このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

第一章 蒼と青の世界

名前設定

この小説の夢小説設定
主人公の名前です。
幼馴染の男の子

カイルの手下達は、みんなの手によって全て一掃されていた。

「お姉ちゃん、助けてくれてありがとう!」

公園で見つけた少女も、他に捕まっていた人達も、全員無事に助け出すことが出来た。

「どういたしましてっ」

小さな頭を優しく撫でてあげる。

「わぁ〜!クマさんだ〜!」

ベポを見つけ、走り出す少女。

小さな子に勢い良く飛び付かれて困惑する白クマを、シャチとペンギンが笑って眺めている。

人間オークションが行われていた闇市の施設は、ローが火をつけ、跡形もなく崩れ去った。

島は無人島で、海軍の目も行き届かない無法地帯になっていたそうだ。

今回の一件を受けて、海軍もこのままこの島を放置しておく事は出来ないだろう。

「さぁ!出航するよ〜!」

少女から開放された白クマが張り切って舵を取る。

私達は捕まっていた人達を全員、元の島まで送り届ける事にした。

「あっ…でも…どうやってここに?」

最初にローが現れた時から、ずっと気になっていた事を聞いてみる。

「あ~…それは…」

気まずそうに頭を掻くシャチ。

「すまん…アイリス…ベポに、お前を尾行させてたんだ…知らない奴と一緒に居たから…」

ペンギンが、申し訳なさそうに打ち明けてくれた。

船着場で異変に気付いたベポが、ローを呼びに行っている間に、私が船に乗って消えてしまったらしい。

けれど、ベポは一部始終を見ていたので、ロー達と合流してすぐに、問題の海軍兵を締め上げ、この場所を聞き出したという事だ。

「その…一応聞くけど…海軍の人はどうなったの…?」

シャチとペンギンが、顔を合わせて笑い出す。

「あれは…面白かったなァ…ブククッ」

「ああ…まさか…天下の海軍兵様が、子供に脅されて漏らすなんて…なァ…クククッ」

…ご愁傷さまです。

アイリス…」

爆笑する二人を余所に、失禁事件の主犯格であろう男が、涼しい顔で私を呼ぶ。

「はーい…?」

声のした方に振り返ると、無表情な船長の隣で柔らかく微笑む少年が視界に映る。

「よっ!アイリス…本当にいいチームだな…お前達」

何の義理もないのに、見返りを求める事もなく助けてくれた優しい男の子。

「クジラ…本当にありがとう…」

私は心からの感謝を伝え、深々と頭を下げた。

「別にいいよ…俺が勝手に助けたんだし…お前、海賊だって言う割には危なっかしいからな」

彼は頭の後ろを掻きながら、照れ臭そうに頬を染めた。

「そうかな…? でも、クジラが傍に居てくれて凄く心強かった…本当に、ありがとう!」

私達は、笑顔で握手を交した。

そんな二人を、ただ黙って見つめていた船長。

そのクールな顔に僅かな微笑みを浮かべ、静かに口を開いた。

「お前も来い…クジラ」

瞬きをすることも忘れたかのように、目をまんまるに見開き固まる少年。

「えっ…?」

漸く絞り出した声は小さく、震えていた。

「海賊と言っても…今はまだ、ガキのお遊びみたいなモンかも知れねェ」

ローは表情一つ変えることなく、言葉を続ける。

「だが…必ず高みを見せてやる…おれは絶対に、お前達を裏切らねェ」

自信に満ちたその顔は、見たもの全てを心酔させる。

「どうする…クジラ…お前が選べ」

口角を上げ、悪い笑みを浮かべる男。

「そんなもん決まってんじゃねェか!なァ!」

私は嬉しくなって、微笑んだ。

「そうだな…顔に出てるぞクジラ」

彼を挟むように立つシャチとペンギン。

「ふふっ早く返事を聞かせてよ〜クジラ」

船長の隣には可愛い白クマ。

涙が零れ落ちないよう、必死に空を見上げるその肩が、小刻みに揺れている。

「よろしくお願いします!!!」

船内に響き渡る声が、果てし無く広がる青い海に木霊する。

空は快晴。

私達は新しい仲間の加入に、両手を上げて歓喜した。
19/38ページ
スキ