魔女と王子様
名前変換
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「もしもし精市くん?ごめんねお昼中に電話して」
「いや全然。何かあった?」
「次の授業の教科書貸してもらいたかったんだけど、精市くん教室にいなかったから」
「ああ教科書か。そろそろ学食から戻るところだから、10分後くらいに俺のクラスに来てもらっていい?」
「うんわかった、ありがと」
ある日のお昼休み、私は精市くんに電話をかけた。
そして電話をしながら、“たまたま”私をいじめるグループが集まっているところを通りかかってしまった。
私に気づいた1人がすぐに「おい藤森」と呼び止めてくる。
私は「ごめん切るね、また後で」と小声で伝えて、慌ててポケットに携帯をしまった。
怯えた様子で近づいていけば、すぐに囲まれて、肩を突き飛ばされた。
「お前さぁ、最近調子にのってない?」
「幼馴染だかなんだか知らないけど、幸村くんに付きまとってんじゃねーよ」
「あんたみたいなブス、幸村くんだって迷惑してんだよ」
「ねぇアイだってむかついてるでしょ?こいつ言わなきゃわかんないから、言ってやりなよ」
周りの子達に促されて、少し後ろでじっと見ていたアイちゃんが、口を開いた。
とても冷ややかな目だ。
「…本当目障りだわ。これ以上精市に近づかないでくれる?」
「ア、アイちゃ…」
「気安く名前で呼ばないでよ。友達でもないくせに!」
私はその場に座り込んで、俯いてすすり泣く。
アイちゃんは言ってしまったことを少し後悔したのか、苦い顔をして向こうに行ってしまった。
周りの子達は満足そうに笑いながらアイちゃんについて行く。
彼女たちが見えなくなったところで、私は携帯を取り出し、通話時間を確認した。
通話終了はつい1分前ほどだった。
「ふふっ」
全部聞いてたんだね精市くん。
私が“うっかり”通話を切っていなかったせいで、聞きたくなかったことを聞かせてごめんね。
今頃ショックで泣いてるのかな?
私は笑いを堪えるのが大変だったよ!
それからすぐに精市くんはアイちゃんと別れ、やがて私と付き合うことになった。
精市くんは「まさかアイがあんな子だったなんて。美春のことを心配してたのも嘘だったんだ。全く、俺は見る目がなかったよ」と嘆いていた。
そうだね、結局私を選んじゃうんだから、本当に女を見る目がないよね。
こうして私の精市くん、大好きな精市くんが戻ってきた。
さて、これでいじめられる必要もなくなったわけだし。
これ以上何かしてくるようなら、目に物を言わせてやらないとなぁ。
そんなことを考えていると、「難しい顔して、何考えてるんだい?」とおでこを小突かれた。
「えっとね、今度のデートはどこに出かけようかなぁって!」
「ふふ、美春の行きたいところに俺も行きたいな」
めでたしめでたし。
ハッピーエンド!
「いや全然。何かあった?」
「次の授業の教科書貸してもらいたかったんだけど、精市くん教室にいなかったから」
「ああ教科書か。そろそろ学食から戻るところだから、10分後くらいに俺のクラスに来てもらっていい?」
「うんわかった、ありがと」
ある日のお昼休み、私は精市くんに電話をかけた。
そして電話をしながら、“たまたま”私をいじめるグループが集まっているところを通りかかってしまった。
私に気づいた1人がすぐに「おい藤森」と呼び止めてくる。
私は「ごめん切るね、また後で」と小声で伝えて、慌ててポケットに携帯をしまった。
怯えた様子で近づいていけば、すぐに囲まれて、肩を突き飛ばされた。
「お前さぁ、最近調子にのってない?」
「幼馴染だかなんだか知らないけど、幸村くんに付きまとってんじゃねーよ」
「あんたみたいなブス、幸村くんだって迷惑してんだよ」
「ねぇアイだってむかついてるでしょ?こいつ言わなきゃわかんないから、言ってやりなよ」
周りの子達に促されて、少し後ろでじっと見ていたアイちゃんが、口を開いた。
とても冷ややかな目だ。
「…本当目障りだわ。これ以上精市に近づかないでくれる?」
「ア、アイちゃ…」
「気安く名前で呼ばないでよ。友達でもないくせに!」
私はその場に座り込んで、俯いてすすり泣く。
アイちゃんは言ってしまったことを少し後悔したのか、苦い顔をして向こうに行ってしまった。
周りの子達は満足そうに笑いながらアイちゃんについて行く。
彼女たちが見えなくなったところで、私は携帯を取り出し、通話時間を確認した。
通話終了はつい1分前ほどだった。
「ふふっ」
全部聞いてたんだね精市くん。
私が“うっかり”通話を切っていなかったせいで、聞きたくなかったことを聞かせてごめんね。
今頃ショックで泣いてるのかな?
私は笑いを堪えるのが大変だったよ!
それからすぐに精市くんはアイちゃんと別れ、やがて私と付き合うことになった。
精市くんは「まさかアイがあんな子だったなんて。美春のことを心配してたのも嘘だったんだ。全く、俺は見る目がなかったよ」と嘆いていた。
そうだね、結局私を選んじゃうんだから、本当に女を見る目がないよね。
こうして私の精市くん、大好きな精市くんが戻ってきた。
さて、これでいじめられる必要もなくなったわけだし。
これ以上何かしてくるようなら、目に物を言わせてやらないとなぁ。
そんなことを考えていると、「難しい顔して、何考えてるんだい?」とおでこを小突かれた。
「えっとね、今度のデートはどこに出かけようかなぁって!」
「ふふ、美春の行きたいところに俺も行きたいな」
めでたしめでたし。
ハッピーエンド!
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