みやこおち
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やべぇ遅刻だ!!
ひたすらに全力で走る。
よりによって、今日は風紀委員会が校門に立っている日だ。
なんとか間に合わせないと、真田副部長にブン殴られるぞ…。
ガチャン!!
「いてて」
「ちょっ、大丈夫か!?」
目の前で自転車に乗っていた女子が転んだ。
立海の制服を着ているけど、見たことはないやつだ。
自転車を起こしてやると、そいつは立ち上がって「ありがとう」とお辞儀した。
「お礼に、君にこの自転車を貸してあげるよ」
「はぁ!?アンタはどうするんだよ」
「いいのいいの。私に構わず先にお行き?」
「意味わかんねー!ああもう!じゃあ俺がこぐからアンタ後ろに乗って!」
「え、うん、わかった」
「急ぐからちゃんと掴まっとけよな」
そいつは荷台に跨って遠慮がちに俺の腰に手を添えていたけど、漕ぎだすと悲鳴をあげて思い切り抱きついてきた。
あ、柔らけぇ…じゃなくて!今は漕ぐことに集中だ!!
頭をブンブン振って、全力でペダルを漕いだ。
「セーフ!!」
「赤也!何がセーフだ!女生徒と2人乗りで登校してくるとは何事だ!!」
「げ、ふくぶちょー…」
「おや?あなたはB組の藤森さんですか?」
「え?私のこと知ってるの?」
「ええ、仁王くんたちが最近よく藤森さんの話をしていますからね。私は柳生比呂士です」
「俺は真田弦一郎だ」
なんとか登校時間には間に合って校門に滑り込んだものの、その場で風紀委員の真田副部長と柳生先輩に捕まった。
あの人、噂の藤森先輩だったのか。
丸井先輩と仁王先輩から聞いたことがある。
「3年生だったんスね…さっきはタメ口ですんません。俺は2年の切原赤也ッス」
「ああ全然、気にしないで。真田くん柳生くん、切原くんは私の巻き添えにしただけだから、怒らないであげてほしいな」
「む、どういうことだ?」
「私ね、今日から自転車通学にしたの。実は乗ったことなかったんだけど、みんな当たり前のように乗ってるから私も普通に乗れると思ってて…ところがびっくり全然乗れなかった!で、転んで倒れてたところを切原くんが助けてくれたという訳です」
「なるほどな。…赤也、今回は大目に見てやろう」
「ウィッス。(助かったぁ!)」
「しかし藤森、お前には自転車に乗れるようになってもらわねばならない。遅刻をされては困るからな。放課後特訓をするぞ!!」
「特訓!?」
「私もご協力しますよ。部活の後になってしまいますが…この近くの土手の上で待ち合わせましょう」
「ぜひよろしくお願いします…!じゃあ私、一回家帰ってからそこに行くね」
なんかすげぇことになってきたな。
自転車の特訓って。
てか、自転車乗ったことない人なんて本当にいるんだな…。
部活後、何故か風紀委員でもない俺も連れられて、3人で待ち合わせの場所に向かった。
先に来ていた藤森先輩は、やる気満々の様子で準備運動をしていた。
「よし、ではさっそく乗ってみるのだ。」
「はい真田教官!いきます!」
藤森先輩はビシッと敬礼をして、元気にペダルを漕ぎ出したものの、すぐにぐらついて転んでしまった。
倒れた藤森先輩のスカートはまくれあがって、パンツが丸見えだ。
着いてきてよかったー!!と心の中でガッツポーズをしていたら、「切原くん見るのはやめたまえ!は、破廉恥な…!!」と柳生先輩に目隠しをされた。
邪魔すんなムッツリ紳士が!!
「たっ、たわけが!スカートで来るやつがあるか!俺のジャージを履いておけ!」
「そ、そんな怒らなくてもいいのに…」
結局顔を真っ赤にした真田副部長が藤森先輩にジャージを叩きつけ、藤森先輩は少し不満そうだったけどスカートの下にそれを履いた。
丈が合わず、ぐるぐるに裾を折っている。
それがあまりにも不恰好だからつい笑ってしまう。
「よし、俺が後ろを持っていてやろう。安心して漕ぐといい」
「絶対に離さないでね!いいって言うまで離さないで!」
「無論だ」
「や、やっぱり怖い!倒れちゃう!」
「藤森さん!ハンドルの向きをしっかり前にしたままに!そうですそうです!良いですよ!」
自転車の荷台を掴んで、一緒に走る真田副部長。
それを見守りながらアドバイスする柳生先輩。
もう完全に自転車に乗り始めた子供のお父さんとお母さんにしか見えない。
公園でよく見る光景だ。
笑いすぎてむせていると、「切原くん、自分が自転車乗るの上手だからって…!」と藤森先輩がうらめしそうな顔をしていた。
「なんか真っ直ぐ進めてきたかも!」
「そうだな、そろそろ離すぞ」
「ちょっと待って!急にはダメ!」
「もう離している」
「嘘!?…私、自転車乗れてる…!!」
「ついにやりましたね藤森さん…!私は今感動しています!」
「うむ、たまらん漕ぎだぞ藤森!」
しばらく練習をした成果が出て、藤森先輩はついに1人で乗れるようになっていた。
副部長、たまらん漕ぎって。
柳生先輩はハンカチで涙を拭きながら、拍手を送っている。
マジで?いや俺もちょっと感動はしてるけど、泣くほどなの!?
