第一章 蒼と青の世界
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「さァ…始めるか」
薄気味悪い森の中。
漂う緊張感に思わず息を呑む。
「どうする…キャプテン」
シャチが、一歩前に出た瞬間、私は咄嗟に地面を蹴った。
大きな男の腕が、僅かに動いたのを見逃さなかったから。
キンッーーーー!
「くっ…重い…」
金属の擦れる鈍い音が鳴り響く。
「子供相手に不意打ちなんて…卑怯な男…!」
男はニヤつきながら、太い腕に一層力を込めた。
「心外だなァ…世の中の道理を教えてやってるっていうのに」
男の持つ金棒を弾き、距離を取る。
「貴方から学ぶべき事なんて…一つもない!」
視線をずらすと、シャチが腰を抜かして倒れている。
「大丈夫?ほらっ」
ベポの助けを借り、無事に立ち上がる事が出来た彼は、両手を顔の前で合わせていた。
「シャチ! いいから、みんなも集中して!」
敵との力の差に焦る私。
「ロー…相手は能力者かも知れない」
先程、男の金棒を弾いた時、僅かに感じた違和感。
私の隣で立ち止まった船長は、静かに長刀を抜いた。
「なんだァ…? お前から殺せばいいのかァ?」
金棒を振り回し、口角を上げる男。
「ベポ、ペンギン! 周りをやれ…シャチはアイリスと組んで俺を援護しろ」
船長の指示を受け、シャチの傍に駆け寄り、剣を構えた。
「アイアイ、キャプテン!」
ベポとペンギンも、敵の手下に向けて走り出す。
「一対三は卑怯じゃないのかァ〜お嬢ちゃん」
面白そうに、笑みを浮かべる男。
「卑怯は海賊の道理だと、あなたが言ったんです」
私は、相手を強く睨みつけた。
「グフフフ…面白ェ…! いいだろう…纏めて殺ってやる」
高く振り上げられた金棒。
「やっぱり可怪しい…悪魔の実の力…」
男の武器は、何tもありそうな大きな金棒。
それなのに、剣で受け止めた時、それは驚く程に軽かった。
「なんだァ…気付いたのか? グフフ…」
私の疑念を証明するように、地面に落とされた金棒は大地を割る。
「そんなに軽い物で…地を抉る事が出来るはずない…一体…」
額に流れる汗を拭い、男を見つめる。
「俺は… "ビッグドッグ海賊団" 船長、ビグズ 様だ!」
手に持っていた金棒を投げ捨て、拳を掌に打ち付ける。
「“ピットブル”の実を食べた俺様は、最強の筋肉を手に入れた!! 細い棒切れでも俺様にかかれば…!」
足元に落ちていた、小枝を拾った男は、近くに立っていた大木に、それを投げ付けた。
ドオォォォォォォンッーーー!!!
木は、まるで砲弾でも投げられたかのように、粉々に飛び散ってしまった。
「どうだ…全身筋肉で出来た俺様は手にした物を何でも武器に変えられる…お前たちも直ぐに、あの木のようにしてやろう…グフフフッ!」
昔から毎日、何十回と読み返した悪魔の実図鑑を、頭の中で思い出す。
「"イヌイヌの実"…モデル “ピットブル”…! こんな力だったのね…」
素早くローに駆け寄り、情報を伝える。
“ピットブル” の実を食べた者は、己の筋肉を最大まで増長させ、人知を超えた力を得る事が出来る。
闘いに特化していて、食べた者の人格によっては、最悪の事態を招く悪魔の実だ。
けれど、力押しの能力だと判明した事で、私達は安堵した。
「力だけじゃ、俺には勝てねェ」
口角を上げ、静かに右手を翳した船長。
「ROOM…」
ビグズの身体を、薄い膜が包む。
「なんだァ…お前…!まさかガキのくせに能力者か!」
今更焦っても、既に手遅れ。
「切断 !」
大きな身体は、音を立て崩れ落ちていく。
「グギヤァァァァァァァ!!!」
ブロック状に積み上げられた男の破片。
「ガキにヤラれる気分はどうだ…ビグズ」
ローは口の端を片方だけ上げて、悪い笑みを浮かべる。
「これ…きついからなァ…」
何か思い出したようで、遠い目をしているシャチ。
残りは二人。
ベポとペンギンが対峙する、真っ黒な服を着たビグズの手下。
大将が倒れた今、勝利は目前だった。
「おやおや…やはり、失敗作だった様ですねェ…」
血に染まったクジラと少女を両手で引き摺り、此方を残念そうに見つめる男。
「グッ…!」
次の瞬間、ベポとペンギンは黒い服の男に破られ、意識を失っていた。
私達の視界を遮るように、濃い霧が辺りを覆っていく。
目の前に差し出された 『勝利』 の二文字。
それは、一瞬にして崩れ去って行った。
薄気味悪い森の中。
漂う緊張感に思わず息を呑む。
「どうする…キャプテン」
シャチが、一歩前に出た瞬間、私は咄嗟に地面を蹴った。
大きな男の腕が、僅かに動いたのを見逃さなかったから。
キンッーーーー!
