見慣れた天井を、ぼんやりと眺めて欠伸を一つ。

身体を起こし、カーテンを開ける。

差し込む朝日が眩しくて、思わず顔を顰めた。

幼馴染を探して、この島に訪れてから一年が経とうとしている。

窓を開けると、ニュース･クーというカモメが新聞を運んで来てくれた。

「今日もありがとう！」

お礼を伝えてベリーを渡すと、彼は再び大空へ飛び立って行った。

ベットに腰掛け、新聞を開く。

幸い、未だ "禁断の実" に関する事件は起きていないようだった。

「カイル…」

溜息を吐き、服を着替えて出かける準備を整えた。

階段を降りると、耳に届く騒がしい声。

「あっ！やっと来た！」

ニカッと歯を見せ微笑む少年が、嬉しそうに出迎えてくれた。

「アイリスおはよー！」

モフモフの笑顔で、可愛く挨拶してくれるベポ。

「早く来いアイリス！俺が怒られるんだ」

帽子を深く被り、表情の見えないペンギン。

一年前に結成した、海賊団の仲間達。

「みんな、おはよう！お待たせっ」

すっかり打ち解けて、仲良くなった皆のもとに急いで駆け寄る。

「ベポっ！ 行こう！」

「うわわっ！待ってアイリス！」

白熊の手を取って、宿の外に飛び出した。

「アイリスちゃん！いってらっしゃい！」

見送ってくれる宿の主に笑顔で手を振る。

「行ってきまーす！」

「えっちょっ…！待てよアイリス！」

シャチとペンギンは女将に会釈をし、既に距離が開いた私達の後を、慌てて追ってきた。

冷たい空気を、肺いっぱいに吸い込みながら走っていると、徐々に身体が暖まっていくのを感じる。

ローの待つ海岸に向かう途中、食堂に寄り道し、朝ごはんを確保した。

「ロー！おはよーっ！」

岩場に腰掛ける、不機嫌そうな男の子。

「………」

無反応のまま、海へ視線を戻す彼の隣で足を止め、肩を竦めた。

「ロー、待たせてごめん…寝坊しちゃって…」

買ってきた朝ごはんをベポに手渡し、彼の顔を覗き込むと、少年は拗ねたように呟いた。

「もういい…腹が減った」

苦笑いを浮かべ、お弁当を広げる。

「それじゃあみんな…食べよう！」

　｢｢｢いただきまーす！！！｣｣｣

お腹が空いていた私達は、ひとまず、みんなで朝食をとることにした。

「おいしいねー！」

両手におにぎりを持って、口いっぱいに頬張りながら喜ぶベポ。

「ふふふっおいしいねっ」

そんな白熊の、可愛らしい姿に笑みが溢れる。

毎日、彼らと海岸で食べる朝ごはんが、いつの間にか私の楽しみの一つになっていた。

「食い終わったら、話がある」

真剣な眼差しで、私達全員の顔を見渡すロー。

何か大切な話なんだと察した私達は、唾を飲み、食事を素早く終わらせた。