第一章 蒼と青の世界
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「何でもするから頼む!!俺達も連れて行ってくれ!」
「さっきの事は詫びる! オレたちが悪かった! 海に出るなら人手は多い方がいいだろう!」
数時間前まで、喧嘩に負けて気を失っていた二人。
漸く意識が戻ったと思ったら、今度は二人揃って虐めっ子の子分になりたいと懇願し始めた。
「…付いて来るな、邪魔だ」
二人を振り払い、背を向ける少年。
「く〜ッ…格好いい…!」
「嫌と言われても、付いて行きます!」
酷い扱いを受けているのに、何故か目を輝かせながら、彼の背を追う二人。
何を考えているのか、全く理解できない。
しつこく纏わり付く男の子達に対し、心底面倒臭そうな表情を浮かべる少年。
「あの…」
押し問答が続く中、突然、背後から声が聞こえた。
「???」
全員同時に、同じ方向に振り返る。
「あの…おれも、ついて行きたいんだけど…一緒に行ってもいい?」
瞬間、私達は目を見開き固まった。
「あれ…? えっと…海に出るなら、おれも連れて行ってほしいな…」
眉を下げ、不安そうな表情を浮かべる声の主。
「「 く…くくっくまが喋った……!! 」」
まさかの事態に、二人組の少年は、同時に叫び声を上げた。
「すみません…」
「「 えっ…打たれ弱っ!! 」」
頭を下げ、項垂れるクマに間髪入れず、ツッコミを入れる二人。
私は込上げてくる笑いを、必死で堪えていた。
「ククッ…喋るクマか…面白ェ」
ニヤリと口の端を上げ、私達の間をゆっくりと通り過ぎて行く少年。
振り返ると彼は、とんでもない事を口にした。
「いいだろう…お前ら全員、連れて行ってやる…海賊団を結成する!」
突然の決定事項に、私以外の者はみんな、目を輝かせ歓喜する。
絶対に流されてはいけないと悟った私は、勇気を出して声を上げた。
「えっと…あの、私は行きませんよ!?」
海岸は静まり返る。
「……………」
重たい沈黙。
少年は、こちらに視線を移すと、凶悪な笑みを浮かべ口を開いた。
「全員と言った筈だ…聞こえなかったのか?」
いくら脅されても、私には海賊ごっこなんてしている暇はない。
「聞こえてましたけど…」
一刻も早く幼馴染を探さなければ、悪い事が起きるかも知れない。
それなのに。
彼の、真っ黒な瞳に引き込まれる。
この出逢いは運命だと、誰かが耳元で囁く。
「お前…名前は?」
「…アイリス」
視線が絡み合ったその瞬間、逃げることを諦めた。
「俺の名は、トラファルガー・ロー…アイリス、俺と来い…後悔はさせねェ」
横暴で、自分勝手な人。
それなのに酷く惹き付けられるのは、これが必然だからなのか。
私は瞼を閉じ、覚悟を決めた。
「わかりました…」
満足気に微笑む少年。
「俺はシャチ!よろしくな!」
「オレはペンギンだ…よろしく!」
「おれはベポだよ!よろしくね!」
嬉しそうに自己紹介をする仲間達。
「アイリスです…よろしくっ!」
海に沈む夕陽が、舞い落ちてくる雪をオレンジに染める。
"ハートの海賊団" が結成された瞬間。
この日の奇跡を、私達は一生忘れない。
「さっきの事は詫びる! オレたちが悪かった! 海に出るなら人手は多い方がいいだろう!」
数時間前まで、喧嘩に負けて気を失っていた二人。
漸く意識が戻ったと思ったら、今度は二人揃って虐めっ子の子分になりたいと懇願し始めた。
「…付いて来るな、邪魔だ」
二人を振り払い、背を向ける少年。
「く〜ッ…格好いい…!」
「嫌と言われても、付いて行きます!」
酷い扱いを受けているのに、何故か目を輝かせながら、彼の背を追う二人。
何を考えているのか、全く理解できない。
しつこく纏わり付く男の子達に対し、心底面倒臭そうな表情を浮かべる少年。
「あの…」
押し問答が続く中、突然、背後から声が聞こえた。
「???」
全員同時に、同じ方向に振り返る。
「あの…おれも、ついて行きたいんだけど…一緒に行ってもいい?」
瞬間、私達は目を見開き固まった。
「あれ…? えっと…海に出るなら、おれも連れて行ってほしいな…」
眉を下げ、不安そうな表情を浮かべる声の主。
「「 く…くくっくまが喋った……!! 」」
まさかの事態に、二人組の少年は、同時に叫び声を上げた。
「すみません…」
「「 えっ…打たれ弱っ!! 」」
頭を下げ、項垂れるクマに間髪入れず、ツッコミを入れる二人。
私は込上げてくる笑いを、必死で堪えていた。
「ククッ…喋るクマか…面白ェ」
ニヤリと口の端を上げ、私達の間をゆっくりと通り過ぎて行く少年。
振り返ると彼は、とんでもない事を口にした。
「いいだろう…お前ら全員、連れて行ってやる…海賊団を結成する!」
突然の決定事項に、私以外の者はみんな、目を輝かせ歓喜する。
絶対に流されてはいけないと悟った私は、勇気を出して声を上げた。
「えっと…あの、私は行きませんよ!?」
海岸は静まり返る。
「……………」
重たい沈黙。
少年は、こちらに視線を移すと、凶悪な笑みを浮かべ口を開いた。
「全員と言った筈だ…聞こえなかったのか?」
いくら脅されても、私には海賊ごっこなんてしている暇はない。
「聞こえてましたけど…」
一刻も早く幼馴染を探さなければ、悪い事が起きるかも知れない。
それなのに。
彼の、真っ黒な瞳に引き込まれる。
この出逢いは運命だと、誰かが耳元で囁く。
「お前…名前は?」
「…アイリス」
視線が絡み合ったその瞬間、逃げることを諦めた。
「俺の名は、トラファルガー・ロー…アイリス、俺と来い…後悔はさせねェ」
横暴で、自分勝手な人。
それなのに酷く惹き付けられるのは、これが必然だからなのか。
私は瞼を閉じ、覚悟を決めた。
「わかりました…」
満足気に微笑む少年。
「俺はシャチ!よろしくな!」
「オレはペンギンだ…よろしく!」
「おれはベポだよ!よろしくね!」
嬉しそうに自己紹介をする仲間達。
「アイリスです…よろしくっ!」
海に沈む夕陽が、舞い落ちてくる雪をオレンジに染める。
"ハートの海賊団" が結成された瞬間。
この日の奇跡を、私達は一生忘れない。