第一章 蒼と青の世界
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深い森を抜けると、普段は誰も寄り付かない、天使族の民を祀る石碑が在る。
神聖な兆域の、更に奥。
死者に祈りを捧げる為の祭壇まで進んだところで、探していた人物の姿を捉えた。
「カイル…!!」
思わず、足を止めた私。
「何…これ…」
余りにも悲惨な光景に、言葉を失う。
まるで悪魔に取り憑かれたような、知らない顔をした幼馴染が、こちらを見据えたまま呆然と立っていた。
「な…んで…カイル…」
心配性で、少し口煩いけど頼りがいのある優しい人。
彼のお説教を、素直に受け入れられなかった時もあった。
泣いたり怒ったり笑ったり、いつも当たり前に隣にいた幼馴染。
「カイル…」
家族と同じくらい、大切な存在だった。
「アイリス」
多量の返り血を浴びた彼が、その手に握っていたのは見慣れた刀。
「お祖父様の刀…」
倒れた族長の身体を、支える父の周りは真紅に染まっている。
「アイリス…ごめん…」
少年は、少し寂しそうに微笑んだ。
「アイリス!!!」
父の悲痛な叫び声が、森の中に木魂する。
子供だった私には、その事実を受け入れることが出来なくて、意識を手放してしまった。
彼を止めることが、出来なかった。
封印した筈の悪魔の実。
禁断の果実と共に、地平線の彼方へ消えて行った幼馴染。
もう少し早く行動していれば、大切な人を失わずに済んだかも知れない。
今も少年は隣りに居て、普段通りの日常を過ごしていたかも知れない。
後悔と悲しみの念に押しつぶされた、私の心。
涙が枯れた後も、暗闇から抜け出す事が出来なかった。
“スノードロップの花紋章” が黒に染まる。
"希望と慰め" という力を秘めた聖母の花。
その奥底に眠っていた、闇の力を自ら引摺り起こした私は、純白の花に隠された、もう一つの力 "死の象徴" を手に入れた。
黒い力を手にした私は、掟を破り、海に出る事を決意する。
奪われた悪魔の実を、幼馴染の手から取り戻し、厄災から世界を守る為。
彼に、侵した罪を償わせる為。
そして、もう二度と後悔しない為に。
神聖な兆域の、更に奥。
死者に祈りを捧げる為の祭壇まで進んだところで、探していた人物の姿を捉えた。
「カイル…!!」
思わず、足を止めた私。
「何…これ…」
余りにも悲惨な光景に、言葉を失う。
まるで悪魔に取り憑かれたような、知らない顔をした幼馴染が、こちらを見据えたまま呆然と立っていた。
「な…んで…カイル…」
心配性で、少し口煩いけど頼りがいのある優しい人。
彼のお説教を、素直に受け入れられなかった時もあった。
泣いたり怒ったり笑ったり、いつも当たり前に隣にいた幼馴染。
「カイル…」
家族と同じくらい、大切な存在だった。
「アイリス」
多量の返り血を浴びた彼が、その手に握っていたのは見慣れた刀。
「お祖父様の刀…」
倒れた族長の身体を、支える父の周りは真紅に染まっている。
「アイリス…ごめん…」
少年は、少し寂しそうに微笑んだ。
「アイリス!!!」
父の悲痛な叫び声が、森の中に木魂する。
子供だった私には、その事実を受け入れることが出来なくて、意識を手放してしまった。
彼を止めることが、出来なかった。
封印した筈の悪魔の実。
禁断の果実と共に、地平線の彼方へ消えて行った幼馴染。
もう少し早く行動していれば、大切な人を失わずに済んだかも知れない。
今も少年は隣りに居て、普段通りの日常を過ごしていたかも知れない。
後悔と悲しみの念に押しつぶされた、私の心。
涙が枯れた後も、暗闇から抜け出す事が出来なかった。
“スノードロップの花紋章” が黒に染まる。
"希望と慰め" という力を秘めた聖母の花。
その奥底に眠っていた、闇の力を自ら引摺り起こした私は、純白の花に隠された、もう一つの力 "死の象徴" を手に入れた。
黒い力を手にした私は、掟を破り、海に出る事を決意する。
奪われた悪魔の実を、幼馴染の手から取り戻し、厄災から世界を守る為。
彼に、侵した罪を償わせる為。
そして、もう二度と後悔しない為に。