重ね傷
名前変換
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腹部の圧迫感とじっとりとした嫌な汗で、はっと目を覚ました。
まだぼんやりする視界に映ったのは、馬乗りになって私を見下ろしている蓮二だった。
「起きたのか」
なにが、どうなってる?
状況が飲み込めなくて呆然とする私の頬を、蓮二はゆっくりと撫でた。
見たこともない、嫌な笑みを浮かべている。
これは本当に蓮二なんだろうか。
こわい。
体が震え、鳥肌が立つのを感じた。
「美春、愛している」
「え…?」
「貞治には渡さない」
「な、何言って、」
唇を塞がれ、言葉は遮られた。
口内に舌が侵入してくると、私パニックになって暴れた。
だけど腕が何かで拘束されているようで、押しのけることもできない。
足をばたつかせても蓮二には当たらない。
唾液でいっぱいになった口は苦しくて、解放された瞬間に大きく呼吸をした。
嫌だ、やめて、誰かたすけて。
そう泣き喚いても、身体を撫で回す手を止めてはくれない。
「ここは防音だからな。騒いでも大丈夫だ」
「ねぇっ…!ほんとに、やめてよ!」
「諦めろ」
力で敵わないことはもうわかった。
でも心は屈したくなかった。
私は時折、蓮二のではない名前を呼んだ。
貞治、貞治、と。
これはせめてもの抵抗だった。
そして絶対に蓮二の顔を見ないようにした。
キスをされる時はぎゅっと目を閉じて、それ以外は唇を噛み締めながら揺れる天井を見つめていた。