第一章 蒼と青の世界
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カイルの手下達は、みんなの手によって全て一掃されていた。
「お姉ちゃん、助けてくれてありがとう!」
公園で見つけた少女も、他に捕まっていた人達も、全員無事に助け出すことが出来た。
「どういたしましてっ」
小さな頭を優しく撫でてあげる。
「わぁ〜!クマさんだ〜!」
ベポを見つけ、走り出す少女。
小さな子に勢い良く飛び付かれて困惑する白クマを、シャチとペンギンが笑って眺めている。
人間オークションが行われていた闇市の施設は、ローが火をつけ、跡形もなく崩れ去った。
島は無人島で、海軍の目も行き届かない無法地帯になっていたそうだ。
今回の一件を受けて、海軍もこのままこの島を放置しておく事は出来ないだろう。
「さぁ!出航するよ〜!」
少女から開放された白クマが張り切って舵を取る。
私達は捕まっていた人達を全員、元の島まで送り届ける事にした。
「あっ…でも…どうやってここに?」
最初にローが現れた時から、ずっと気になっていた事を聞いてみる。
「あ~…それは…」
気まずそうに頭を掻くシャチ。
「すまん…アイリス…ベポに、お前を尾行させてたんだ…知らない奴と一緒に居たから…」
ペンギンが、申し訳なさそうに打ち明けてくれた。
船着場で異変に気付いたベポが、ローを呼びに行っている間に、私が船に乗って消えてしまったらしい。
けれど、ベポは一部始終を見ていたので、ロー達と合流してすぐに、問題の海軍兵を締め上げ、この場所を聞き出したという事だ。
「その…一応聞くけど…海軍の人はどうなったの…?」
シャチとペンギンが、顔を合わせて笑い出す。
「あれは…面白かったなァ…ブククッ」
「ああ…まさか…天下の海軍兵様が、子供に脅されて漏らすなんて…なァ…クククッ」
…ご愁傷さまです。
「アイリス…」
爆笑する二人を余所に、失禁事件の主犯格であろう男が、涼しい顔で私を呼ぶ。
「はーい…?」
声のした方に振り返ると、無表情な船長の隣で柔らかく微笑む少年が視界に映る。
「よっ!アイリス…本当にいいチームだな…お前達」
何の義理もないのに、見返りを求める事もなく助けてくれた優しい男の子。
「クジラ…本当にありがとう…」
私は心からの感謝を伝え、深々と頭を下げた。
「別にいいよ…俺が勝手に助けたんだし…お前、海賊だって言う割には危なっかしいからな」
彼は頭の後ろを掻きながら、照れ臭そうに頬を染めた。
「そうかな…? でも、クジラが傍に居てくれて凄く心強かった…本当に、ありがとう!」
私達は、笑顔で握手を交した。
そんな二人を、ただ黙って見つめていた船長。
そのクールな顔に僅かな微笑みを浮かべ、静かに口を開いた。
「お前も来い…クジラ」
瞬きをすることも忘れたかのように、目をまんまるに見開き固まる少年。
「えっ…?」
漸く絞り出した声は小さく、震えていた。
「海賊と言っても…今はまだ、ガキのお遊びみたいなモンかも知れねェ」
ローは表情一つ変えることなく、言葉を続ける。
「だが…必ず高みを見せてやる…おれは絶対に、お前達を裏切らねェ」
自信に満ちたその顔は、見たもの全てを心酔させる。
「どうする…クジラ…お前が選べ」
口角を上げ、悪い笑みを浮かべる男。
「そんなもん決まってんじゃねェか!なァ!」
私は嬉しくなって、微笑んだ。
「そうだな…顔に出てるぞクジラ」
彼を挟むように立つシャチとペンギン。
「ふふっ早く返事を聞かせてよ〜クジラ」
船長の隣には可愛い白クマ。
涙が零れ落ちないよう、必死に空を見上げるその肩が、小刻みに揺れている。
「よろしくお願いします!!!」
