第一章 蒼と青の世界
名前設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
空は快晴、絶好の航海日和。
船の甲板には、鼻提灯を膨らますベポに寄り掛かって昼寝をする船長。
新たな旅立ちの前に、最後の買い出しに出たペンギンとクジラを待つ間、私は手に入れた短剣を嬉しそうに振り回すシャチの訓練相手をしていた。
「よいしょっと…ただいま〜!」
段ボール箱を何段も積み上げ、両手で必死に抱えたクジラが、元気な声を上げる。
「ただいま」
後ろから、ゆっくりと歩いてきたペンギン。
彼の手にも、大量の袋が下げられていた。
「どうしたの!?その荷物…」
二人に駆け寄り、無造作に置かれた箱や袋の中身を確認する。
「おォ〜!食料じゃねェか!つーか…こんなに買って…金足りたわけ?」
段ボールの中には、野菜や調味料、肉などの食料がぎっしりと詰まっていた。
「わァ〜!凄い量だね!」
いつの間にか、輪の中に入っていたベポも、驚きの声を上げる。
「びっくりした…ベポ、起きたの?」
「お前らがうるせェから、目が覚めたんだよ」
視界に映ったのは、白熊の横で気怠そうに欠伸をするロー。
「で? 結局、コレどうしたんだよ」
気になって仕方ないのか、シャチが二人に問いかけた。
みんなの視線の先には、大量の食料。
「ああ…市場で物色してたら、 "助けた礼" だとか言って、街の人が色々くれたんだ」
ペンギンの言葉に、目を丸くするベポ。
「コレ、全部…タダでくれたの〜!?」
男二人は顔を見合わせ、口角を上げた。
「そうだぜ!全部この人達がくれたんだ!」
彼等が指差す方向に視線を向ける。
「みんな…!」
甲板の手摺から身を乗り出し、船の下を覗き込むと、カイルに捕まっていた人々が全員、港に集まっていた。
「おねえちゃーん!!」
瞳を潤ませながら、懸命に腕を振る少女。
「アイリスおねえちゃん…わたし…わたし…絶対忘れないからね!!!」
「マリーちゃん! 私も…忘れないよ…絶対忘れない!」
涙でぐちゃぐちゃになった顔で、手を振り返す。
「またいつか、遊びに来てくれよ!」
少女を肩に乗せ微笑む男。
船長は長刀を手に、普段から被っている帽子を脱ぎ、頭を下げた。
「コレ、ありがとなー!」
シャチとクジラは貰った野菜を手に持ち、振りかざす。
「お前達…食い物を粗末に扱うなよ…」
甲板の手摺に手をかけたペンギンは、呆れた様子で二人を見遣った。
「ベポ…出港だ」
船長の合図に、名残惜しそうに身を翻した白くま。
「アイアイ!キャプテン!」
素早く舵を手にとり、元気よく返事を返した。
「ぶははっ!なんだよ…アイアイって」
ベポの掛け声に噴き出したシャチ。
「街の人に教えてもらったんだ〜!海賊の返事はアイアイ!って言うんだって」
彼の言葉に、ため息を吐くペンギン。
「そんなわけないだろう…騙されてるぞ…ベポ」
お腹を抱えて笑うシャチと、呆れるペンギンを交互に見遣ったベポ。
「いいんだよ!気に入ったんだ!アイアイ〜出港〜!」
嬉しそうに声を上げる彼の姿が可愛くて、思わず笑みが零れた。
徐々に遠ざかっていく島。
「皆さん…さようなら!本当に、ありがとうございました!!!」
港で手を振る人達に、最後の別れを告げ、私は身を翻した。
「クジラ…!剣の稽古に付き合って!」
背を向けたまま、溜まった涙を拭い、剣を握りしめる。
「よしっ!お相手いたそう!」
何かを察したクジラは、冗談交じりに自身の選んだ武器、槍を構えた。
