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第一章 蒼と青の世界

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主人公の名前です。
幼馴染の男の子

非情な力とは裏腹に、美しく咲き誇る純白の花。

無数に空を舞う花弁から、逃げる術は何処にもない。

「くそっ!なんだよコレ…!」

逃げ惑う幼馴染。

白い欠片が肌に触れる度、彼の身体が紅く染まって逝く。

「あなた達が "商品" と呼ぶ人もみんな…同じように助けてくれと懇願したはずだよ…」

必死に藻掻きながら、私の腕を掴む少年。

「うるさい…! アイリス…お前も道連れにしてやる…!」

彼は隠し持っていたナイフを、私の心臓に突き立てた。

「 "ROOM" 」

一瞬だった。

瞬きをするよりも速く、私と幼馴染の周りを不思議なサークルが覆う。

「 “シャンブルズ” 」

気が付くと、私は暖かい腕の中に包まれていた。

視界に映るのは、この場にいる筈のない人。

「…何で…ここに…」

張り詰めていた緊張が溶け、大粒の涙が零れ落ちる。

「一人で勝手に暴れてんじゃねェ…」

ローは不機嫌な声色で、口を開いた。

「話は後だ…アイリス

頬を伝う雫を拭い、私は強く頷いた。

「なん…だ…お前…」

血に染まった身体を押さえながら、ゆっくりとこちらに向け、歩んで来るカイル

「そ…の女は…俺が連れて行くんだ…!返せ…返せェ!」

ローは、鳥肌が立つほどの殺気を放つ。

アイリス…悪いが、こいつは…おれが殺る」

飛び掛かってきた幼馴染の刃先を、ギリギリで交わし右手を翳す。

「 "ROOM" 」

再び半透明のサークルが、男の周囲を包んだ。

「終わりだ… “切断アンビュテート” 」

圧倒的な強さ。

勝負に負けた男は、断末魔と共に、身体を引き裂かれ散って逝く。

「""花言葉一つ目 裏" コンフォート “花葬フラワーフューネラル” 」

それは、淡く儚い雪のよう。

せめてもの弔いに手向けた花は、彼の身体を優しく包み、消えていった。

「私…カイルの罪を背負って、生きていく…」

ギュッと、握り締めた拳に力を込める。

「同族を殺した私は…もう…故郷に帰れない…」

背を向けたままの船長は、振り返ること無く口を開いた。

「…アイリス…何が言いてェ…」

先程と同じ、不機嫌そうな声。

「罪を侵した天使なんて…お荷物にしかならないけど…」

彼の背を見つめ、小さく呟いた。

「それでも…みんなと…ローと…一緒に居たい…」

足元に一滴、また一滴雫が零れ落ちる。

アイリス…そんな、くだらねェ事で悩むな」

顔を上げ、霞む視界にその姿を映し出す。

「お前の居場所はここだアイリス…おれの傍に居ればいい」

やっぱり、神様は残酷だ。

大切なモノを散々奪っておいて、それ以上のモノを私に与えようとするなんて。

「うん、ありがとう…ロー」

涙を拭いて前を向く。

瞬間、盛大な音を立て、部屋の扉が開かれた。

アイリス〜無事だったんだね〜!」

最初に飛び付いてきたのは、フワフワの毛をした可愛い白クマ。

「探したぜーアイリス!怪我してねェか?」

いつもと同じ満面の笑みで駆け寄って来るシャチ。

「ったく…勝手に消えるなよ…心配するだろ…」

ペンギンは深く被った帽子の下で、嬉しそうに口角を上げた。

「…いい仲間だなアイリス…無事で何よりだ」

目を細め、微笑むクジラ。

「クジラも…無事でよかった」

本当、私には勿体ない。

だからこそ。

「みんな…ありがとう…」

受けて立つよ神様。

ここはもう、私の居場所だから。

与えられた宝物を、今度こそ守ってみせる。
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