.




門番のおっさん


予定通り。




大きい屋敷に散らばる奴ら


予定通り。




奥の1番大きい部屋に会長がいること


予定通り。






水色の可愛らしいバンの中


スーツを着た男が忙しなくPCの画面を見ながらマウスを動かす。


そんな男の胸元には緑色のチーフ。




『あ、lampo（ランポ）そこを左に曲がって、その部屋の机の中。』

『sereno（セレーノ）、pioggia（ピオジャ） 、vent（ヴェント）そこで一旦合流しようか。』



pioggiaが暴れたおかげで少し早めに辿りつきそうだなあ。


あ〜tempesta（テンペスタ）が物足りなさそうにしているなあ、暴れさすか。


なんて考えながら、カタカタとキーボードを打つ。




PCの画面に映っているのは、何分割かされた監視カメラの映像、仲間に取り付けてあるカメラの映像、そしてこの建物の基本情報である。



「ねえ、cielo（チェーロ）」

「ん〜？」



そんな姿を見て、最初に門番を倒した男、テクノカットの男が話しかけ


手は止めずに画面を見ながら返事をする。



「cieloの予定通りにいかないことなんてあるの？」



そこまで聞こえた後に、突然



『cielo！会長のところの扉が開かへん！』



イヤモニから仲間の焦った声が聞こえる。緊急事態のようだ。



男は一段とキーボードを打つスピードが上がった。




テクノ男は、その姿を見てやっぱり彼でも予定通りにいかないことはあるかと思い直していると…



タンッとエンターキーを弾く音が聞こえた瞬間



イヤモニからは『お〜！』と感嘆の声色が聞こえる



何事だとPCの画面を覗くと、何分割かされている映像の１つに



仲間4人の姿と開いてゆく頑丈な扉が写っている



「え…」



と思わず驚きの声を漏らすと



PCの前でニヤリとほくそ笑む、悪い顔をした彼が
こっちをちらりとみる





「……やっぱなんでもねぇわ」




テクノ男は何事もなかったかのようにそのまま口をつむんだ。






PCを巧みに操る彼はこのチームのなくてはならない司令塔である。

ハッキングもデータ処理も練密な計画もお手の物。




ちょうど、暴れたがっていた男のところが終わったようだ。


『気はすんだ？tempesta』



さあ、あとは会長だけ。今回も予定通りにことが進みそうだ。


心なしか、彼の顔には笑みが溢れ楽しそうである。




__全部俺の想定内なんだよ。


〈cielo（チェーロ）〉RYOHEI ABE
イタリア語で空
「NEVE（ネーヴェ）」の司令塔。頭脳面で絶対的なチームのサポートを行う。実は戦うこともできる。効率的でメリット重視。可愛らしい顔を使いあざといことをしがち。アザトカワイイ。はい。




.