「今日はありがとう。みんなのおかげで自転車に乗れるnew藤森美春に生まれ変わったよ」
「とんでもない、藤森さんが頑張ったからこそですよ」
「よくやった藤森」
「new藤森先輩お疲れ様っす!」
「えへへ、今度は切原くんを後ろに乗せてあげるからね!」
「え?いいんすか?藤森先輩の運転あぶないからなぁ、後ろから抱きついちゃうかもしれないっすよ」
「切原くん!セクハラはやめたまえ!」
「へーい、すんません」
「(?)安全運転を心がけるよ!」
なんにもわかっていない藤森先輩は、得意げにそう言うと、手を振って帰って行った。
仁王先輩と丸井先輩が言ってた通り、変わってるけどかわいい人だったな。
藤森先輩と毎日同じクラスで過ごせる2人に少しイラついたから、「俺はパンツ見ましたよ」って自慢してやろうと思った。
〜はじめての自転車〜
『よぅ、美春。俺だ』
『跡部!』
『この間、俺様もドリンクバーを使ってみたぜ。なかなかいいじゃねーの』
『ついに跡部もドリンクバーデビューだね!あ、そうそう、私今日ついに自転車デビューしたんだ』
『なに!?…自転車に乗ってる美春が全く想像できねぇな』
『ひどい!後で私が華麗に自転車を乗り回す動画を送りつけるからね』
『フッ、楽しみにしてるぜ』
ひたすらに全力で走る。
よりによって、今日は風紀委員会が校門に立っている日だ。
なんとか間に合わせないと、真田副部長にブン殴られるぞ…。
ガチャン!!
「いてて」
「ちょっ、大丈夫か!?」
目の前で自転車に乗っていた女子が転んだ。
立海の制服を着ているけど、見たことはないやつだ。
自転車を起こしてやると、そいつは立ち上がって「ありがとう」とお辞儀した。
「お礼に、君にこの自転車を貸してあげるよ」
「はぁ!?アンタはどうするんだよ」
「いいのいいの。私に構わず先にお行き?」
「意味わかんねー!ああもう!じゃあ俺がこぐからアンタ後ろに乗って!」
「え、うん、わかった」
「急ぐからちゃんと掴まっとけよな」
そいつは荷台に跨って遠慮がちに俺の腰に手を添えていたけど、漕ぎだすと悲鳴をあげて思い切り抱きついてきた。
あ、柔らけぇ…じゃなくて!今は漕ぐことに集中だ!!