「くっ…重い…」
金属の擦れる鈍い音が鳴り響く。
「子供相手に不意打ちなんて…卑怯な男…!」
男はニヤつきながら、太い腕に一層力を込めた。
「心外だなァ…世の中の道理を教えてやってるっていうのに」
男の持つ金棒を弾き、距離を取る。
「貴方から学ぶべき事なんて…一つもない!」
視線をずらすと、シャチが腰を抜かして倒れている。
「大丈夫?ほらっ」
ベポの助けを借り、無事に立ち上がる事が出来た彼は、両手を顔の前で合わせていた。
「シャチ! いいから、みんなも集中して!」
敵との力の差に焦る私。
「ロー…相手は能力者かも知れない」
先程、男の金棒を弾いた時、僅かに感じた違和感。
私の隣で立ち止まった船長は、静かに長刀を抜いた。
「なんだァ…? お前から殺せばいいのかァ?」
金棒を振り回し、口角を上げる男。
「ベポ、ペンギン! 周りをやれ…シャチはアイリスと組んで俺を援護しろ」
船長の指示を受け、シャチの傍に駆け寄り、剣を構えた。
「アイアイ、キャプテン!」
ベポとペンギンも、敵の手下に向けて走り出す。
「一対三は卑怯じゃないのかァ〜お嬢ちゃん」
面白そうに、笑みを浮かべる男。
「卑怯は海賊の道理だと、あなたが言ったんです」
私は、相手を強く睨みつけた。
「グフフフ…面白ェ…! いいだろう…纏めて殺ってやる」
高く振り上げられた金棒。
「やっぱり可怪しい…悪魔の実の力…」
男の武器は、何tもありそうな大きな金棒。
それなのに、剣で受け止めた時、それは驚く程に軽かった。
「なんだァ…気付いたのか? グフフ…」
私の疑念を証明するように、地面に落とされた金棒は大地を割る。
「そんなに軽い物で…地を抉る事が出来るはずない…一体…」
額に流れる汗を拭い、男を見つめる。
「俺は… "ビッグドッグ海賊団" 船長、ビグズ 様だ!」
手に持っていた金棒を投げ捨て、拳を掌に打ち付ける。
「“ピットブル”の実を食べた俺様は、最強の筋肉を手に入れた!! 細い棒切れでも俺様にかかれば…!」
足元に落ちていた、小枝を拾った男は、近くに立っていた大木に、それを投げ付けた。
ドオォォォォォォンッーーー!!!
木は、まるで砲弾でも投げられたかのように、粉々に飛び散ってしまった。
「どうだ…全身筋肉で出来た俺様は手にした物を何でも武器に変えられる…お前たちも直ぐに、あの木のようにしてやろう…グフフフッ!」
昔から毎日、何十回と読み返した悪魔の実図鑑を、頭の中で思い出す。
「"イヌイヌの実"…モデル “ピットブル”…! こんな力だったのね…」
素早くローに駆け寄り、情報を伝える。
“ピットブル” の実を食べた者は、己の筋肉を最大まで増長させ、人知を超えた力を得る事が出来る。
闘いに特化していて、食べた者の人格によっては、最悪の事態を招く悪魔の実だ。
けれど、力押しの能力だと判明した事で、私達は安堵した。
「力だけじゃ、俺には勝てねェ」
口角を上げ、静かに右手を翳した船長。
「ROOM…」
ビグズの身体を、薄い膜が包む。
「なんだァ…お前…!まさかガキのくせに能力者か!」
今更焦っても、既に手遅れ。
「
大きな身体は、音を立て崩れ落ちていく。
「グギヤァァァァァァァ!!!」
ブロック状に積み上げられた男の破片。
「ガキにヤラれる気分はどうだ…ビグズ」
ローは口の端を片方だけ上げて、悪い笑みを浮かべる。
「これ…きついからなァ…」
何か思い出したようで、遠い目をしているシャチ。
残りは二人。
ベポとペンギンが対峙する、真っ黒な服を着たビグズの手下。
大将が倒れた今、勝利は目前だった。
「おやおや…やはり、失敗作だった様ですねェ…」
血に染まったクジラと少女を両手で引き摺り、此方を残念そうに見つめる男。
「グッ…!」
次の瞬間、ベポとペンギンは黒い服の男に破られ、意識を失っていた。
私達の視界を遮るように、濃い霧が辺りを覆っていく。
目の前に差し出された 『勝利』 の二文字。
それは、一瞬にして崩れ去って行った。