船内に響き渡る声が、果てし無く広がる青い海に木霊する。
空は快晴。
私達は新しい仲間の加入に、両手を上げて歓喜した。
「お姉ちゃん、助けてくれてありがとう!」
公園で見つけた少女も、他に捕まっていた人達も、全員無事に助け出すことが出来た。
「どういたしましてっ」
小さな頭を優しく撫でてあげる。
「わぁ〜!クマさんだ〜!」
ベポを見つけ、走り出す少女。
小さな子に勢い良く飛び付かれて困惑する白クマを、シャチとペンギンが笑って眺めている。
人間オークションが行われていた闇市の施設は、ローが火をつけ、跡形もなく崩れ去った。
島は無人島で、海軍の目も行き届かない無法地帯になっていたそうだ。
今回の一件を受けて、海軍もこのままこの島を放置しておく事は出来ないだろう。
「さぁ!出航するよ〜!」
少女から開放された白クマが張り切って舵を取る。
私達は捕まっていた人達を全員、元の島まで送り届ける事にした。
「あっ…でも…どうやってここに?」
最初にローが現れた時から、ずっと気になっていた事を聞いてみる。
「あ~…それは…」
気まずそうに頭を掻くシャチ。
「すまん…アイリス…ベポに、お前を尾行させてたんだ…知らない奴と一緒に居たから…」
ペンギンが、申し訳なさそうに打ち明けてくれた。
船着場で異変に気付いたベポが、ローを呼びに行っている間に、私が船に乗って消えてしまったらしい。
けれど、ベポは一部始終を見ていたので、ロー達と合流してすぐに、問題の海軍兵を締め上げ、この場所を聞き出したという事だ。
「その…一応聞くけど…海軍の人はどうなったの…?」
シャチとペンギンが、顔を合わせて笑い出す。
「あれは…面白かったなァ…ブククッ」
「ああ…まさか…天下の海軍兵様が、子供に脅されて漏らすなんて…なァ…クククッ」
…ご愁傷さまです。
「アイリス…」
爆笑する二人を余所に、失禁事件の主犯格であろう男が、涼しい顔で私を呼ぶ。
「はーい…?」
声のした方に振り返ると、無表情な船長の隣で柔らかく微笑む少年が視界に映る。
「よっ!アイリス…本当にいいチームだな…お前達」
何の義理もないのに、見返りを求める事もなく助けてくれた優しい男の子。
「クジラ…本当にありがとう…」
私は心からの感謝を伝え、深々と頭を下げた。
「別にいいよ…俺が勝手に助けたんだし…お前、海賊だって言う割には危なっかしいからな」
彼は頭の後ろを掻きながら、照れ臭そうに頬を染めた。
「そうかな…? でも、クジラが傍に居てくれて凄く心強かった…本当に、ありがとう!」
私達は、笑顔で握手を交した。
そんな二人を、ただ黙って見つめていた船長。
そのクールな顔に僅かな微笑みを浮かべ、静かに口を開いた。
「お前も来い…クジラ」
瞬きをすることも忘れたかのように、目をまんまるに見開き固まる少年。
「えっ…?」
漸く絞り出した声は小さく、震えていた。
「海賊と言っても…今はまだ、ガキのお遊びみたいなモンかも知れねェ」
ローは表情一つ変えることなく、言葉を続ける。
「だが…必ず高みを見せてやる…おれは絶対に、お前達を裏切らねェ」
自信に満ちたその顔は、見たもの全てを心酔させる。
「どうする…クジラ…お前が選べ」
口角を上げ、悪い笑みを浮かべる男。
「そんなもん決まってんじゃねェか!なァ!」
私は嬉しくなって、微笑んだ。
「そうだな…顔に出てるぞクジラ」
彼を挟むように立つシャチとペンギン。
「ふふっ早く返事を聞かせてよ〜クジラ」
船長の隣には可愛い白クマ。
涙が零れ落ちないよう、必死に空を見上げるその肩が、小刻みに揺れている。
「よろしくお願いします!!!」
船内に響き渡る声が、果てし無く広がる青い海に木霊する。
空は快晴。
私達は新しい仲間の加入に、両手を上げて歓喜した。