頭をブンブン振って、全力でペダルを漕いだ。
「セーフ!!」
「赤也!何がセーフだ!女生徒と2人乗りで登校してくるとは何事だ!!」
「げ、ふくぶちょー…」
「おや?あなたはB組の藤森さんですか?」
「え?私のこと知ってるの?」
「ええ、仁王くんたちが最近よく藤森さんの話をしていますからね。私は柳生比呂士です」
「俺は真田弦一郎だ」
なんとか登校時間には間に合って校門に滑り込んだものの、その場で風紀委員の真田副部長と柳生先輩に捕まった。
あの人、噂の藤森先輩だったのか。
丸井先輩と仁王先輩から聞いたことがある。
「3年生だったんスね…さっきはタメ口ですんません。俺は2年の切原赤也ッス」
「ああ全然、気にしないで。真田くん柳生くん、切原くんは私の巻き添えにしただけだから、怒らないであげてほしいな」
「む、どういうことだ?」
「私ね、今日から自転車通学にしたの。実は乗ったことなかったんだけど、みんな当たり前のように乗ってるから私も普通に乗れると思ってて…ところがびっくり全然乗れなかった!で、転んで倒れてたところを切原くんが助けてくれたという訳です」
「なるほどな。…赤也、今回は大目に見てやろう」
「ウィッス。(助かったぁ!)」
「しかし藤森、お前には自転車に乗れるようになってもらわねばならない。遅刻をされては困るからな。放課後特訓をするぞ!!」
「特訓!?」
「私もご協力しますよ。部活の後になってしまいますが…この近くの土手の上で待ち合わせましょう」
「ぜひよろしくお願いします…!じゃあ私、一回家帰ってからそこに行くね」
なんかすげぇことになってきたな。
自転車の特訓って。
てか、自転車乗ったことない人なんて本当にいるんだな…。
部活後、何故か風紀委員でもない俺も連れられて、3人で待ち合わせの場所に向かった。
先に来ていた藤森先輩は、やる気満々の様子で準備運動をしていた。
「よし、ではさっそく乗ってみるのだ。」
「はい真田教官!いきます!」
藤森先輩はビシッと敬礼をして、元気にペダルを漕ぎ出したものの、すぐにぐらついて転んでしまった。
倒れた藤森先輩のスカートはまくれあがって、パンツが丸見えだ。
着いてきてよかったー!!と心の中でガッツポーズをしていたら、「切原くん見るのはやめたまえ!は、破廉恥な…!!」と柳生先輩に目隠しをされた。
邪魔すんなムッツリ紳士が!!
「たっ、たわけが!スカートで来るやつがあるか!俺のジャージを履いておけ!」
「そ、そんな怒らなくてもいいのに…」
結局顔を真っ赤にした真田副部長が藤森先輩にジャージを叩きつけ、藤森先輩は少し不満そうだったけどスカートの下にそれを履いた。
丈が合わず、ぐるぐるに裾を折っている。
それがあまりにも不恰好だからつい笑ってしまう。
「よし、俺が後ろを持っていてやろう。安心して漕ぐといい」
「絶対に離さないでね!いいって言うまで離さないで!」
「無論だ」
「や、やっぱり怖い!倒れちゃう!」
「藤森さん!ハンドルの向きをしっかり前にしたままに!そうですそうです!良いですよ!」
自転車の荷台を掴んで、一緒に走る真田副部長。
それを見守りながらアドバイスする柳生先輩。
もう完全に自転車に乗り始めた子供のお父さんとお母さんにしか見えない。
公園でよく見る光景だ。
笑いすぎてむせていると、「切原くん、自分が自転車乗るの上手だからって…!」と藤森先輩がうらめしそうな顔をしていた。
「なんか真っ直ぐ進めてきたかも!」
「そうだな、そろそろ離すぞ」
「ちょっと待って!急にはダメ!」
「もう離している」
「嘘!?…私、自転車乗れてる…!!」
「ついにやりましたね藤森さん…!私は今感動しています!」
「うむ、たまらん漕ぎだぞ藤森!」
しばらく練習をした成果が出て、藤森先輩はついに1人で乗れるようになっていた。
副部長、たまらん漕ぎって。
柳生先輩はハンカチで涙を拭きながら、拍手を送っている。
マジで?いや俺もちょっと感動はしてるけど、泣くほどなの!?
「今日はありがとう。みんなのおかげで自転車に乗れるnew藤森美春に生まれ変わったよ」
「とんでもない、藤森さんが頑張ったからこそですよ」
「よくやった藤森」
「new藤森先輩お疲れ様っす!」
「えへへ、今度は切原くんを後ろに乗せてあげるからね!」
「え?いいんすか?藤森先輩の運転あぶないからなぁ、後ろから抱きついちゃうかもしれないっすよ」
「切原くん!セクハラはやめたまえ!」
「へーい、すんません」
「(?)安全運転を心がけるよ!」
なんにもわかっていない藤森先輩は、得意げにそう言うと、手を振って帰って行った。
仁王先輩と丸井先輩が言ってた通り、変わってるけどかわいい人だったな。
藤森先輩と毎日同じクラスで過ごせる2人に少しイラついたから、「俺はパンツ見ましたよ」って自慢してやろうと思った。
〜はじめての自転車〜
『よぅ、美春。俺だ』
『跡部!』
『この間、俺様もドリンクバーを使ってみたぜ。なかなかいいじゃねーの』
『ついに跡部もドリンクバーデビューだね!あ、そうそう、私今日ついに自転車デビューしたんだ』
『なに!?…自転車に乗ってる美春が全く想像できねぇな』
『ひどい!後で私が華麗に自転車を乗り回す動画を送りつけるからね』
『フッ、楽しみにしてるぜ』