第一章 蒼と青の世界
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例えるなら、島が半分に割れたような感覚。
目の前の男は、頬に刻まれた傷を震えながら押さえている。
擦れ擦れの所で避けた、凄まじい斬撃。
その剣は彼の背後から、島の端まで茂っていた森の木を全て、真っ二つに割っていた。
「なん…ですか…こ…れは…」
カラスが手に持っていた筈の刀は、遠くに飛び、倒された木片に突き刺さっている。
ローと私は一点を見つめたまま、動けずにいた。
「誰だ…お前…」
全身から、冷や汗が吹き出す男の顔は、文字通り蒼白。
「どうした…退かぬなら斬るぞ」
カラスを射る何者かの瞳は、獲物に狙いを定めた鷹のよう。
「ま…まさか…お前は…!コウモリ!退きますよ!」
恐怖に怯える男。
「逃げるなら、お前一人で逃げろ」
「いいから早く…!」
立ち向かおうとする仲間を引き摺るように掴んだカラスは、用意していた小舟で、海へと逃げて行った。
「弱き者よ…死すら与えるまでも無い」
小さな刀を鞘に収め、此方に向けゆっくりと歩んで来る剣士。
「死を覚悟しても尚…敵に背を向けなかった振舞い…剣士として見事だ…幼き者」
私の刀を拾い上げ、視線を此方に向けた男。
「ありがとう…ございます…」
つい先程まで、殺気を含ましていた筈の瞳は、嘘の様に、穏やかに揺れていた。
「我が名はジュラキュール・ミホーク…幼き者よ…貴様達は未だ、兎にも獅子にもなれよう…強くなれ…!」
振り返った男の背には、大きな黒い刀。
「あの…! 助けて頂いて、本当に…ありがとうこざいました!」
去り際、男は立ち止まり、僅かな笑みを浮かべた。
「我の歩む道に、屯する鼠を払ったまでの事…」
彼の名を忘れないように、何度も、何度も口にする。
「ジュラキュール…ミホーク…」
憧れよりも強い、尊敬の念。
遠ざかって行く後姿を、瞳の奥に焼き付けた。
「アイリス」
名前を呼ばれ、振り返る。
「ロー…」
視界に映ったのは、倒れた仲間の姿。
「…みんな!」
我に返った私は、慌てて治療に取り掛かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
「終わったか…」
「うん…みんな無事でよかった…」
傷を癒し、ローと二人で彼らが目覚めるのを待つ。
「あの男達…会った事もない筈なのに…」
何者かに命じられ、島に潜伏していた様子の二人。
「あァ…嫌な予感がする…」
彼らの背後に感じた、大きな存在。
「………」
私達は、押し黙り、口を閉ざした。
沈黙の中、不意に浮かんでくるカイルの姿。
終わったはずなのに。
「ロー…」
不安な気持ちを抑えるように、隣にいる船長の腕を掴み、深く息を吸った。
「痛てェ…」
意識を取り戻した少年が、キョロキョロと辺りを見回す。
「シャチ…! 良かった…」
一人を除き、次々に目を覚ます仲間達。
「どうなってんだ…敵は…倒したのか?」
怪訝そうな表情を浮かべ、問いかけるペンギン。
「船で話す…とりあえず、戻るぞ」
身を翻した船長。
彼の後に続き、私達も一旦船へ戻る事にした。
島で出会った少女は意識を失ったまま、目覚めない。
置いて行く訳にも、合意なしで連れて行く訳にもいかない状況に、船長は決断を下す。
今のまま偉大なる航路 へ突入しても、きっとすぐにやられてしまう。
敵との力の差を縮める為、少しでも今より強くなる為に。
私達は、島で修行をする事となった。
目の前の男は、頬に刻まれた傷を震えながら押さえている。
擦れ擦れの所で避けた、凄まじい斬撃。
その剣は彼の背後から、島の端まで茂っていた森の木を全て、真っ二つに割っていた。
「なん…ですか…こ…れは…」
カラスが手に持っていた筈の刀は、遠くに飛び、倒された木片に突き刺さっている。
ローと私は一点を見つめたまま、動けずにいた。
「誰だ…お前…」
全身から、冷や汗が吹き出す男の顔は、文字通り蒼白。
「どうした…退かぬなら斬るぞ」
カラスを射る何者かの瞳は、獲物に狙いを定めた鷹のよう。
「ま…まさか…お前は…!コウモリ!退きますよ!」
恐怖に怯える男。
「逃げるなら、お前一人で逃げろ」
「いいから早く…!」
立ち向かおうとする仲間を引き摺るように掴んだカラスは、用意していた小舟で、海へと逃げて行った。
「弱き者よ…死すら与えるまでも無い」
小さな刀を鞘に収め、此方に向けゆっくりと歩んで来る剣士。
「死を覚悟しても尚…敵に背を向けなかった振舞い…剣士として見事だ…幼き者」
私の刀を拾い上げ、視線を此方に向けた男。
「ありがとう…ございます…」
つい先程まで、殺気を含ましていた筈の瞳は、嘘の様に、穏やかに揺れていた。
「我が名はジュラキュール・ミホーク…幼き者よ…貴様達は未だ、兎にも獅子にもなれよう…強くなれ…!」
振り返った男の背には、大きな黒い刀。
「あの…! 助けて頂いて、本当に…ありがとうこざいました!」
去り際、男は立ち止まり、僅かな笑みを浮かべた。
「我の歩む道に、屯する鼠を払ったまでの事…」
彼の名を忘れないように、何度も、何度も口にする。
「ジュラキュール…ミホーク…」
憧れよりも強い、尊敬の念。
遠ざかって行く後姿を、瞳の奥に焼き付けた。
「アイリス」
名前を呼ばれ、振り返る。
「ロー…」
視界に映ったのは、倒れた仲間の姿。
「…みんな!」
我に返った私は、慌てて治療に取り掛かった。
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「終わったか…」
「うん…みんな無事でよかった…」
傷を癒し、ローと二人で彼らが目覚めるのを待つ。
「あの男達…会った事もない筈なのに…」
何者かに命じられ、島に潜伏していた様子の二人。
「あァ…嫌な予感がする…」
彼らの背後に感じた、大きな存在。
「………」
私達は、押し黙り、口を閉ざした。
沈黙の中、不意に浮かんでくるカイルの姿。
終わったはずなのに。
「ロー…」
不安な気持ちを抑えるように、隣にいる船長の腕を掴み、深く息を吸った。
「痛てェ…」
意識を取り戻した少年が、キョロキョロと辺りを見回す。
「シャチ…! 良かった…」
一人を除き、次々に目を覚ます仲間達。
「どうなってんだ…敵は…倒したのか?」
怪訝そうな表情を浮かべ、問いかけるペンギン。
「船で話す…とりあえず、戻るぞ」
身を翻した船長。
彼の後に続き、私達も一旦船へ戻る事にした。
島で出会った少女は意識を失ったまま、目覚めない。
置いて行く訳にも、合意なしで連れて行く訳にもいかない状況に、船長は決断を下す。
今のまま
敵との力の差を縮める為、少しでも今より強くなる為に。
私達は、島で修行をする事となった。