第一章 蒼と青の世界
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クジラの故郷でもある、島の名は “ホエール島”。
"商品"だった人々を港に送り届けた私達は、島での滞在期間を少しだけ延ばし、食料等の補給を一からやり直す事にした。
「ロー…顔…怖いよ…」
無表情の船長に、怯えている少女を優しく抱き寄せる。
「うるせェ…」
不機嫌そうに目を逸らすロー。
「ハハハ!マリーおいで…お兄さんが、皆を助けてくれたんだよ」
「フフフ…そうね…お兄さんは顔は怖いけど、正義の味方なのよマリー」
彼等の言葉に、更に機嫌が悪くなる船長。
その様子を後ろで見ていたシャチが、腹を抱えて笑い始めた。
「ROOM」
薄いサークルが、辺りを覆う。
「だ…っだめ!ロー!」
瞬間、私はローの腕を掴み、必死で止めた。
「おねえちゃん…本当に…このお兄ちゃんこわくない?」
恐る恐る、顔を覗かせる少女。
「怖くないよ…すごく優しい人なんだよ」
私は小さな頭を撫でながら、微笑んだ。
「あれ? おねえちゃん…肩のところ何か付いてるよ? 」
よく見ると、短く切れた白い糸のような物が数本、肩や衣服に付着している。
「ほんとだ…何だろう…?」
不思議に思いながら船長に視界を移すと、彼の肩や頭にも同じように数本、細かく切れた糸が付いていた。
「…………?」
少しだけ気になったけれど、騒ぐ程の事でもない。
"大した事じゃない" と、すぐに忘れることにした。
少女の家で夕食をご馳走になることになった私達。
指定された時刻まで、私はクジラと一緒に、彼が寝床にしている教会の片付けをすることにした。
お世話になった分も、しっかり頑張ろう。
意気込んで、一歩踏み出した瞬間。
「…汚い…」
私は、部屋の前で固まった。
室内は男の子特有の散らかりようで、衣服などがそこら中に散乱している。
埃っぽい空間に躊躇したけれど、勇気をだして足を踏み入れた。
「よしっ!じゃあ…片付けるよっ」
まずは落ちている衣服を手に取って、掃除を開始。
「ごめんな…こんな事させて」
そんな私の様子に、申し訳なさそうな顔をするクジラ。
「何言ってるの…! こんなの恩返しにもならないんだから…私がやりたくて手伝ってるんだよ」
私は手を止めないよう、次々に周りを片付けながら言葉を続けた。
「本当に感謝してるんだ…それに、今はもう仲間なんだから、気を使わないで何でも言ってよねっ」
彼がいなければ、幼馴染を止めることはできなかった。
「わかった…ありがとなっ!」
笑顔を見せるクジラに微笑み返して、再び目線を手元に戻す。
「あー…でも…、船に乗ったらもう少し綺麗にしてね」
部屋の隅にある蜘蛛の巣を見つめ、一言付け加えておいた。
「うおォっ!わかってるよ!」
慌てて巣を片付けるクジラに思わず笑みが溢れる。
そこからは無駄話もそこそこに、黙々と手を動かしたクジラと私。
その甲斐あって部屋は三時間程で片付き、最後に教会の神父さんに挨拶を済ませ、私達は船に向かった。
「荷物…ほんとにそれだけでいいの?」
彼の手には少しの服と小物が入った鞄が一つ。
他は全て児童施設に寄付をした。
「いいんだよ」
嬉しそうに微笑むクジラに、首を傾げる。
「これから世界中を旅するんだ…きっと両手に持ちきれない程のモノを抱える事になる…だから…今は身軽な方がいいんだよ」
そう言って、私の頭を撫でた。
夕暮れの太陽が彼を照らし、眩しい笑顔が私の視界を奪う。
「うん…そうだね…」
ローとペンギンとシャチとベポ。
そこに私とクジラが加わった。
「楽しみだな!」
これから出会う新しい “仲間たち” 。
