第一章 蒼と青の世界
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ギシッ………。
ベッドが軋むような音が聞こえ、意識が浮上した。
「ん………………」
ぼやける視界がもどかしくて、目を擦る。
「そんなに擦ると腫れるぞ」
心地いい低音が耳に響き、驚いた私はベッドからズリ落ちた。
「な…ななな…何してるのロー…!?」
涼しい顔でベッドに腰掛け、寝ている私を眺めていた様子の少年。
「何って…起こしに来てやったんだ…ククッ」
起こす!?
全然起こしてないし、いつからそこに居たの!?
心の叫びは言葉に出来ず、口をパクパクさせて固まっていると、悪魔が甘い囁きを零す。
「早く起きねェと…襲うぞアイリス」
硬直した身体を無理やり起こし、慌てて部屋の隅に逃げた私は、目の前の黒い瞳を鋭く睨み付けた。
「いっ…今、私に触れたら絶対許さないから!」
ポーカーフェイスを崩さない少年は、立ち上がり扉に手を掛ける。
「冗談だ…心配しなくてもガキに興味はねェ」
パタンッーーー。
去っていく足音が部屋に響き、同時に涙が溢れてくる。
「自分だって…子供でしょう…」
何故かわからないけれど、瞳から溢れて止まらない滴。
「何なの…もう…」
突然の出来事に驚いただけ。
顔を洗うと気分もスッキリした気がして、服を着替え支度を整えた。
深く息を吸い、部屋のドアを開いた瞬間。
ドオォォォォォン!!!
爆音と共に船が激しく揺れる。
今度は何…!?
「アイリス! 起きたのか!」
慌てた様子の少年が、こちらに駆け寄って来た。
「ペンギン…! 今のは!?」
「わからねェ! 突然砲弾が降ってきて、シャチとクジラが交戦してる!」
ベポとイルカも戦闘態勢を整え、甲板に向かって走って行くのが見える。
「わかった! 私もすぐに行く! …船長は!?」
いつもなら最前線に立っているはずの男を探すが、姿が見当たらない。
「ついさっき街に向かって歩いていくのが見えた! 恐らくまだ、気付いてねェ!」
「こんな時に…! ほんと、何なのよ!」
苛立つ感情を抑え、交戦中の仲間の元に急いで向かう。
「みんな! 平気!?」
50〜60人は居るとみえる敵の大軍。
人の心配を余所に、臆することなく愉しそうに武器を振り回す船員 達の姿。
「お〜アイリス! 余裕だぜェ!」
「漸く、修業の成果が見せられるってもんだ!」
「準備運動にもならないよ」
「アイアイ! アイリス! こっちは大丈夫だよ!」
見違える程、強くなっている仲間の様子に笑みが溢れる。
「わかった!それじゃあ、ここは皆に任せるよ!」
今の彼等なら、船への侵入を絶対に許さないと確信した私は、敵の大将を探しながらペンギンに命を下した。
「ペンギン…! ローを連れ戻して!皆と合流させて!」
深く頷いた少年は、勢い良く船を飛び降り、街に向けて猛スピードで駆けていった。
「あとは…」
ドオォォォォォン!!!
何処から大砲が撃たれているのか、注意深く周囲を探る。
「一体どこから…」
このままでは勝ったとしても、船が沈んでしまう。
煙が風に流され、視界が晴れる。
私はその一瞬の輝きを、見逃さなかった。
「見つけた…!」
太陽に反射した砲弾の光が、ご親切に敵の居場所を教えてくれた。
放たれた球体を二つに割り、敵陣の真ん中へ飛び降りる。
「この船の船長さんは…何処ですか…」
取り囲む敵を睨みつけ、挑発してみせた。
「これから偉大なる航路 に入ろうっていうのに…随分臆病な戦い方するんですね…」
見事に策に嵌った敵の船長が、ゆらりゆらりと歩んで来る。
「随分…口の達者なガキだなァ…」
「お頭〜! こんなガキ、俺達だけで余裕ですぜ!」
見た目に囚われ、本質が視えていない。
「そうでしょうか? 船長さんも含めて、この場にいる方々全員で…一斉にかかってきた方が身の為かと思いますが…」
陳腐な挑発にも、面白い程簡単に踊り出す敵の船員 達。
「ガハハハハ、元気なガキだ…だが…元気すぎると痛い目にあうぞ…」
少しずつ、距離を近付けて来る大将。
「何か…隠してますか?」
その様子に違和感を感じ、問い掛ける。
「元気なだけじゃなく…頭もキレるのか…欲しくなってきたよ…お嬢ちゃん」
ローには感じない、男特有の厭らしさを感じ全身に鳥肌が立つ。
「結構です…時間稼ぎをして、何を企んでいるんですか」
身震いする身体を抑え、相手を真っ直ぐ見据える。
「まァいいだろう…頃合だ…教えてやるよ」
男の指差す方向に視線を移すと、この辺りではあり得ない数の海賊達が、私達の船に向かい突進している。
「望み通り…お前も…仲間も…全員で殺ってやるよォ!」
余所見していた隙をついて、船に残っていた敵が一斉に剣を振り下ろす。
四方に響くのは銃の放たれる音。
空を斬る刃の音を前にして、自分の放った言葉を少しだけ後悔した。
ベッドが軋むような音が聞こえ、意識が浮上した。
「ん………………」
ぼやける視界がもどかしくて、目を擦る。
「そんなに擦ると腫れるぞ」
心地いい低音が耳に響き、驚いた私はベッドからズリ落ちた。
「な…ななな…何してるのロー…!?」
涼しい顔でベッドに腰掛け、寝ている私を眺めていた様子の少年。
「何って…起こしに来てやったんだ…ククッ」
起こす!?
