかいも全部ですか?」
「ああ。」
「…とは言っても、名無しさんの相手しないといけませんし。休んでいられませんよ。」
「俺に任せていい。」
「え。」
……
「…というと?えっ、志々雄さん名無しさんの面倒見るんですか?」
「他にどういう解釈がある。」
「大丈夫なんですか?大変だと思いますよ?」
「余計な心配するな。お前の世話もしてたんだ、大丈夫だ。」
「でも、本当に大丈夫なんですか?名無しさん結構手がかかりますよ?」
「いいっつってんだろ。」
「いいですけど…大丈夫ですか?」
「どれだけ聞くんだよ。」
「お待ちになってください、志々雄様!」
異議を申し立てたのはおばあさ…一派の姐さん由美姐さん。
「由美。」
「由美さん?」
「名無しのことは私に任せてくださりません?だってあの子ったら、あんな着物を着ているくせに、坊やと毎日泥んこになって帰ってくるんですもの。」
「ああ、それは最近蹴鞠をしてるんですよ。あと、縮地を教えてくれとせがまれてまして、その練習で♪」
「十二単で!?そりゃあ無茶だろ…」
「もう、この子は!」
お二人とも驚愕。さすが天真爛漫、天剣のお兄さん。
…まあ名無しさんの着物洗濯するのは彼なんですけれども。
「いやぁ、あれ以外の着物を着たがらなくて。」
「志々雄様、これはいけませんわ。」
「ああ…!」
「あの子にはちゃんと女の子の品格と嗜みというものを教えなければいけませんわ。是非、私に!」
「いや待て由美、お前の言い分はわかるんだが、まずは俺が摂理ってもんを…!」
「ですけど一刻を争う状態ですわ、身嗜みという概念をまずは…!」
「あらぁ、違うわよ。お色気とテクニックというものをあたしが」
「「オカマは黙ってろ」」
ああ、みんな名無しさんが可愛いんだなぁと宗次郎は思ってみるのでしたが、そんな彼を他所に闘いが繰り広げられるのでした。
「…宗次郎、三人ともどうしたの?」
「あ、名無しさん。えーと…」
なんと言えばいいのでしょう。
「ひょっとして喧嘩してるの?止めてくるっ」
「ああ、違います違います。晩ご飯のおかず決めで立て込んでるだけですよ♪」
「あ、なーんだ、そうなんだ♪何になるのかしら。」
名無しさん、もう喧嘩なんてどこ吹く風でわくわくしかけました。
しかしハタと止まって、
「…でもね、みんな名無しの名前を呼んでるのはどうして?」
きょとん、と本当に不思議そうに小首を傾げる名無しに宗次郎は微笑みかけました。
「皆さん名無しさんにぞっこんなんですよ。」
「?ぞっこん?」
(あ、少し難しかったか…)
「ぞっこん…?」
「名無しさんのことが好きってことですよ。」
「そうなんだ!私もみんなのこと好きだよ♪」
「そうですか♪皆さん喜びますよ。」
嬉しそうに喧騒を眺める名無し。
やがて思い出したようにくいくい、と宗次郎の袖を引っ張り始めます。
「宗次郎。」
「はい?」
「宗次郎は?私のこと、好き?」
「!」
まっすぐ彼を向く丸い瞳はとても純粋で。
宗次郎はにこりと微笑みました。
「もちろん好きです、名無しさんのこと♪」
「そっかあ♪わーい♪」
満面の笑みを浮かべるお姫様は元気に有り余り宗次郎を駆り出していきました。
「あ、ちょっと待ってくださいよ、今日は名無しさんのことは志々雄さんが…あれ、そういや由美さん鎌足さんも出て来てどうなったんだっけ?」
「えっ、なあに?」
「…なんでもありません♪(いいや、面倒くさい。)」
…僕も少し独占欲が働いてたりは…しないかな?
名無しさんの笑顔を見てまあいいかと思う宗次郎なのでした。
(今日はね、あの木に登ってみようと思うの!)
(あー…名無しさんには無理じゃないかなぁ…)
to be continued…
(ねぇ、宗次郎おかしいよ!晩ご飯のおかず、私が好きなもの入ってない!)
(頑張ってください♪)
(えぇ~…!)