「うん…!楽しみだね!」
私達は期待に胸を踊らせて、ロー達との待ち合わせ場所まで急いで向かった。
"商品"だった人々を港に送り届けた私達は、島での滞在期間を少しだけ延ばし、食料等の補給を一からやり直す事にした。
「ロー…顔…怖いよ…」
無表情の船長に、怯えている少女を優しく抱き寄せる。
「うるせェ…」
不機嫌そうに目を逸らすロー。
「ハハハ!マリーおいで…お兄さんが、皆を助けてくれたんだよ」
「フフフ…そうね…お兄さんは顔は怖いけど、正義の味方なのよマリー」
彼等の言葉に、更に機嫌が悪くなる船長。
その様子を後ろで見ていたシャチが、腹を抱えて笑い始めた。
「ROOM」
薄いサークルが、辺りを覆う。
「だ…っだめ!ロー!」
瞬間、私はローの腕を掴み、必死で止めた。
「おねえちゃん…本当に…このお兄ちゃんこわくない?」
恐る恐る、顔を覗かせる少女。
「怖くないよ…すごく優しい人なんだよ」
私は小さな頭を撫でながら、微笑んだ。
「あれ? おねえちゃん…肩のところ何か付いてるよ? 」
よく見ると、短く切れた白い糸のような物が数本、肩や衣服に付着している。
「ほんとだ…何だろう…?」
不思議に思いながら船長に視界を移すと、彼の肩や頭にも同じように数本、細かく切れた糸が付いていた。
「…………?」
少しだけ気になったけれど、騒ぐ程の事でもない。
"大した事じゃない" と、すぐに忘れることにした。
少女の家で夕食をご馳走になることになった私達。
指定された時刻まで、私はクジラと一緒に、彼が寝床にしている教会の片付けをすることにした。
お世話になった分も、しっかり頑張ろう。
意気込んで、一歩踏み出した瞬間。
「…汚い…」
私は、部屋の前で固まった。
室内は男の子特有の散らかりようで、衣服などがそこら中に散乱している。
埃っぽい空間に躊躇したけれど、勇気をだして足を踏み入れた。
「よしっ!じゃあ…片付けるよっ」
まずは落ちている衣服を手に取って、掃除を開始。
「ごめんな…こんな事させて」
そんな私の様子に、申し訳なさそうな顔をするクジラ。
「何言ってるの…! こんなの恩返しにもならないんだから…私がやりたくて手伝ってるんだよ」
私は手を止めないよう、次々に周りを片付けながら言葉を続けた。
「本当に感謝してるんだ…それに、今はもう仲間なんだから、気を使わないで何でも言ってよねっ」
彼がいなければ、幼馴染を止めることはできなかった。
「わかった…ありがとなっ!」
笑顔を見せるクジラに微笑み返して、再び目線を手元に戻す。
「あー…でも…、船に乗ったらもう少し綺麗にしてね」
部屋の隅にある蜘蛛の巣を見つめ、一言付け加えておいた。
「うおォっ!わかってるよ!」
慌てて巣を片付けるクジラに思わず笑みが溢れる。
そこからは無駄話もそこそこに、黙々と手を動かしたクジラと私。
その甲斐あって部屋は三時間程で片付き、最後に教会の神父さんに挨拶を済ませ、私達は船に向かった。
「荷物…ほんとにそれだけでいいの?」
彼の手には少しの服と小物が入った鞄が一つ。
他は全て児童施設に寄付をした。
「いいんだよ」
嬉しそうに微笑むクジラに、首を傾げる。
「これから世界中を旅するんだ…きっと両手に持ちきれない程のモノを抱える事になる…だから…今は身軽な方がいいんだよ」
そう言って、私の頭を撫でた。
夕暮れの太陽が彼を照らし、眩しい笑顔が私の視界を奪う。
「うん…そうだね…」
ローとペンギンとシャチとベポ。
そこに私とクジラが加わった。
「楽しみだな!」
これから出会う新しい “仲間たち” 。
「うん…!楽しみだね!」
私達は期待に胸を踊らせて、ロー達との待ち合わせ場所まで急いで向かった。