第一章 蒼と青の世界
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始まりの民。
男はアダム、女はイヴ。
神々の力で命を与えられた最初の人間。
彼等は光溢れる天界で、愛に満ちた幸せな日々を過ごしていた。
疑う事を知らない彼等は、神の王を陥れようとする闇の者に気付かず、意図も簡単に騙されてしまった。
怒りに支配された神は、色も音もない場所に二人を葬り去った。
そこは無色透明の、何もない世界。
一本の大木だけが、土地の真ん中に根を張り悠々と輝いていた。
“禁断の果実”
悪に騙され、口にしてしまった果実が美味しそうに実を付け、二人を誘惑し続けた。
そこに現れたのは神の王の娘、天使エデン
彼女は彼らを憐れみ、大地に海を創り、風を起こし光を与え、民を励まし続けた。
大木に実る果実を “悪魔の実” と名付けた彼女は、二人が二度と口にしないよう、味を変え代償を宿した。
やがて自らの手で大地を耕すようになった彼等は、命を手に入れた。
大地に祝福を。
新しい命の誕生を心から喜んだエデンは、自らの司る花で地上を彩った。
“スノードロップ”
純白の花が咲き乱れる地を、民達は “ガーデンオブエデン” と呼び、近くに家を建てた。
子が子を成し、村に人が増え、自らの手で豊かな暮らしを手に入れていった人間。
全てを赦した神の王は、人が再び悪に騙されないように、正式にその地の守り人として天使エデンを遣わした。
アダムとイヴは沢山の子を成し、揃ってその生涯を終えた。
命が尽きた民に祈りを捧げたエデン。
“宝珠アダム”
“陽樹イヴ”
彼等の心体に再び命を与え、数本の大木に変えたエデンは、其々を世界の各地に散りばめた。
力強く根を張り、あらゆる生命の土台となった大木。
二人は永久の命を授かり、世界を支え続けた。
役目を終えた天使は姿を変え、禁断の果実を守りながら人間として暮らし始めた。
エデンは一人の青年と恋に落ち、次の年には娘を授かった。
最初の天使族の誕生。
小さな腕には花紋章が刻まれており、天使の力を受け継いだ奇跡の子と称された。
それから、彼女の力を受け継いだ特別な赤子には必ず、同じ紋章が浮かび上がるようになったと言い伝えられている。
これが、謎に包まれた地 “ガーデンオブエデン” 天使族の始まりとされる物語。
故に、“エデンの力を引き継いだ子は悪魔の実を管理する役目を担う事” とされている。
本の最後の頁には、難解な文書が記されていた。
『天使の力ヲ受ケ継ぐ者
二の意味を以チ此処に記し賜ウ
二の花言葉手中に収メシ時、花ノ紋章は汝に命を与ヱ賜ウ
故にーーー
天使ナラザル者、人ナラザル者に生命無シ』
この一説は今回起きている身体の異変、病について記述してあるのだろうと、私は践んでいる。
全て読み終えたローは静かに本を閉じ、暫くの間表紙を見詰めていた。
「ククッ…なる程な…」
面白そうに口角を上げる少年。
「時間はある…焦る必要もねえか…」
彼は何やら小さく呟くと、私に古書を返し、部屋から出て行ってしまった。
「…………?」
残された私は首を傾げ、少年の後を追いかけた。
「ロー! 意味わからないよ…!ちょっと待って!」
ガチャッーーーー。
廊下に出ると、美味しそうな晩御飯の匂いが船内中に漂っている。
盛大に音を鳴らすお腹を抑え、船長を睨みつけた。
「意味わからない…!…うう…お腹空いた…」
クツクツと喉を鳴らし、面白そうに私を見詰める少年が食堂の前に立ち塞がる。
「クククッ…お前の病は、おれが治してやるって言ったんだ…ゆっくり…確実にな…」
耳元に響く低い声。
「…逃さねえから覚悟しとけ」
船を照らす夕陽に負けないくらい、紅く染まった頬を抑え、俯いた私。
「ローのバカ…」