全然起こしてないし、いつからそこに居たの!?
心の叫びは言葉に出来ず、口をパクパクさせて固まっていると、悪魔が甘い囁きを零す。
「早く起きねェと…襲うぞアイリス」
硬直した身体を無理やり起こし、慌てて部屋の隅に逃げた私は、目の前の黒い瞳を鋭く睨み付けた。
「いっ…今、私に触れたら絶対許さないから!」
ポーカーフェイスを崩さない少年は、立ち上がり扉に手を掛ける。
「冗談だ…心配しなくてもガキに興味はねェ」
パタンッーーー。
去っていく足音が部屋に響き、同時に涙が溢れてくる。
「自分だって…子供でしょう…」
何故かわからないけれど、瞳から溢れて止まらない滴。
「何なの…もう…」
突然の出来事に驚いただけ。
顔を洗うと気分もスッキリした気がして、服を着替え支度を整えた。
深く息を吸い、部屋のドアを開いた瞬間。
ドオォォォォォン!!!
爆音と共に船が激しく揺れる。
今度は何…!?
「アイリス! 起きたのか!」
慌てた様子の少年が、こちらに駆け寄って来た。
「ペンギン…! 今のは!?」
「わからねェ! 突然砲弾が降ってきて、シャチとクジラが交戦してる!」
ベポとイルカも戦闘態勢を整え、甲板に向かって走って行くのが見える。
「わかった! 私もすぐに行く! …船長は!?」
いつもなら最前線に立っているはずの男を探すが、姿が見当たらない。
「ついさっき街に向かって歩いていくのが見えた! 恐らくまだ、気付いてねェ!」
「こんな時に…! ほんと、何なのよ!」
苛立つ感情を抑え、交戦中の仲間の元に急いで向かう。
「みんな! 平気!?」
50〜60人は居るとみえる敵の大軍。
人の心配を余所に、臆することなく愉しそうに武器を振り回す
「お〜アイリス! 余裕だぜェ!」
「漸く、修業の成果が見せられるってもんだ!」
「準備運動にもならないよ」
「アイアイ! アイリス! こっちは大丈夫だよ!」
見違える程、強くなっている仲間の様子に笑みが溢れる。
「わかった!それじゃあ、ここは皆に任せるよ!」
今の彼等なら、船への侵入を絶対に許さないと確信した私は、敵の大将を探しながらペンギンに命を下した。
「ペンギン…! ローを連れ戻して!皆と合流させて!」
深く頷いた少年は、勢い良く船を飛び降り、街に向けて猛スピードで駆けていった。
「あとは…」
ドオォォォォォン!!!
何処から大砲が撃たれているのか、注意深く周囲を探る。
「一体どこから…」
このままでは勝ったとしても、船が沈んでしまう。
煙が風に流され、視界が晴れる。
私はその一瞬の輝きを、見逃さなかった。
「見つけた…!」
太陽に反射した砲弾の光が、ご親切に敵の居場所を教えてくれた。
放たれた球体を二つに割り、敵陣の真ん中へ飛び降りる。
「この船の船長さんは…何処ですか…」
取り囲む敵を睨みつけ、挑発してみせた。
「これから
見事に策に嵌った敵の船長が、ゆらりゆらりと歩んで来る。
「随分…口の達者なガキだなァ…」
「お頭〜! こんなガキ、俺達だけで余裕ですぜ!」
見た目に囚われ、本質が視えていない。
「そうでしょうか? 船長さんも含めて、この場にいる方々全員で…一斉にかかってきた方が身の為かと思いますが…」
陳腐な挑発にも、面白い程簡単に踊り出す敵の
「ガハハハハ、元気なガキだ…だが…元気すぎると痛い目にあうぞ…」
少しずつ、距離を近付けて来る大将。
「何か…隠してますか?」
その様子に違和感を感じ、問い掛ける。
「元気なだけじゃなく…頭もキレるのか…欲しくなってきたよ…お嬢ちゃん」
ローには感じない、男特有の厭らしさを感じ全身に鳥肌が立つ。
「結構です…時間稼ぎをして、何を企んでいるんですか」
身震いする身体を抑え、相手を真っ直ぐ見据える。
「まァいいだろう…頃合だ…教えてやるよ」
男の指差す方向に視線を移すと、この辺りではあり得ない数の海賊達が、私達の船に向かい突進している。
「望み通り…お前も…仲間も…全員で殺ってやるよォ!」
余所見していた隙をついて、船に残っていた敵が一斉に剣を振り下ろす。
四方に響くのは銃の放たれる音。
空を斬る刃の音を前にして、自分の放った言葉を少しだけ後悔した。