「いくよ!」
白い波を立て、私達は次の島を目指す。
船の甲板には、鼻提灯を膨らますベポに寄り掛かって昼寝をする船長。
新たな旅立ちの前に、最後の買い出しに出たペンギンとクジラを待つ間、私は手に入れた短剣を嬉しそうに振り回すシャチの訓練相手をしていた。
「よいしょっと…ただいま〜!」
段ボール箱を何段も積み上げ、両手で必死に抱えたクジラが、元気な声を上げる。
「ただいま」
後ろから、ゆっくりと歩いてきたペンギン。
彼の手にも、大量の袋が下げられていた。
「どうしたの!?その荷物…」
二人に駆け寄り、無造作に置かれた箱や袋の中身を確認する。
「おォ〜!食料じゃねェか!つーか…こんなに買って…金足りたわけ?」
段ボールの中には、野菜や調味料、肉などの食料がぎっしりと詰まっていた。
「わァ〜!凄い量だね!」
いつの間にか、輪の中に入っていたベポも、驚きの声を上げる。
「びっくりした…ベポ、起きたの?」
「お前らがうるせェから、目が覚めたんだよ」
視界に映ったのは、白熊の横で気怠そうに欠伸をするロー。
「で? 結局、コレどうしたんだよ」
気になって仕方ないのか、シャチが二人に問いかけた。
みんなの視線の先には、大量の食料。
「ああ…市場で物色してたら、 "助けた礼" だとか言って、街の人が色々くれたんだ」
ペンギンの言葉に、目を丸くするベポ。
「コレ、全部…タダでくれたの〜!?」
男二人は顔を見合わせ、口角を上げた。
「そうだぜ!全部この人達がくれたんだ!」
彼等が指差す方向に視線を向ける。
「みんな…!」
甲板の手摺から身を乗り出し、船の下を覗き込むと、カイルに捕まっていた人々が全員、港に集まっていた。
「おねえちゃーん!!」
瞳を潤ませながら、懸命に腕を振る少女。
「アイリスおねえちゃん…わたし…わたし…絶対忘れないからね!!!」
「マリーちゃん! 私も…忘れないよ…絶対忘れない!」
涙でぐちゃぐちゃになった顔で、手を振り返す。
「またいつか、遊びに来てくれよ!」
少女を肩に乗せ微笑む男。
船長は長刀を手に、普段から被っている帽子を脱ぎ、頭を下げた。
「コレ、ありがとなー!」
シャチとクジラは貰った野菜を手に持ち、振りかざす。
「お前達…食い物を粗末に扱うなよ…」
甲板の手摺に手をかけたペンギンは、呆れた様子で二人を見遣った。
「ベポ…出港だ」
船長の合図に、名残惜しそうに身を翻した白くま。
「アイアイ!キャプテン!」
素早く舵を手にとり、元気よく返事を返した。
「ぶははっ!なんだよ…アイアイって」
ベポの掛け声に噴き出したシャチ。
「街の人に教えてもらったんだ〜!海賊の返事はアイアイ!って言うんだって」
彼の言葉に、ため息を吐くペンギン。
「そんなわけないだろう…騙されてるぞ…ベポ」
お腹を抱えて笑うシャチと、呆れるペンギンを交互に見遣ったベポ。
「いいんだよ!気に入ったんだ!アイアイ〜出港〜!」
嬉しそうに声を上げる彼の姿が可愛くて、思わず笑みが零れた。
徐々に遠ざかっていく島。
「皆さん…さようなら!本当に、ありがとうございました!!!」
港で手を振る人達に、最後の別れを告げ、私は身を翻した。
「クジラ…!剣の稽古に付き合って!」
背を向けたまま、溜まった涙を拭い、剣を握りしめる。
「よしっ!お相手いたそう!」
何かを察したクジラは、冗談交じりに自身の選んだ武器、槍を構えた。
「いくよ!」
白い波を立て、私達は次の島を目指す。