ぐしゃぐしゃっと髪を乱され、去って行く彼の背に精一杯の悪態を吐いた。
男はアダム、女はイヴ。
神々の力で命を与えられた最初の人間。
彼等は光溢れる天界で、愛に満ちた幸せな日々を過ごしていた。
疑う事を知らない彼等は、神の王を陥れようとする闇の者に気付かず、意図も簡単に騙されてしまった。
怒りに支配された神は、色も音もない場所に二人を葬り去った。
そこは無色透明の、何もない世界。
一本の大木だけが、土地の真ん中に根を張り悠々と輝いていた。
“禁断の果実”
悪に騙され、口にしてしまった果実が美味しそうに実を付け、二人を誘惑し続けた。
そこに現れたのは神の王の娘、天使エデン
彼女は彼らを憐れみ、大地に海を創り、風を起こし光を与え、民を励まし続けた。
大木に実る果実を “悪魔の実” と名付けた彼女は、二人が二度と口にしないよう、味を変え代償を宿した。
やがて自らの手で大地を耕すようになった彼等は、命を手に入れた。
大地に祝福を。
新しい命の誕生を心から喜んだエデンは、自らの司る花で地上を彩った。
“スノードロップ”
純白の花が咲き乱れる地を、民達は “ガーデンオブエデン” と呼び、近くに家を建てた。
子が子を成し、村に人が増え、自らの手で豊かな暮らしを手に入れていった人間。
全てを赦した神の王は、人が再び悪に騙されないように、正式にその地の守り人として天使エデンを遣わした。
アダムとイヴは沢山の子を成し、揃ってその生涯を終えた。
命が尽きた民に祈りを捧げたエデン。
“宝珠アダム”
“陽樹イヴ”
彼等の心体に再び命を与え、数本の大木に変えたエデンは、其々を世界の各地に散りばめた。
力強く根を張り、あらゆる生命の土台となった大木。
二人は永久の命を授かり、世界を支え続けた。
役目を終えた天使は姿を変え、禁断の果実を守りながら人間として暮らし始めた。
エデンは一人の青年と恋に落ち、次の年には娘を授かった。
最初の天使族の誕生。
小さな腕には花紋章が刻まれており、天使の力を受け継いだ奇跡の子と称された。
それから、彼女の力を受け継いだ特別な赤子には必ず、同じ紋章が浮かび上がるようになったと言い伝えられている。
これが、謎に包まれた地 “ガーデンオブエデン” 天使族の始まりとされる物語。
故に、“エデンの力を引き継いだ子は悪魔の実を管理する役目を担う事” とされている。
本の最後の頁には、難解な文書が記されていた。
『天使の力ヲ受ケ継ぐ者
二の意味を以チ此処に記し賜ウ
二の花言葉手中に収メシ時、花ノ紋章は汝に命を与ヱ賜ウ
故にーーー
天使ナラザル者、人ナラザル者に生命無シ』
この一説は今回起きている身体の異変、病について記述してあるのだろうと、私は践んでいる。
全て読み終えたローは静かに本を閉じ、暫くの間表紙を見詰めていた。
「ククッ…なる程な…」
面白そうに口角を上げる少年。
「時間はある…焦る必要もねえか…」
彼は何やら小さく呟くと、私に古書を返し、部屋から出て行ってしまった。
「…………?」
残された私は首を傾げ、少年の後を追いかけた。
「ロー! 意味わからないよ…!ちょっと待って!」
ガチャッーーーー。
廊下に出ると、美味しそうな晩御飯の匂いが船内中に漂っている。
盛大に音を鳴らすお腹を抑え、船長を睨みつけた。
「意味わからない…!…うう…お腹空いた…」
クツクツと喉を鳴らし、面白そうに私を見詰める少年が食堂の前に立ち塞がる。
「クククッ…お前の病は、おれが治してやるって言ったんだ…ゆっくり…確実にな…」
耳元に響く低い声。
「…逃さねえから覚悟しとけ」
船を照らす夕陽に負けないくらい、紅く染まった頬を抑え、俯いた私。
「ローのバカ…」
ぐしゃぐしゃっと髪を乱され、去って行く彼の背に精一杯の悪態を吐いた。