第一章 蒼と青の世界
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その日も普段通り、何事もなく穏やかな一日を終える筈だった。
天気が悪い事と、幼馴染の姿が見えない事以外、普段と変わらない日常。
言い知れぬ違和感に、僅かな不安を感じてはいたけれど、私は何も行動しなかった。
もし、あの時すぐに動いていれば未来は変わったのだろうか。
あの人を、救うことが出来たのだろうか。
ーーーーーーーーーーーーーーー
時計の針が、夕刻を告げる。
私は憂鬱な気分で、窓の外に視界を移した。
「凄い雨…」
激しい水音が、静かな部屋に重く響く。
暫くの間、ぼんやりと外の様子を見ていると、家の扉が開く音が聞こえた。
「ただいま、アイリス」
「アイリスは雨に濡れなかった?」
両親の顔を見て、少しだけ気分が晴れた私は、洗面所からタオルを手に取り、二人に駆け寄った。
「おかえりなさい、私は大丈夫だよ! はい、これ」
濡れた身体を拭きながら、二人は優しく微笑む。
「ありがとう…ところでアイリス、お祖父様は戻って来てる?」
母の問に、私は首を横に振った。
「今日は、まだ…」
二人の表情が、険しいものへと変化していく。
「一度も戻って来てないのか…? 」
私は、ゆっくりと頷いた。
「朝から嫌な予感がするんだ…ちょっと探しに行って来るよ」
父は眉間に深い皺を寄せ、再び外へ飛び出して行った。
「アイリス…こっちに来なさい」
母は私をキッチンに招くと、温かい紅茶を用意してくれた。
「お祖父様…大丈夫かな…」
渡されたカップに息を吹きかけ、湯気を払いながら呟く私。
「そうね…実は…カイル君も、朝から姿が見えないみたいなの…少し…心配ね」
先程、父も口にした嫌な予感。
その得体の知れない不安が、私の心の中を埋め尽くす。
「悪魔の…実…」
最悪の事態を想像し、焦った私は空になったカップをテーブルに置き、勢い良く立ち上がった。
「アイリス…どこに行くの? あなたはここに居なさい」
腕を掴み強く引き留める母の腕を、振り解く。
「悪魔の実は、私しか触れない…私が行かないで…もしもの時、誰が対処するの?」
年齢とはかけ離れた、大人びた娘の言葉。
彼女は諦めたように呟いた。
「わかったわ…でも、必ず無事に戻って来るって約束して…」
私は精一杯、明るい笑顔を作って頷いた。
「お母様、安心して…皆無事に連れて帰って来るから」
大粒の雨が、視界を遮る。
滴る水を拭いながら、必死で父の後を追い走り続けた。
天気が悪い事と、幼馴染の姿が見えない事以外、普段と変わらない日常。
言い知れぬ違和感に、僅かな不安を感じてはいたけれど、私は何も行動しなかった。
もし、あの時すぐに動いていれば未来は変わったのだろうか。
あの人を、救うことが出来たのだろうか。
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時計の針が、夕刻を告げる。
私は憂鬱な気分で、窓の外に視界を移した。
「凄い雨…」
激しい水音が、静かな部屋に重く響く。
暫くの間、ぼんやりと外の様子を見ていると、家の扉が開く音が聞こえた。
「ただいま、アイリス」
「アイリスは雨に濡れなかった?」
両親の顔を見て、少しだけ気分が晴れた私は、洗面所からタオルを手に取り、二人に駆け寄った。
「おかえりなさい、私は大丈夫だよ! はい、これ」
濡れた身体を拭きながら、二人は優しく微笑む。
「ありがとう…ところでアイリス、お祖父様は戻って来てる?」
母の問に、私は首を横に振った。
「今日は、まだ…」
二人の表情が、険しいものへと変化していく。
「一度も戻って来てないのか…? 」
私は、ゆっくりと頷いた。
「朝から嫌な予感がするんだ…ちょっと探しに行って来るよ」
父は眉間に深い皺を寄せ、再び外へ飛び出して行った。
「アイリス…こっちに来なさい」
母は私をキッチンに招くと、温かい紅茶を用意してくれた。
「お祖父様…大丈夫かな…」
渡されたカップに息を吹きかけ、湯気を払いながら呟く私。
「そうね…実は…カイル君も、朝から姿が見えないみたいなの…少し…心配ね」
先程、父も口にした嫌な予感。
その得体の知れない不安が、私の心の中を埋め尽くす。
「悪魔の…実…」
最悪の事態を想像し、焦った私は空になったカップをテーブルに置き、勢い良く立ち上がった。
「アイリス…どこに行くの? あなたはここに居なさい」
腕を掴み強く引き留める母の腕を、振り解く。
「悪魔の実は、私しか触れない…私が行かないで…もしもの時、誰が対処するの?」
年齢とはかけ離れた、大人びた娘の言葉。
彼女は諦めたように呟いた。
「わかったわ…でも、必ず無事に戻って来るって約束して…」
私は精一杯、明るい笑顔を作って頷いた。
「お母様、安心して…皆無事に連れて帰って来るから」
大粒の雨が、視界を遮る。
滴る水を拭いながら、必死で父の後を追い走り続けた。